労組や経済団体など、刑法301条改正案を首相に提出へ
2007年02月06日付 Milliyet 紙
市民社会組織の提案では、「Türklüğü(トルコ人であることを)」という表現はそのまま残された。誤った解釈を導いている「aşağılama(侮辱)」という表現の代わりに、明らかな侮蔑行為を指し示す「tahkirとtezyif(※どちらも日本語では侮辱)」という表現を用いることが提案された。
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相に「トルコ人であることを侮辱すること」という題目のついた刑法301条についての改正の提案を求められていた市民社会組織は、6度目の会合で共通の条文案について合意に達した。これによれば、301条の「aşağılama」という表現の代わりに「tahkirとtezyif」という表現が用いられる。
条項に規定された刑罰の軽減と、条項が「明白かつ差し迫った危険」があるときに限り適用されるという点も盛り込まれた。トルコ人であるということを、「人種」ではなく「国民であること」という見地から解釈することで合意した。
■範囲を限定した討議
各社会市民組織は、2006年11月にイスタンブルでエルドアン首相と会談した際、刑法301条の改正を求めたところ「あなた方の提案を持ってきなさい」という返答を得た。これに従って開かれた4度の会合では、共通の条文案をまとめることができなかった。アゴス新聞総発行人のフラント・ディンクが殺された後、アンカラで2月2日にトルコ弁護士協会の呼び掛けに応じて集まった18の市民社会組織は、共通の条文案を出せなかったため、その役割を政府に返上した。
イスタンブルで前日に開かれた、狭い範囲に参加者を限定した6度目の会合で合意をみた。会議には経済開発財団(İktisadi Kalkınma Vakfı)、トルコ実業家協会(TÜSİAD)、独立実業家協会(MÜSİAD)、公務員労働組合(Memur-Sen)、トルコ真の労働組合連盟(Hak-İş)、トルコ革命労働組合連盟(DİSK)、トルコ労働組合連盟(Türk-İş)、トルコ商業会議所・商品取引所連合(TOBB)の代表者が参加した。条項全ての撤廃を強く主張していたトルコ医師会(Türk Tabipleri Birliği)、公務員組合連盟(KESK)、人権協会(İHD)は会議に参加しなかった。
会合では、刑法301条をどのような形で改正できるかという点で合意に達した。作成された共通の条文案によれば、条項にある「Türklüğü」という表現は変更されない。誤った解釈の元になっている「aşağılama」という表現の代わりに、明らかな侮蔑行為を指し示し、旧刑法でも使われていた「tahkirとtezyif」という表現が用いられる。
トルコ人であることという表現が人種に基づいて解釈されないようにするため、条項の理由書では憲法66条が参照される。憲法66条は、トルコ共和国に国籍を持つ誰もがトルコ人としてみなされなければならないという規定を含んでいる。刑法301条に違反した者に課される懲役刑を3年から2年に短縮することでも合意した。このようにして、この条項により課される刑罰は(執行が)延期される場合も出てくる。条文には、法の規定は「明白かつ差し迫った危険」がある場合に限り適用されうるという表現が用いられる。「明白かつ差し迫った危険」は条項の理由書で別途規定される。このような形で、何らの危険も起きずして解釈に依拠した裁判が開かれることをあらかじめ防ぐ。
条項の理由書では、規定が欧州人権条約の思想と表現の自由に対する条項ならびに欧州人権裁判所の判決に沿う形で適用されなければならないという点も明記される。このようにして、思想を表明すること全てに対し「(トルコ人であることが)侮辱された」と言って裁判を行えなくなる。
条項改正の提案は、DİSKのみ完全に廃止する必要があるとして辞退した。今後世間に公にされた後、エルドアン首相に提出される。
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( 翻訳者:穐山 昌弘 )
( 記事ID:10107 )