司法を代表する立場にあった者らは2月28日過程について国民に謝罪すべき
2007年02月27日付 Yeni Safak 紙
2月28日過程の最中、軍参謀本部から、憲法裁判所、最高裁判所、行政裁判所の各々の長官やメンバーに反動勢力(宗教勢力。具体的には当時連立政権の一翼を担っていた福祉党)の脅威についての状況報告がなされた。何台かのバスに押し込まれた高等裁判所長官とそのメンバーは軍参謀本部での軍の状況報告に加わった。参謀本部での報告に加わらなかった前最高裁判所共和国検事のアフメト・ギュンデルは「2月28日の(軍の)介入とその状況報告において、司法関係者とトルコ国民が蔑ろにされ、名誉を傷つけられた」と述べた。ギュンデルは「司法を代表する立場にあった人々は、全ての司法関係者やトルコ社会にたいして謝罪の意を示すこと、そしてこのことは、同時に将来、民主主義をいかなる形であれ中断させようと画策するものを思いとどまらせるのに必要であると考える」と語った。
前共和国検事のギュンデルは、2月28日過程を本紙に以下のように総括し、評価した。
■本紙記者:
2月28日過程について参謀本部で司法関係者に対し状況報告が行われた。参謀本部がこの種の報告をすることは「司法機関に対していかなる人物および機関であれ指示を行ってはならない」との原則に反していないのですか?
ギュンデル:
トルコ共和国憲法の第138条第2項によると「いかなる機関や役職、またいかなる官庁および人物も、法的判断を下す裁判所や裁判官に対して命令や指示を与えることはできないし通達を行ってはならない、また勧告や示唆を与えてはならない」とある。司法に影響力を行使することや、司法を特定の方向に方向付けようとする行為は確かに憲法のこの原則に反することである。次のことを強調する必要がある。当然のこととして、必要とあらば、国家のなかのある組織が、自らの専門分野についてそれぞれに報告をするために会合を開くことはある。しかし、参謀総長が司法に対して行った状況報告はこの範囲の中で行われたものではない。報告をするというただのパフォーマンス以外、内容については実際具体的で満足のいく情報がなかったことが判っている。この報告は、選挙によって選ばれた政府に反対し、2月28日に起こった法を無視した介入を合法であると示し、世論から支持を得るためのものである。さらに報告で、国家が反動勢力の脅威のもとにさらされていることについて具体的なデータは明らかにされなかった。
■本紙記者:
2月28日過程で「(軍の先棒をかつぐ)攻撃的法律家」が形成された、とあなたは述べています。「攻撃的法律家」とは何を意味するのでしょうか?
ギュンデル:
法律家とは、憲法や法そして法的解釈に基づき、普遍的な法規則に則り、また調査書類の内容に忠実で、さらには良心にしたがって法の適用を行うことのできる人物のことである。2月28日過程において、この原則に反し、周囲の状況やイデオロギー的思想によって法の適用を行った検事や司法官が現れた。彼らは一部の勢力や組織からも賞賛され、勇気付けられた。彼らについては世論や法曹界も良く知っている。「攻撃的法律家」とは彼らのことだ。彼らの一部はいなくなった、しかし一部は今も法曹界にいて、司法を政治化しようと努力を続けている。攻撃的法律家について触れるのに、「真の法律家」について話さないと、彼らを不当に扱うことになる(ので、ここで彼らについてふれよう)。何百何千という調査書類の内容を調べ、朝―晩、週末を問わず、ほこりまみれの、においがする狭い部屋で、僅かでも可能性があれば、それにより正義をもたらそうと努め、これほどの否定的な状況でも司法を成り立たせることに成功し、司法組織の中でまた最高裁判所のような高等裁判所で勤めを果たしている検察官、裁判官、判事、最高裁判所共和国検事、最高裁判所のメンバーら、多くの司法関係者に対し、われわれ国民として感謝の念を示さなければならない。
■本紙記者:
あなたはこの見解を示したために、最高裁判所のメンバーによって法務省に訴えられましたね。調査の結果はどのように?
ギュンデル:
そのとおりです。ある新聞に掲載した記事のため、肯定的、否定的な多くの反応があった。以前トルコ刑法301条に関する訴訟を扱う部局のメンバーであったが、その後最高裁判所の別の部局の長になり、今は引退している人物が、私が私自身25年間も勤めた司法界の品格を貶めたとして、関係部署に訴えた。ただこれは調査の段階にとどまっている。そもそも、法学部の学生でさえ記事の内容は罪になるものではないことが分かるようなものだ。私は何年もの間、上述の301条を扱う部局で働いていた。この私に対する訴えは、第301条がよく議論されている昨今において、『実際に法の適用に起因する不満』の興味深い一例となっている。いそいそと状況報告の場に赴くことは「おもねり」とはみなさず、しかし状況報告にどうして行ったのかと尋ねられると、これは司法への侮辱となるのだ。これは301条を法的に適用する現場にいた、ある一人の司法関係者の、この条項に対する見方なのである。
■本紙記者:
2月28日過程で様々なことが起こったのですから、司法関係者が社会に説明をする必要はないのでしょうか?
ギュンデル:
2月28日の(軍の)介入とその状況報告において、司法関係者とトルコ国民が蔑ろにされ、名誉を傷つけられた。ありもしない脅威が増幅され、そのため我々はこの問題で道を誤ったのだ。参謀本部への入り口で、法的にボディーチェックなど受ける必要のない検察官や裁判官のボディーチェックがなされ、兵士らは立ち上がり拍手させられたのだ。司法を代表する立場にあった人々は、全ての司法関係者やトルコ社会にたいして謝罪の意を示すこと、そしてこのことは、同時に将来、民主主義をいかなる形であれ中断させようと画策するものを思いとどまらせるのに必要であると、私は考える。彼らは謝罪の責任を果たし、この時代を詳細に問い直すべきだと信じている。
■本紙記者:
参謀本部の状況報告に司法関係者が加わることは、司法の独立の原則に反しないのですか?
ギュンデル:
司法が信頼され、正しく機能するためには、何ものからも独立し、中立であることは必要だ。2月28日過程で司法は軍当局から指示を受ける組織として、また分断された社会の明らかな一部の側につき、もう一方の側とは対立する組織として姿を現し、法を無視した軍事介入や戒厳体制を支持する機関という性格を持つに至った。2月28日過程では単に司法の独立という原則に一撃が加えられただけではなかった。司法以外に政府の権威も完全に無視されたのだ。一瞬にして偉大なるトルコ共和国は、国家であることから部族的な集団に貶められたのだ。
■本紙記者:
参謀本部で用意された整えられた状況報告に加わるよう圧力がかかりましたか?状況報告に加わるよう、あなたに呼出しがありましたか?
ギュンデル:
状況報告に加わるよう、さまざまな司法関連部局に、署名が「参加―不参加」との意思表示となるリストが回ってきた。みんなの中に、参加しなければという空気がうまれていった。つまりこうした形で検察官や裁判官に対する弾圧がなされた。司法関係者の一部はこのことを厭わなかった、またある一部も「後々面倒なことに巻き込まれないよう」行かざるをえないと考えた。私が働いていた最高裁判所共和国検察局にも署名が返答になるようなリストが回ってきた。リストに「参加しない」として署名し、当然状況説明にも加わりませんでした。
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( 翻訳者:栗林尚美 )
( 記事ID:10275 )