【事件部】ヴァラーミーンで発生した婦女連続殺人事件の正体不明の殺害犯について、警察による特別捜査が行われている。ヴァラーミーン警察署の科学捜査により、4人の女性を殺害したのは一人の男で、この単独殺害犯は自家用車を使って、餌食となった女性らの〈狩り〉に興じていたことが判明した。
〔＊訳註：ヴァラーミーンはテヘランから南東の町〕

　本紙特派員の報告によれば、1384年末〔2006年3月中旬頃〕に若い女性の遺体がヴァラーミーン郊外の水路で見つかった。この時連続殺人鬼が息を潜めて女性を待ち伏せしているとは、誰が想像しただろう。

　最初の犠牲者となった女性の遺体を調査したところ、犯人を特定する材料は何も見つけられず、ただ犯人はこの若い女性を殴打し、自らの〈恐ろしい計画〉〔＊婦女暴行を婉曲的に表現したものと思われる〕を実行した後、ナイフで刺し殺して、その遺体をチャードルで包んだということが明らかとなった。

　ヴァラーミーンの刑事警察が若い女性の身元を特定することで殺害犯につながる糸口を手に入れようと捜査を開始したところ、被害者の女性の家族が3日前から、警察に対して行方不明になった女性の捜索願を出していたことが判明した。

　最初の被害者となった女性の家族を調査した結果、この女性は多くの貴金属や宝石を身に着けており、強盗に遭ったということが分かった。また彼女は親類の家に行くために自宅を出たのを最後に、二度と自宅に帰ることはなかったとのことである。

　二つ目の死体

　若い女性を殺害した犯人を特定するための捜査が行き詰る中、〔最初の遺体発見から〕2ヶ月も経たないうちに、別の若い女性の遺体がヴァラーミーン郊外の水路から見つかった。

　この死体もまたチャードルの中に包まれていた。犯人は今回、犯行にナイフを使うかわりに、犠牲者の女性を絞殺していた。また、この女性の身元が特定された際、今回もやはり貴金属や宝石が奪われていたことを捜査班は突き止めた。

　これら二つの犯罪には類似点があることを見てとった警察は、連続殺人事件に直面しているとの認識に至った。犠牲者らはいずれも人気のないところに連れ込まれ、そこで暴行を受け、殺されていた。

　約1ヶ月半後3人目の被害者が発見

　その後1ヶ月半も経たぬうちに、3人目の女性が殺された。今回の死体は前回までとは違っていた。抑制を失った残忍な殺人鬼は若い女性の手足を縛り、ナイフで刺して死に至らしめた。

　捜査により被害者は35歳の女性であり、この女性も多くの貴金属や宝石を身に着けていたことがわかった。さらに警察は、被害女性の体格が大きかったことから、殺害犯はこの女性が抵抗できぬよう手足を縛ったことも突き止めた。

　〔中略：その後殺害されたものと思われる2遺体がヴァラーミーンの水路で発見される〕

　6人目の遺体が発見

　捜査の過程で浮上した複数の容疑者が、いずれも女性殺害ヘの関与を否認する中、1385年メフル月〔2006年9月下旬から10月中旬〕、ナイフで殺害された別の若い女性の死体が、ヴァラーミーン郊外の水路で発見された。

　遺体の身元特定作業により、この女性も貴金属や宝石を多く身につけた状態で外出し、自宅に戻らなくなったことが判明した。殺害犯はこれらの宝石類の強盗に手を染めた模様である。

　〔中略：警察の捜査により、4件が連続殺人事件による殺人であり、その他の2件は連続殺人事件とは無関係であることが判明、これら2件の殺人事件の各犯人は逮捕されるが、4件の連続殺人事件の犯人はいまだ特定されていない〕

　　正体不明の殺人鬼

　今年のメフル月〔2006年9月下旬〕から現在まで、ヴァラーミーン郊外の水路で女性の死体が発見されたとの情報は発表されておらず、連続殺人は現在途切れた状態にある。警察はこれに対し、複数の可能性を想定している。

　第一の可能性は、連続殺害犯はある特定の地域でこれ以上犯罪を続けることに危険を感じとり、ヴァラーミーンを去って、別の町で凶行を続けているかもしれない、というものだ。

　捜査員らが考える第二の可能性は、連続殺害犯はおそらく別の犯罪によってすでに逮捕され、現在刑務所にいるのではないか、というものである。その場合犯人は、釈放後ヴァラーミーンに帰ってから、犯罪を再開する可能性もある。

　本紙記者の報告によると、ヴァラーミーン警察が考えるもっとも有力な線は、殺害犯は車を所有しており、白タクの運転手として被害女性らを車に乗せたのではないか、というものである。しかし、〔犯人の正体を突き止めるためには〕殺人鬼が次の手がかりとなるものを残すまで、待たねばならない。

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（ 翻訳者:前川元 ）
（ 記事ID:10254 )