米国務省人権報告書「レバノンの人権状況に未だ多くの問題点」
2007年03月07日付 Al-Nahar 紙

■ アメリカの人権報告書「レバノンに多くの問題点」

2007年03月07日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【ワシントン:本紙、諸通信社】

 世界の人権の状況に関する米国務省の年次報告書が公表され、それによると昨夏のヒズブッラーとイスラエル間の戦闘以前のレバノンにおける人権状況に起こった改善にもかかわらず、また「集会の自由拡大のために政府がとった重要な措置」、デモや政党および団体の許可、「認可を得ていない盗聴を禁ずるために着手された具体的な措置の実施」にもかかわらず未だ多くの問題点があり、その例として刑務所で脅迫・拷問行為が行われ、「政府の腐敗や透明性の欠如から生まれた雰囲気の中で」国民の個人的権利が侵害されているとのことである。また報告書は、国家権力の管轄外であるパレスチナ難民キャンプ内での同様の侵害行為を指摘している。

 さらに、ヒズブッラーが依然として「国内の諸地域で重要な影響力を維持しており、同様にパレスチナ民兵も難民キャンプの支配を継続している」と付け加えた。また国連安保理決議第1559号、1614号、1701号がレバノン国家に対してレバノン領内で活動中の民兵の武装解除を呼びかけているにもかかわらず、「国内の政治的対立、治安部隊の無力などのいくつかの要素の結果、政府は現在に到るまでヒズブッラーなどこれらの非合法的な組織の武装解除に必要な措置をとっていない」ことを指摘している。

 また報告書は一連の暗殺事件や暗殺未遂事件にも言及している。その中には「イスラーム・ジハード」運動のメンバーであるマフムード・マジュズーブ氏の暗殺、ラフィーク・アル=ハリーリー元首相暗殺事件の容疑者を裁くための国際的な性格を有する法廷設置について協議するため国連の高官が到着する際に起こったサミール・シャハーダ准将の暗殺未遂事件、ピエール・アミーン・アル=ジュマイエル工業相暗殺事件などが含まれており、これらの暗殺事件に関する調査が依然結論に至っていないのは何故かについても言及している。

 またイスラエルがレバノン侵攻の際、クラスター爆弾を使用したことに起因する危険な状況に触れ、特にその40パーセントが不発弾であり、それによって19名の民間人が命を落とすに至ったことに言及している。報告書の推定によれば、爆発していないイスラエルのクラスター爆弾は65万発から110万発に上るとのことである。

 刑務所での拷問については報告書によると、国際的な人権団体に資料が揃っており、レバノン国家も初期捜査の段階で被拘束者の人権に対する侵害行為が起こっていることを認めている。またレバノンの刑務所の状態は「劣悪」で国際的な最低限の水準をも満たしていないと評価されている。また、レバノンの情報局員は国軍内の問題や諜報活動、反逆行為、武器所持などのケースについては「(司法当局からの)逮捕状なしに」国民を拘束しているという。

 また報告書は、2005年4月にシリア軍がレバノンから撤退した後はレバノン当局はジャーナリストへの嫌がらせを行っておらず、シリア撤退以前のようにレバノン国民をシリアへ移送したとの非難が政府に対して行われた例もないことを指摘している。

(後略)

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( 翻訳者:田中裕子 )
( 記事ID:10396 )