■ パレスチナ・イスラエル首脳会談に進展はなし
■ オルメルト首相「サウジアラビアのイニシアチブは関心に値する」
2007年03月12日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
【ラーマッラー:ムハンマド・ハウワーシュ】
パレスチナのマフムード・アッバース大統領とイスラエルのエフード・オルメルト首相は昨日エルサレムで会談を行ったが、封鎖についての立場、パレスチナ国家樹立とロードマップ履行に向けての交渉の再開、それに先立つガザ地区における沈静化のヨルダン川西岸地区への拡大、ヨルダン側西岸地区で「A」地区および「B」地区に分類される地域、すなわちインティファーダ以前にはパレスチナ自治政府の管理下にあった地域の法的地位の回復といった諸問題については、何の進展もなかった。
パレスチナのサーイブ・オライカート交渉団長は、「会談は多くの問題に相違があったために難しくはあったが前向きだった」と評した。そして、「アッバース大統領はオルメルト首相に、いくつかの諸問題について提起した」と述べたが、オルメルト首相がそのいずれかに同意したかどうかについては明らかにしなかった。それはすなわち今回の会談では、近く中東地域を訪問する予定であるアメリカのコンドリーザ・ライス国務長官の期待どおり政治的展望をひらくために双方の間の膠着した状況を打開するには至らなかった、ということを意味している。
(中略)
■ シャリット兵士
イスラエル・テレビが報道したところによると、会談の中でアッバース大統領はオルメルト首相に、[パレスチナ武装勢力の捕虜になっているイスラエル軍の]シャリット兵士は来週解放される旨を伝えた。同テレビによれば、「首脳会談では大きな進展が見られた。この進展についての吉報は、来週中に現れるであろう」とのことである。
また双方の治安および民生分野に関する委員会の活動再開について合意が成立し、両者はサウジアアラビアのイニシアチブについて議論し、オルメルト首相は真剣な関心を表したという。
ムハンマド・ダフラーン議員もまた、会談が「難しくはあったが前向き」なものであったと繰り返し、「挙国一致内閣についてそれがパレスチナの内政問題であるとしたうえで議論がなされ、カルニ検問所とラファハ検問所の問題が提起された」と述べた。会談に同席したダフラーン議員は、「会談ではアッバース大統領がオルメルト首相と、パレスチナ人捕虜、特に子供、女性、病人の解放について協議した。シャリット兵士の問題についても協議した」と述べ、「アッバース大統領はオルメルト首相に対して、パレスチナ国民の往来を自由にするために、自治区内の検問所を撤去するよう要求した」と明らかにし、「両者は今後も再び会合を開くことで合意した」と説明した。
■ サウジアラビアのイニシアチブ
イスラエル・テレビがオルメルト首相からパレスチナ自治政府大統領を迂回する行動として伝えた意外な展開としては、オルメルト首相はアッバース大統領が到着する前に、サウジアラビアのイニシアチブを賞賛し、「関心に値する」ものだと述べた。イスラエル・テレビ第2チャンネルによると、このことはイスラエル政府がアッバース大統領を必要とすることなくサウジアラビアと直接の道を開こうとしていると解釈される。
現地の新聞はこちら
( 翻訳者:新谷美央 )
( 記事ID:10427 )