2006年9月21日 ハムシャフリー紙
【ホセイン・アラーイー】イラン核問題に関するヨーロッパの包括案に対し、イランが回答を出したことで、アメリカが主張していた国連安保理によるイランへの制裁は遠のき、EU外交代表とイラン国家安全保障最高評議会書記の協議は、前向きで前途有望なものとなってきている。
当然のことながら、アメリカはアーバーン月（11月）の中間選挙までにネオコンや政権グループにとって有利となるような外交上の実績を挙げたいところだ。というのも、イスラエルとレバノン国民の戦争や、レバノンのヒズボッラー消滅に向けたイスラエルへの支援の失敗、さらにはイラクにおけるアメリカの混乱ぶりと治安の悪化があるため、ブッシュ大統領は、イランの核問題を主軸に据えなければならなくなっているからだ。
しかし、ヨーロッパ諸国は、これに関してアメリカと全く歩調をあわせていない。何故なら、安保理の方向性、つまり軽い制裁からより重い制裁へと圧力を強め、最終的に石油輸出に関する制裁を課すことは全て、アメリカにとっては利益になるものの、ヨーロッパ諸国にとっては不利益になることだからである。さらに、結果として軍事的対立に発展する可能性もあり、その場合ヨーロッパ諸国は役目を追われ、アメリカが単独で攻撃を始めるだろう。従って、協議は、ヨーロッパにとって合理的で唯一の方法なのである。もちろんアメリカも、安保理による解決を単独で推し進めるつもりは無いし、この問題に関して単独で決定を下すつもりも無い。なぜなら、決定を下した場合、この国の抱えるリスクが高くなり、また中東問題に一方的な対処をする国と見なされてしまうからである。
従って現状では、欧米にとって、決定を下すことは非常に困難である。核燃料サイクルを持つことがイランの権利であると認めるだけでは十分でないことを、ヨーロッパも認識している。なぜなら、もしイランがこの法的な権利を行使できない、実際に運用できないならば、ヨーロッパによるこの権利の認識は、イランの問題を何ら解決しないからである。そのため、ヨーロッパは合意を得るために、国民の総意に答える形で、イランが核燃料サイクルを持つことを考慮せざるを得なかった。さらにヨーロッパは、イランの核活動の権利を正式に認めた上で、イランが国内に平和的利用を目的とした核燃料サイクルを持つことを受け入れなければならない。そしてイランの専門家たちは、こうした技術分野で活動出来なければならない。
ロシアも、少なくても現状では安保理による解決は適切ではないと見ている。また、イランに対する制裁は建設的ではなく、協議のみが双方の問題を解決するものだと確信している。イランも、安保理の介入や、制裁によってイランの核活動が阻止されることはない、協議のみが問題を解決できるものだとしている。現在もイランは協議において、ヨーロッパ社会の信頼を勝ち取り、納得させるための努力をしている。最近の協議に関する、イランとヨーロッパの議員の前向きな発言は、現在協議の前提条件である核活動の停止が行われていないことを不問にしていることを示唆している。アメリカが未だこの条件にこだわっており、また、イランもヨーロッパとの協議開始後、一時的な核活動停止に関する話し合いを協議事項から外す事を考えていないにもかかわらず、である。
イランはこれから、長期に渡って核燃料サイクルを保持することと、安保理の介入を阻止することに向け努力し、また、核問題が制裁へと発展しないよう努めていく。そのために、積極的にヨーロッパとかかわっていくだろう。もちろん、この目的を果たすためには、特別優れた管理能力が必要とされる。進展した内容を確実なものとし、国民の利益が最大となるように。そしてアメリカによるイランに対する３方向からの圧力－制裁発動に向けた国連安保理の利用と協議を通じて圧力を行使するためのEUの利用、そして武力行使というアメリカの一方的な措置－を減じることが求められている。
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（ 翻訳者:關岡 敦子 ）
（ 記事ID:3561 )