3・14勢力がハリーリー元首相暗殺2周年記念集会を開催
2007年02月15日付 Al-Nahar 紙

■ 3・14勢力、危機の解決に向けて街頭における勢力の均衡を回復

2007年02月15日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 数十万人の参加者が殉教者広場とその周辺の街路を埋めつくし、シリア体制およびエミール・ラッフード大統領に対する激烈を極めた非難から、国際法廷を通しての解決を絶対の条件としつつも示された柔軟な姿勢に到るまで、さまざまなレベルの政治的立場が表明されたベイルート中心街での昨日の集会によって、3・14勢力は広場や街路における「現場での均衡」を取り戻し、同時に解決策に対する同勢力の政治的立場の前提条件を明示することになった。

 多数派勢力が2月14日という日を国民および政界に向けてのメッセージを発する機会となしえたのは、三つの主要な要因のためだと見られる。

 1.3・14勢力の支持層が殉教者広場に集結する24時間前の水曜日の朝にアイン・アラクでバス2台の爆破が起こり、一連の爆破事件が再燃することへの恐れを人々がよく打破しえたこと。それによって、3・14勢力の政治的進路はテロによって寸分たりとも変わることがないとあらためて強調するとともに、[ハリーリー元首相暗殺等に関する]国際法廷設置については交渉の余地はないとの姿勢を示したこと。

 2.多数派勢力の支持大衆がこの3ヶ月間鳴りをひそめ、反対派勢力が昨年の12月以来リヤード・アル=スルフ広場およびダッバース広場での無期限の座り込みを通して街頭行動を「独占」してきたが、今回の集会では、ハリーリー元首相暗殺を受けて3・14勢力が誕生した際の礎石となった大衆的基盤が「輝き」を取り戻したこと。

 3.「力の均衡」に基づいて反対派勢力に対話の手を差し伸べるとともに、国際法廷設置を妨害するためにシリア体制が設ける条件や障碍を反対派勢力が「保護」していると批判する、多数派勢力の政治的言説の再構築。

 こうした背景のなかで多数派勢力は大規模な参加者を集め、殉教者広場はいっぱいになり、サイフィー地区のカターイブ党本部からカランティーナ地区に到る道路と、ナハール本社からフェニシア・ホテルおよびアイン・アル=ムライサ地区に到る道路にも群衆があふれかえった。ベイルート中心街のその他の入り口8ヶ所は、多数派勢力と反対派勢力の集結する「2つの広場」の間を隔離するために閉鎖されて有刺鉄線が敷設され、国軍および治安部隊が警備についた。また反対派勢力が[座り込みの]キャンプ内にいる支持者の数を昨日の間は出来うる限り減らすことを決定したため、同勢力側の広場は全く無人の状態になっていた。

 ラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺2周年記念集会では、多数の人物が演説を行い、ナハール紙社主であるガッサーン・トゥワイニー議員から「ムスタクバル潮流」代表であるサアド・アル=ハリーリー議員に到る17人が演壇に上った。

 トゥワイニー議員は殉教者ジュブラーン・トゥワイニー[元議員・ナハール紙社長]の「誓いの言葉」をもって演説を始め、一連の暗殺は「実行した者が誰であれ、イスラエルの陰謀」の一環であると述べた。

 注目されたのはスールおよびアーミル山地のムフティーであるアリー・アル=アミーン師が参加したことで、アミーン師は「融和は我々の運命である」と述べて「国家の論理に立ち戻ること」を呼びかけた。

 3・14勢力に属する政党および政治勢力の指導者としては、ハリーリー議員および「民主主義会合」代表であるワリード・ジュンブラート議員、「レバノン軍団」のサミール・ジャアジャア執行部代表の発言が注目された。

 ジュンブラート議員の演説はシリア体制およびバッシャール・アル=アサド大統領本人に対する最も激しい非難に満ちたもので、「ダマスカスの暴君よ。蛇も逃げ出す蛇よ。海に吐き出された鯨よ。荒地のけだものよ。男のなりそこないよ。南部の瓦礫の上に生み出されたイスラエルの産物よ!」と痛罵した。

 ジャアジャア氏は[レバノンの]ラッフード大統領を非難して「バアブダ宮殿に潜む者よ。いかなる抑圧者も、暴君も、専制君主も、独裁者も、歴史はそれに相応しい報いをもたらさずにはおかないだろう。(...)強制的に不正をもって延長された任期を終えるとき、あなたは歴史のゴミ捨て場に消え去ることだろう」と述べた。

 演説を行った全員が対話を呼びかけるなかで、ハリーリー議員は最後に「我々がここにいるのは、全てのレバノン人に対話と国民の団結の手を差し伸べ、全てのレバノン人とともに我が国の団結と将来を確かなものにする勇気ある決定に到達するためだ」と述べつつ、どのような解決案においても[ハリーリー元首相暗殺等に関する]国際法廷設置の承認が条件であるとして、「我々はレバノンのための、レバノンの問題の解決のためのあらゆる勇気ある決定に合意する用意がある。しかし国際法廷こそが解決に到る唯一の通り道である。言葉を行為として結実させるために、勇気ある決定に臨もうではないか」と述べた。

■ ヒズブッラー

 3・14勢力の指導者が表明した立場に対するヒズブッラーの反応としては、「抵抗への忠誠ブロック」のメンバーであるフサイン・アル=ハーッジュ・ハサン議員が昨夜AFP通信に対して、国際法廷をめぐるハリーリー議員の発言にコメントして「我々はレバノンの危機の政治的な解決に賛成であり、国際的な性格を有する法廷の設置に関しては、設置規定を検討し、必要な修正を施し、憲法の規定に従って設置法案を承認することに賛成である」と述べた。また「(この方法によって)国際的な性格を有する法廷が設置され、国際調査で判明した殺人者および被告人が裁かれることになる。また、レバノン国内外のいずれかの勢力によってこの法廷が政治的に利用されることも防止される」と付け加えた。

 一方でハーッジュ・ハサン議員はジュンブラート議員およびジャアジャア氏を非難し、「両名は演説において用いた言葉によって、いかなる提案や解決策も反故にしてしまった。ジャアジャアは民兵組織の司令官という真の姿を現し、ジュンブラートの演説は政治家には相応しくない言葉に満ちていた」と述べた。また「演説の内容について言えば、両名の演説とサアド・アル=ハリーリー議員の演説を聞いてみると、ヒズブッラーおよびアマルがハリーリー議員と結んだリヤード合意がベイルートでジャアジャアとジュンブラートによって反故にされたことが思い起こされた」と付け加えた。

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( 翻訳者:森晋太郎 )
( 記事ID:10182 )