トルコ軍、86年ぶりに再びレバノンへ(Yeni Safak紙)
2006年09月06日付 Yeni Safak 紙
レバノンへの派兵法案が国会で激しい論争の末、承認された。340対192の賛成多数で承認された同法案により、トルコ軍は400年間支配し1920年に撤退したレバノンへ86年ぶりに戻る。
イスラエルによる攻撃後、徹底的に破壊されたレバノンに配備される国連軍へのトルコ軍参加に関する政府案は、昨日(5日)本国会で承認された。533人の議員が参加した投票では340人の議員が賛成した一方、192人は派兵へ反対票を投じた。1人は棄権した。国会が採択した歴史的決議により、トルコ軍は86年ぶりにレバノンに戻ることになる。オスマン帝国は、400年にわたって支配したレバノンとの関係を1920年に終了していた。
野党が反対した法案の審議は、午後3時に本会議の緊急集会で始まった。緊迫した中、審議が行われ、時折詰め寄る場面もあった。本会議ではまず審議手続について議論された。3時間近くに及んだ審議手続に関する議論の後、派兵法案審議に移った。審議手続の議論の際、共和人民党(CHP)のバイラム・メラル議員は「アタテュルクが解放戦争を戦っていた時にもしあなた方がいたら。イギリス軍やフランス軍が来たら、あなた方なら手を上げ、降伏していた。祖国をきっとギリシャに譲り渡していた」と発言し、これに対し公正発展党(AKP)会派が反発した。
■死者よ許したまえ
メラル議員に応えた公正発展党会派代表サーリフ・カプスズは、共和人民党が(テロによる)殉職者を政治の道具としているのを喚起し、「不躾だろ。死者よ許したまえ」と述べた。その後壇上に立ったアブドゥッラー・ギュル外相は、レバノンへ派兵される部隊は派遣先の勢力の武装解除には従事しない、と明言したと述べ、「派兵法案には、トルコ軍がレバノンで何を行い、何を行わないかを明記した。不測の事態に陥った場合、法案に従い行動することは誰も疑わないよう」と語った。
ギュル外相は、自身がアフガニスタンへの派兵に反対したことに関する辛辣な質問にも答弁し、レバノン派兵案はアフガニスタンやイラク派兵案と比較できないものであり、アフガニスタンやイラクの紛争では世界が分裂していた、と述べた。ギュル外相は、「今回は共通の見解がある。国連決議がある。国際的正当性がある」と語った。
ギュル外相は、港と空港を同盟諸国に提供することも憲法に違反しないと指摘し、トルコ軍がレバノンの任務では成功を収めるだろう、と語った。
ギュル外相は、派遣地域の安定はトルコの国益にかなうものであり、レバノンへ派兵するためにトルコが出した条件が全て受け入れられた、と述べた。同外相は、「レバノン政府、レバノン国民と全勢力の名においてトルコ軍は(派兵を)要請された。レバノン危機は、トルコが東西の戦略上の要衝であることをよく表した。あなた方に承認を求める派兵案は、トルコ軍が直面するリスクを最小限にしている」と語った。
■他国への奉仕を非難
さらにのち共和人民党を代表して質問したオヌル・オイメン副党首は、「他国に奉仕して大国といえるか」と述べた。オイメン氏は、レバノンは地雷が配置された地であると述べ、「トルコ軍をこんな土地に駆り立てるのか」と発言した。同氏は、アメリカの要請に従って(政府は)レバノンに派兵すると述べ、次のように語った。「クルド労働者党(PKK)に対する作戦行動を許可しないのはアメリカだ。あなた方の仕事は、トルコをPKKによるテロから護るため北イラクに派兵することだ」。
(中略)
■ 予想した結果だった
エルドアン首相は、法案に関する採決を最後まで見守った後、総評をおこない、国会決議は法案成立に向けたものであったとし、「幸運あれ」と述べた。首相は、法案が340票で採択されるのを予想したかとの問いに、「昨日、言ったじゃないか」と答えた。ギュル外相は、「予想した結果だった。ただ議論のための議論もあった」と述べた。共和人民党党首のデニズ・バイカル氏は、「議論は有用であった。野党の考えが国民に伝わったという意味において。党としてよい仕事をした。(野党としての)務めを果たせてほっとしている」と語った。
■法案から予想されること
承認された法案に従い、国連レバノン暫定軍へのトルコ軍派遣について、議会は政府に権限を委ねた。一年間政府に権限を委ねた法案により、議会は政府に、レバノンに派遣する兵力数、期間、活動範囲を定める権限も委ねた。法案採択により(次のことが予想される)。東地中海を巡視する任務を果たす。巡視部隊のため十分な兵力を確保する。要求にその都度対応するという法案の規定により、友好国と同盟国に海上・航空輸送の支援をする。レバノン軍に教育を施す。
(下略)
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( 翻訳者:富田祐子 )
( 記事ID:3440 )