イスラエル、地上作戦拡大は「国際部隊の展開に道を開くため」と強調(アル・アハラーム紙)
2006年08月02日付 Al-Ahram 紙

2006年08月02日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面

■ レバノン南部、ヒズブッラー兵とイスラエル兵二万人の間で傷ましい地上戦
■ ヒズブッラー、アイター・シャアブ村でイスラエル兵35人死傷と発表
■ イスラエル政府、国際部隊の展開を準備するとしてリタニ川までの陸上作戦拡大を決定

【ベイルート:ファトヒー・マフムード、占領下エルサレム:諸通信社】

昨日、レバノン南部においてヒズブッラー軍とおよそ二万人のイスラエル兵との間で、
傷ましい地上戦が行われた。イスラエルの縮小閣議は地上作戦の範囲の拡大を決め、レバノン攻撃に参加する5師団編成のため、1万5千人の兵士を招集した。

レバノン、イスラエル双方の治安情報によれば、戦闘はアディーサ-カファル・カラー間を中心ラインとする南レバノンの東部地区で行われている。同様に、レバノン側のレジスタンスは、イスラエル北部国境から700メートルに位置するマルジャアユーン市を見下ろす丘を確保しようと試みている侵略軍に抵抗している。

 ヒズブッラーの声明によれば、ヒズブッラーの戦士達はアイター・シャアブ―カウザフ―ラーミヤの3つの村落間の三角地帯に拠点を築こうとする占領軍の数々の試みを頓挫させ、イスラエル軍を後退させたという。

 また声明は、戦闘は大半の一般住民が逃げ出した後のカファル・カラー、タイバ、アディーサといった町村でも行われたと指摘した。
 
イスラエルの報道機関は、およそ五師団に相当する2万人のイスラエル兵士が、現在レバノン南部に3~5キロメートル入った地点で地上作戦に参加していると伝えた。

 ヒズブッラーが所有するマナール・テレビはイスラエル兵35人が国境の町、アイター・シャアブでヒズブッラー戦士との戦闘により死傷したと報道した。一方、イスラエル軍側は昨日中の兵士死亡を認めておらず、軍の報道官はレバノン南部での過去48時間の戦闘でヒズブッラーの戦士20人を殺害したと主張、しかしながらレバノン情報筋はその信憑性を確認していない。

 イスラエル軍の報道官は「ヒズブッラーの戦士はレバノン南部のいくつかの地点でイスラエル軍に対し、迫撃砲や対戦車ミサイル砲を発射した」と語った。

 また、労働党所属のクネセット(イスラエル国会)議員、エフライム・スネフ前国防次官は、一昨日夜の縮小閣議でイスラエル北部国境から30キロの地点にあるリタニ川まで地上作戦の範囲を拡大すると決定したことを確認し、「イスラエル軍は、イスラエル・レバノン国境に国際部隊が展開できるようになるまで、その地点に留まるであろう」と語った。

 イスラエル北部方面司令部のアロン・フリードマン参謀長は「地上作戦は、その標的次第で数日間から数週間を要するかもしれない」と語った。

 一方、イスラエルのベンヤミン・ベン・エリエゼル国土基盤相は、境界付近からヒズブッラーを遠ざけるためには十日間から二週間を要するだろうと述べた。

 イスラエル国防大臣のアミール・ペレツは地上軍事作戦拡大の目的は、レバノン南部における国際部隊の展開に道を開く事と、イスラエルに対するミサイル攻撃をヒズブッラーに止めさせることにある、と主張し、「この数日間の成果次第で、ヒズブッラーがイスラエルの領内深くを今後も脅かし続けられるかどうかが、はっきりするだろう」と述べた。
さらにペレツ国防相は、レバノン南部にシリアからヒズブッラーに武器を運ぶトラックが存在すると主張し、「イスラエルはそのトラックを戦闘機で爆撃する」と語ったが、シリアに宣戦布告はしないと明言した。

 地上作戦と平行してイスラエルの戦闘機はこれで21日連続となるレバノンへの空襲を続け、レバノン南部の村々に対して一連の空爆を行った。

 救助隊はこの二十日間にレバノン南部で死亡した人々の何十もの遺体を家や路上から収容する作業を続けており、赤十字はスールで腐敗が進んだ36の死体を発見した。南部からレバノン北部への市民の避難も続いている。



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( 翻訳者:平寛多朗 )
( 記事ID:3183 )