作家オルハン・パムク:「イスタンブルに友のような一体感を感じる」
2007年02月10日付 Milliyet 紙

オルハン・パムクは予定していたドイツ訪問を取りやめた。イタリアのラ・レプブリカ紙は、彼がドイツで行う予定だった講演を「つらい別れ」と評した。

イタリアの日刊紙ラ・レプブリカは、ノーベル文学賞受賞者オルハン・パムクがドイツ訪問のために準備していたが、旅行をキャンセルしたために発表できなかった講演の原稿を掲載した。
パムクは、「私のイスタンブル」という題名で書いた講演の原稿で、自分は住む町や国をかえることを習慣にする作家ではないと語った。イスタンブルとの「深い絆」が自分の内面にはあると述べるパムクは、「イスタンブルは、それ自身がもつ豊かさと深遠さ以上に、私に憂鬱と喜びの記憶を思い出させるとしても、私は心からこの都市に友のような一体感を感じます」と述べた。パムクは、イスタンブルでは非常に多くの人々が自身を異邦人のように感じるということにふれながら、次のように語った。
「イスタンブルでは皆が異邦人であり、孤独なのです。トルコ人も・・・正確に言うならオスマン人―イスタンブルを征服したオスマン軍の中にはキリスト教徒もいたのですから―、彼らはイスタンブルでは異邦人でした・・・。その後500年に渡り支配を続けたオスマンのエリートたちも、異邦人でした。彼らは完全に異なる文化的出自の持ち主だったわけですから」。
パムクは以下のように続けた。
「今日でも人口構成が急速に変化しているイスタンブルにおいて、住人の90%は結果的に外国人から成っています。私が子どもの頃から、バスやカフェで出会う人々は天気についてこぼした後に、私に何処の出身ですかと訊ねるのもこのためです」
同紙は、パムクが「民族主義者たちの脅迫のために」アメリカへ行かざるを得ないことを伝えた。そして「この講演(原稿)は作家の愛する都市への、事実上の『つらい別れ』である」と解説した。

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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:10141 )