3・14勢力がナスルッラー演説に反論(アル・ナハール紙)
2006年09月25日付 Al-Nahar 紙

■ ヒズブッラーの集会に対して「重量級の」反応
■ ドストブラジ仏外相、レバノン政府への支援でヒズブッラーに対抗するよう呼びかける
■ ジャアジャア代表「いかなる武器も我々に現状の受け入れを強制することはできない」
■ ジュンブラート代表がナスルッラー書記長へ「シリア政権にくっついている限り合意はありえない」

2006年09月25日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 ベイルート南部郊外におけるヒズブッラーの集会とナスルッラー書記長の演説に対して昨日、ハリーサとムフターラにおいて激しい反論が展開され、ナスルッラー演説の一つ一つの箇所、一つの一つの見解を挙げての論駁がなされた。この重量級で同時多発的な、相互の連絡と調整に基づく反応を受けて、今後どのような動きが見られるであろうか。

 この[ナスルッラー演説に対抗しての]「挑戦的な姿勢における均衡」への動きは、レバノン軍団の大規模集会におけるサミール・ジャアジャア執行部代表の演説において、また進歩社会主義党青年組織の幹部たちを前にしてのワリード・ジュンブラート民主主義会合代表の演説において、その頂点に達した。

 これらの演説がナスルッラー書記長の演説に対する3・14勢力全体としての反応を形成するものであることは明らかであった。同勢力の有力メンバーの一部などは、ハリーサでの[レバノン軍団の]集会に[3・14勢力側の]政治的指導者が揃って参加したのは、「政治的言説においても民衆の支持においてもバランスが求められるのは『クーデタの危険』をはらむ現段階においては避けがたいことだ」という明確なメッセージである、と公言してはばからなかった。その「クーデタの危険」については、ジャアジャア代表とジュンブラート代表が[演説の中で]詳細に述べた。

 またこの有力メンバーらは、レバノン軍団が集会に多数の参加者を集めたことの重要性を指摘し、それは「3・14勢力のキリスト教徒メンバーが民衆を代表していることに異論を唱える人々への間接的な反論になる」との見方を示すとともに、参加者の大部分はレバノン軍団の支持者であると強調した。

 一方で3・08勢力に近い筋は、ナスルッラー書記長に対する反論の性質は「同語反復に類するものだ」と論評するにとどめつつ、今回の反論が「国民の亀裂を深め、政治的危機の拡大の前触れだ。特に政府の内部で新たな危機が拡大しているこの時期になされたことが問題だ」と述べ、近日中にこの反論に対する反論が行なわれる可能性も少なくないとの見方を示した。

 ジャアジャア代表は出獄以来初めてのハリーサでの大観衆を前にした演説の大半を、名指しすることこそなかったものの、ナスルッラー書記長の演説に対する返答にあてて、観測筋を驚かせた。そしてこの返答の中で、先ず最初に「抵抗運動」の定義について言及し「もし我々の殉教者たちがいなければ、レバノンにおいて抵抗運動の空気が生まれることはなかったし、その定義がなされることもなかった」と述べた。そして、「強力で公正で能力があり独立した国家の建設を主張する一部の人々が国家の建設を阻害している」と述べ、「国家と並んで[その内部に]小国家が存在している状態で、いかにして国家の建設が可能だというのか?国家の目を盗んで毎日武器や弾薬が運び込まれる状態で、いかにしてこの国家が強力たりうるというのか?」と問いかけた。

 またジャアジャア代表はナスルッラー書記長に対する返答として、「武装問題の解決策が見出されたとき、国家の建設が可能になる。彼らは抵抗運動を力で終わらせようとすることに賭けても失敗に終わると言っているが、我々は、武器を力で保持することに賭けるのは間違った賭けだと言いたい。(...)彼らはいかなる軍隊も我々に武器の放棄を強制することはできないと言っているが、我々は、いかなる武器も我々に現実を受け入れることを強制することはできないと言いたい」と述べた。

 また挙国一致政府樹立の要求に対しては、「挙国一致政府よりも先に、我々は挙国一致を欲している。この一致はターイフ合意のうち以外にはありえない。ターイフ合意を外れては、挙国一致政府も挙国一致もありえない」と述べた。

(中略)

■ サウジアラビアとクウェートの援助

 政府関係者によるとセニョーラ首相は昨夜、サウジアラビアのアブドゥルアズィーズ国王からラマダーン月開始を祝福する電話を受けた。サウジ国王は「レバノンを支援し、国連安保理決議第1701号の履行とイスラエル撤退の実現と侵略の被害の克服に努める政府の立場を支持する」と表明した。

 またセニョーラ首相はクウェートのサバーフ・アル=アフマド・アル=サバーフ首長からも連絡を受け、サバーフ首長は「政府の国連安保理決議第1701号履行を支援する」と言明するとともにセニョーラ首相をクウェート訪問に招待した。

■ ドストブラジ仏外相

 AFPによると、フランスのフィリップ・ドストブラジ外相は、レバノン復興に関してセニョーラ首相を支援する呼びかけを行ない、それが「ヒズブッラーに対抗する唯一の解決策」となりうると述べた。

 政治番組「大陪審(RTL・ル=フィガロ紙・LCI)」でドストブラジ外相は、「ヒズブッラーとナスルッラー書記長に対抗する唯一の方法は、復興に関してフアード・セニョーラ首相が率いる政府を支援することだ」と述べ、「レバノンの長期的な復興に関する大規模な国際会議を年内に開催すること」を呼びかけた。そして、「我々はセニョーラ首相に、レバノン復興を可能にする能力を与えるべきだ。レバノン南部住民がナスルッラー書記長こそ近隣諸国を資金源としてレバノン復興を実行してくれるのだと信じるままにさせてはならない」と付け加えた。

 その近隣諸国とはどの国のことか特定するよう求められると、ドストブラジ外相は「基本的にはおそらくイランだ。しかしヒズブッラーの武器はシリアからも来ているかも知れない」と答えた。



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( 翻訳者:新谷美央 )
( 記事ID:3607 )