米政府、2003年にイランからの交渉提案を拒否
2007年01月19日付 Al-Nahar 紙

■ アメリカ政府、2003年にイラン政府からのヒズブッラーとハマースへの支援打ち切り提案を拒否

2007年01月19 日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【AP、AFP、UPI】

アメリカ国務省の首席補佐官だったローレンス・ウィルカーソン氏は昨日、英国放送協会「BBC」に対して、アメリカ政府が、イラク安定化を援助しヒズブッラーやイスラーム抵抗運動「ハマース」への支援を停止するという内容のイラン政府からの提案を拒否していたことを伝えた。

 ウィルカーソン氏によれば、2003年のアメリカによるイラク侵攻後まもなくスイスを通して送られた無署名の秘密書簡に記されていた提案に関してアメリカ国務省は前向きであったものの、ディック・チェイニー副大統領がこの取り引きを妨害したという。またウィルカーソン氏は、「我々はその取り引きを受け入れる非常に適切な機会であると思っていたが、ホワイトハウスに到着して副大統領のオフィスに着くや否や、悪魔祓いの護符をふりかざした連中が『我々は邪悪なる者と話をする気はない。彼らは正体をさらけ出したのだ』と念を押した」と語った。

 同氏によれば「イラン政府は書簡のなかで、イラクの安定の確立やヒズブッラーおよびハマースへの支援停止、核プログラムについて透明性をもって対応し核施設への査察に便宜を図ることを約束し、その代わりにアメリカ合衆国および西側の同盟国がイラクに拠点を置く反体制軍事組織ムジャーヒディーン・ハルクの解体の措置をとること、アメリカ政府がイランに対してとっている敵対的姿勢を停止すること、イランに対する経済制裁措置を終結させることを求めている」という。

 イギリスの「フィナンシャル・タイムズ」紙は昨年、2003年のバグダード陥落直後にイランがアメリカ合衆国との包括的協議を行う意向を示していたことを報じており、「当時協議の議題として挙げられたのは大量破壊兵器問題、二国家共存によるパレスチナ・イスラエル紛争の解決案、レバノンのヒズブッラーの将来、国際原子力機関(IAEA)との協力などであった」と伝えている。また同紙は、「アメリカ合衆国は2003年には強者の立場からイランの提案を拒否した。バグダードの陥落を受けてアメリカ政府の新保守主義者たちは、イランにおける体制変革をも関心の対象に加えたのである」と述べている。

 一方、ビル・クリントン前大統領の時代にホワイトハウスの首席補佐官を務めていたアメリカ進歩センターのジョン・ポデスタ所長は、「対テロ戦争の最大の受益者は、今やより敵対的になったイランである。その一方でアメリカ政府の同盟者たちは外交活動を無視してこのイラクの強力な隣国に対する軍事的挑戦を呼びかけつづけたのだ」との見方を示した。

 この報告は「ヒズブッラーは中東地域において高まる不安定の状況を利用してイスラエルを挑発し、1ヶ月にわたる流血の戦争へと引きずり込んだ」と指摘し、「ブッシュ大統領自身が認めているように、イラクとくにバグダッドにおいては、イラク人が実現した政治的な成果よりも暴力の方が圧倒的に広まっており、アメリカ政府は『緩慢な失敗』を認めざるを得なくなった」と述べている。

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( 翻訳者:河上直衣 )
( 記事ID:10010 )