デミレル元大統領発言への反響—2月28日過程へのコメント
2007年02月20日付 Zaman 紙
第9代大統領スレイマン・デミレルがアクシヨン誌に行った発表は、先週一週間を通してアンカラに反響を巻き起こした。元首相ネジメッティン・エルバカンは、「一晩で白髪にされた」という表現で直ちに反応した。
イラン・イスラム革命の記念行事により、2月12日の晩アンカラのシェラトンホテルで行われたレセプションに参加したエルバカンは、イブラヒム・ドアンが差し出したアクシヨン誌を慎重に吟味した。
新聞記者らには、髪が白くなったということは人間の成長や成熟、そして新しい物事を学ぶということを意味すると説明しながら、「もしスレイマン氏が多くのことを学ぶ機会を我々が与えたのであれば、それは喜ばしいことである」と述べた。デミレルの「国民救済党を兵士が結成させた」という主張に対しても、「いや、そのようなことは言っていない。その言葉は間違っている」と述べた。
同じレセプションで国家安全保障評議会の元総書記トゥンジェル・クルンチ大将は、「デミレルは2月28日過程(*訳注)においてクーデターをイスマイル・ハック・カラダユ大将が食い止めたと言っている。どう思われますか?」という質問に対して、「デミレルが言っているのならばそれは正しい」と述べ、続いて「あの2月28日のような時を二度と繰り返さないようにしようではないか。2月28日過程を招くような状況が作り出されることを我々は望んでいない。現代的なトルコを望んでいるのだ。現代性から逸脱したとき、当然2月28日過程になるのだ」と付け加えた。
デミレルが表紙を飾った同誌はメディアでも反響を呼んだ。ヴァタン新聞は、デミレルの2月28日についての発表をそのまま引用し、「カラダユ大将が望んだならクーデターを起こせた」という見出しで記事を載せた。当時の国会議員からは新聞記者で作家のナズル・ウルジャックが、タクヴィム紙での2月13日付けのコラムで、この言葉からクーデターが法的に正当であるかのような意味が生まれたと書いた。さらに、デミレルが、クーデターを企てなかったことでカラダユ大将を称えたことも、彼によれば誤っていたという。ザマン紙の記者からはミュムタゼル・チュルクオネが、デミレルの発表にある55のファイルに注目した一方で、ムスタファ・ウナルは、「もはや何の疑いもない、2月28日は罪と善行とともにデミレルの仕業だ」と書いた。
*2月28日過程: 1997 年2月28日、国家安全保障評議会にて当時連立政権の首班であった福祉党を、民主的、世俗的、法治国家であるトルコ共和国にとっての「反動勢力」「脅威」と見なし、国家による宗教管理体制の引き締めを図る措置が決議された。「2月28日過程」とは、この前後の期間に行われた世俗主義勢力による一連のイスラーム勢力への弾圧・対抗措置をさす呼称とされる。
現代トルコ政治では、同年6月、連立維持に反対する正道党議員の離党に伴い連立政権が崩壊、翌98年 1月、福祉党が非合法化されるなど、結果として軍部の政権奪取を伴わない一種のクーデターとしても捉えられ、以降その影響は軍や司法、教育、メディアなど多方面に及んだ。
エルバカン元首相のメッカ巡礼裏事情(Milliyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News200641_2144.html
訳注より
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( 翻訳者:小野寺香織 )
( 記事ID:10223 )