レバノン復興支援会議で9億4千万ドルの援助決定(アル・ナハール紙)
2006年09月01日付 Al-Nahar 紙
■ ビッリー国会議長、ストックホルム会議に対抗して政府を援護
■ レバノン封鎖への抗議のため、国会議員による無期限の泊まり込み
■ 9億4千万ドルのレバノン支援
2006年09月01日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
フアード・アル=セニョーラ政権は昨日、二重の支援ともいうべき収穫を得た。それは一方では政権の継続を確実にし、もう一方ではイスラエルによる対レバノン戦争がもたらした恐ろしい爪痕への政府の対応努力にとって外交的、政治的、経済的な後押しとなるものである。
一方では、レバノン復興のためのストックホルム会議が、先行した期待や評価を超えて、事前の予想額として算定されていた5億ドルのおよそ2倍にあたる9億4千万ドル以上の支援金を取りつけた。
また一方では、ナビーフ・ビッリー国会議長がムーサー・アル=サドル導師[※ビッリー国会議長率いるアマル運動の設立者]失踪記念集会において、あたかも国際社会およびアラブ諸国の政府支援に対抗して政府をより安定させようとしているかのような姿勢を表明した。
この2つの展開と時を同じくして得られた情報によれば、レバノン政府高官は外交筋を通して、昨日本紙が報じたように、イスラエルのレバノンに対する空域および海上の封鎖は近く解除されるだろうとの通達を得たという。また一方では、イスラエルとヒズブッラーの間の捕虜交換に関する調停を進めるドイツの努力においても新たな展開が見られた。
ストックホルム会議は昨夜、レバノン人民の差し迫った必要に応えるため、また「再生第1段階において、さらに長期間にわたる復興活動への速やかな移行のための基盤の確保に向けて」レバノン政府を支援するため、9億4千万ドル以上の支援を約束するとの声明をスウェーデンのヤン・エリアソン外相が発表して終了した。またエリアソン外相は、今回の金額は、以前に当てられた金額に追加されるものであり、復興支援の総額は12億ドルを上回と明らかにした。そして会議は、「レバノン国境の確保、レバノン政府のものを除く武器の流入の制限、民間サービスのための港湾や空港の開放に関する諸項目を含む国連決議第1701号の完全履行」を呼びかけた。また、会議はイスラエルによるレバノン封鎖に対して断固とした態度をとり、封鎖の継続が「復興作業への明らかな障害をなしている」として「国連事務総長による、レバノン封鎖解除への呼びかけを聞き入れるよう」促した。
セニョーラ首相はスウェーデンと会議参加者に感謝を示し、この会議は「レバノンが孤立しているわけではない」ということを確認するものだとの見解を表明した。また「この会議は第一歩に過ぎず、レバノンの復興を進めるとともにレバノン経済を再び軌道に乗せるために必要な支援について検討するための新たな会議が開かれることになるだろう」と述べた。
■ ビッリー国会議長の演説
そうした中でナビーフ・ビッリー国会議長はスールで開かれたムーサー・アル=サドル導師と同行者2人の失踪28周年記念集会において演説を行い、その演説の内容はこのところ顕著に見られた国内の緊張の緩和を反映した動きとして政界に歓迎をもって受け入れられた。
ビッリー議長の演説は二つの点で重要なものであった。ビッリー議長は先ず、イスラエルによるレバノン封鎖に立ち向かう国会としての具体的な行動として、明日から国会議事堂において議員による無期限の泊まり込みを開始すると宣言するとともに、中東航空その他のアラブ諸国および諸外国の航空会社に対して、封鎖を打破してベイルート国際空港へのフライトを運行するよう呼びかけた。またビッリー議長の演説は政治的に非常にバランスのとれたものであり、抵抗運動への全面的な支援を表明し、シャバア農場地帯の解放に向けて抵抗運動を継続することの正当性を支持するいっぽうで、「抵抗する政府」への支持をも表明した。このことについてビッリー議長は「誰が何と言おうとも、私は国内の平和が確固たるものであることを確信していると、あらためて主張したい。政府が見せた政治的な抵抗運動。国家の外交的活動のロードマップを描き出すために我々が話し合いという方法をとり、それによってアラブ諸国の意見が一致し、ヨーロッパ諸国の理解が得られたこと。これらすべては、国民の団結が神の思し召しによって万全であることの証しである」と述べた。
(後略)
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( 翻訳者:田中裕子 )
( 記事ID:3478 )