参謀軍事裁判所が提出した、法律家の資格のない将校は軍事法廷に参加しないようにとの申し入れが、議論を巻き起こした。現状維持派は、「将校は兵舎生活を知っているのだから(軍事法廷に)とどまるべきだ」と述べている。
参謀軍事裁判所は憲法裁判所に訴訟をおこし、「軍事法廷組織および裁判法」と「軍人裁判官法」に定められている3つの重大条項の取り消しを請求したが、これが軍事法廷の独立論争を生み出した。
請求の第一では、「軍事法廷組織および裁判法」第2条に記載されている「軍事法廷は2人の軍人裁判官と1人の将校で構成される」との条文の中の「将校」という文言を取り消しするようにとの要求がなされた。これが承認されれば、軍事法廷では唯一法律家の資格を持つ将校のみが司法判断の任にあたることになる。「軍人裁判官法」のいくつかの条項の取り消し請求をも行った(参謀軍事)裁判所は、軍人裁判官将校の階級昇級、階級の在任期間、地位の昇進を決定づける資質がしっかりと書きとめられている調査書の中から、「将校に関する調査書」が取り除かれることを、そして法律家の資格を持つ将校だけがこうした調査書によって評価されることを要求した。
■「司法の独立に反している」
軍事裁判所が、憲法に反しているとの理由で廃止を要求している第3のものは、「軍人裁判官の人事異動および任命が、他のトルコ国軍の成員の場合と同じ条項に従ってなされること」を規定した条項であり、この条項が司法の独立に反していると主張した。
空軍学校のかつての教員であり、軍法の専門家であるイスメト・ポラットジャン弁護士は、高等裁判所で行われている訴訟を次のように評価した:
「将校らは裁判所において、軍事的行動に判断を下すため配置されているのだ。そこにいるのは兵舎での生活のありようを彼らが知っているからである。こうした観点から裁判に将校らがいることは意味があるのだ。」
しかしEUに合った法ということを鑑みた場合、将校は法廷から出て行くことが必要となってくる。将校が法廷に参加することで、特に司令官らが支持する訴訟においては、少ないながらもリスクが生じうるのだ。理想はすべての人が法律の専門家であることだが、将校にも(法廷で)重要な役目がある。」
■評議員のようなもの
前軍事最高裁判所事務総長のアリ・ファヒル・カヤジャン弁護士は、将校が法廷から出て行くことは絶対的に正しいとも間違っているともいえないと述べ、次のように続けた。:
「将校は1963年から今まで裁判に関与している。欧州人権裁判所は、軍事高等行政裁判所から法律家でないメンバーを除外したいという要求を拒絶した。憲法裁判所においても、行政裁判所においても法律家でないメンバーもいる。事実、将校の、裁判における役割はとても小さいものだ。
裁判官は、部隊での生活のあり方を知らない。将校は、評議員のようなものなのだ。しかし任命という方法で裁判所に配置されないため、書類上は裁判官にはなりえない。戒厳令下での裁判が議論される場合、将校が法廷から外れることを私は支持する、だが通常の軍事法廷では有益となりうる。」
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( 翻訳者:栗林尚美 )
( 記事ID:10392 )