バイラムパシャ刑務所の検察官、ディンク殺害容疑者への特別待遇疑惑を否定
2007年02月04日付 Radikal 紙

イスタンブルの共和国検事長であるエンギン氏は、ディンク殺害容疑者のサマストが、バイラムパシャ刑務所の2人用監房に1人で収容されていると話した。エンギン氏は、「サマストは自殺を図る可能性があるため、彼にはシーツすら与えていない」と話した。

イスタンブルの共和国検事長であるアイクト・ジェンギス・エンギン氏は、フラント・ディンク殺害容疑者のオギュン・サマストが、バイラムパシャ刑務所で他の囚人と異なる待遇を受けているという疑惑を否定した。

本紙は3日、「サマストはバイラムパシャ刑務所でも『大歓迎』でもって迎え入れられた」という記事を伝えた。記事では、サマストが刑務所で特別待遇を受けていると説明した。イスタンブルの共和国検事長であるエンギン氏は、記事が出た後に会見を行い、刑務所ではサマストに特別待遇を与えていないと話した。エンギン氏によると、サマストは18歳以下が収容されるHタイプ刑務所の隔離された二人用の監房に収容された。続けて以下のように語った。「この監房にペンキがぬられてあるとか、じゅうたんが敷かれているとか、テレビが置かれているといったことは事実ではない。同じく、外部から囚人に食事を持ってくることも無理なように、もとから規律に反していることなのである。この種の囚人は自殺の可能性があるので、ベッドにシーツすら敷かせていない、シルクのシーツが敷いてあるなんて冗談は、やめてほしい。『ワイドスクリーンのテレビ』も噂になっている。この監房にテレビを置くスペースがないように、テレビのコンセントをさすプラグすらないのだ。同様に、看守や憲兵がサマストの入所を拍手で迎えたということも根も葉もないことである。また、新聞で述べられているように、彼はここに4日間も収容されていない。丸1日は入っていたが、翌日の夜半にFタイプ刑務所に移された」。さらに、エンギン氏は刑務所で特別待遇がなされたというのは事実ではないとして、次のように話した。「サマストは、二人用監房に特別な手心を加えられることなく、何も敷いていないベッドのある部屋に収監された。そして二人用監房に1人で収容されていたのだ。自殺を図ったり、他の囚人から暴力を受ける可能性があるため、Fタイプに移るまでは1人で収容されていた。その点から、書かれてあるような形で、物理的に手心が加えられるなど不可能だし、ありえない。この記事の執筆者、及び記事執筆責任者に対し法的措置が取られるであろう」

■ 「監房に直行しなかった」
バイラムパシャ刑務所の検察官であるメティン・シェンチュルクは3日、新聞記者たちにイスタンブルHタイプ刑務所を案内した。シェンチュルクは、ハサン・エルソイル(訳者註)はサマストと同じ場所にはいなかった、と強調して次のように話した。「サマストは1月24日、1時40分にここへ連れて来られた。私は外の門のところから彼に同行した。そこで身体検査をした。私は頭部周辺をチェックした。そこからHタイプ刑務所に来た。さらに3日は刑務所面会日であった。門の前には面会人たちがいた。隔離された監房、つまりB1は、ここへ連れてこられた全囚人が最初に入る場所である。われわれは囚人たちをすぐに監房に送らない、というのは敵対する者がいる場合があるからだ。2~3日はB1監房にいてもらう。あの日サマストも、まずB1に連れてこられた。彼のためにB1監房通路の端にある6つの部屋が用意された。多くて4名が他の監房に移された。この6つの部屋の前にある、鉄格子のドアは閉められていた。24時間監視にあたる者が置かれた。ハサン・エルソイルは1月18日にB1に収容された。そこで1晩を過ごした。19日にはB4監房に送られた。サマストがまだいなかった時に彼がB1にいたということだ。サマストは1月24日にここへ連れて来られたあと、26日の朝7時に別の場所に移された。そのあと監房が混み合っていたため7~8人のグループがB1に収容された。この中にはエルソイルもいた。彼はサマストと同じ時にここに収容されてはいなかった。エルソイルはB4監房には100人いたといっている。現在8部屋に60人が収容されている。100人はとても無理である」

■ 靴紐も没収
検察官であるシェンチュルクは、サマストが収容されていた部屋を案内して、部屋に消毒されたじゅうたんがないことを示して以下のように話した。「ここには、どの部屋にもテレビが無い。ワイドスクリーンのテレビなど、監房のドアすら通ることができない。刑務所ではシーツは一色、青のみである。シルクのシーツなどあり得ない。通常、囚人にはシーツと布団カバーを与えている。サマストにはシーツすら与えていない。自殺を図る可能性があるため、ベルトと靴紐も没収した。部屋にペンキが塗られているということも事実ではない。外部から食事が来るというのも無理だ」

訳者註
ハサン・エルソイル:『ラディカル』紙にバイラムパシャ刑務所でサマストが特別待遇を受けていたとの情報を伝えた人物。1月18日から10日間同じ刑務所に収監された。彼はかつて冤罪(殺人罪を言い渡されていた)でトルコ政府を訴え、トルコ政府も冤罪を認め釈放したことで、トルコでは名の知れた人物。今回クレジットカードの支払いを怠り、訴えられ、財産の告知を拒否したため10日間収監された。(『ラディカル』紙2月3日付の記事より)

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( 翻訳者:井上さやか )
( 記事ID:10080 )