「深層国家」問題解決に必要なものは? ― 首相発言に対する識者の声
2007年02月04日付 Zaman 紙
タイイプ・エルドアン首相は、「深層国家」問題に関連した発言を続けている。しかしこの試みから成果を挙げるためには、包括的な対策が必要であるという声が挙がっている。
情報局のビュレント・オラクオール元副局長は、国家の内部で法を逸脱している集団を抑え込もうとするときに、政治的な意志の伝達だけでは十分でなく「官僚的な通達が必要だ」と話した。オルタン・スングルル元法相は、国家内部での不正行為を防ぐために法律を作ったが、成果を挙げられなかったと述べる一方で、世論の支持が条件であると語った。トルコ大国民議会犯人不詳殺人事件調査委員会のサードゥク・アブンドゥクオール元会長は、「こうした組織の規制は野党や市民社会組織とともに包括的に行うべき」という考えを示した。ヒクメト・サーミ・チュルク元法相は、この種の組織をなくしていくことは国家の任務であると述べた。
首相が先鞭を着けた深層国家の議論が広まりを見せている。ビュレント・オラクオールもエルドアン同様、トルコでは「国家のように振舞い」、「国家の権限を法外で利用する」一連の人々がいると語った。こうした組織は多くの公共機関に存在すると指摘する一方で、「これらを抑えるためには政治的な意志の伝達だけでなく、官僚的な通達もなければならない」と述べた。
オルタン・スングルルは、法律が不十分であることに苦言を呈している:「世論も支持することが必要だ。我々は国家内部の不正行為と闘った。法律の整備に努めた。しかし世論の支持がなかったためにうまくいかなかった」。
アブンドゥクオールは、深層国家と国家機関内の暴力集団は異なるものだと主張、(この内)暴力集団のような組織には大臣や国会議員を務める人物が加わっていると言い、次のように述べた:「この種の組織の規制のため、我々は政府、野党、市民社会組織と一丸となって取り組まなければならない。私は暴力集団について報告書を準備したが、その報告書は棚上げにされてしまった」。
ヒクメト・サーミ・チュルクは、フラント・ディンクを殺したオギュン・サマストと一緒に(国)旗を持って写真を撮った公安関係者のことに触れ、次のように続けた:「この出来事は、警察や軍警察の中に殺人犯にシンパシーを感じる者がいることの証左だ。これはより深刻な事態だ」。
正道党(DYP)のネヴザト・エルジャン副党首は、国を構成する公共機関は法律で定められた権限を時折逸脱しているとし、こうした法の枠外に置かれた状態を解消する任務を担うべきは国の指導者であると述べた。
祖国党(ANAP)会派のスレイマン・サルバシュ副会長もその責務はエルドアンにあると主張した。
■エルドアンの「深層国家」に関する発言
2007年1月27日:深層国家は、トルコ共和国になってから始まったものではない。はるかオスマン朝時代から続くものだ。しかしこれを最小限に食い止め、可能ならばなくすことが必要だ。
2007年1月29日:深層国家は、公共機関内部にある暴力集団のことである。今日までこの種の繋がりに対する規制が行われなかったために、国民と国家の双方がその代償を払ってきた。司法・立法・行政が一丸となって抑え込まなければならない。
2007年2月2日:一部の公務員が自ら個人的に信奉する価値のために法の枠を逸脱して暴力集団の活動に加わることは、深層国家そのものである。問題はこうした組織を見つけて追放することであり、我々はそうするつもりだ。どこに逃れようとも追いかける。
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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:10087 )