アフマディーネジャード大統領、ナタンズの核施設で「吉報」を発表:イラン、核燃料の産業生産を実現
2007年04月10日付 E'temad-e Melli 紙
「イランは核燃料の生産において、同燃料の産業生産国の仲間入りを果たしたことを、高らかに宣言する。この偉大なる成果を、最高指導者とイラン国民にお祝い申し上げる」。
マフムード・アフマディーネジャード大統領は昨日、《良き知らせ》として、このようにナタンズで発表した。同大統領の昨日のこの発言は、《核技術国民記念日》に際してナタンズの核施設で開かれた特別式典でのもので、この式典には大統領以下、最高指導者事務局長、〔ダーヴーディー〕第一副大統領、〔ラーリージャーニー〕国家安全保障最高評議会書記、〔ジャンナティー〕護憲評議会書記、〔アーガーザーデ〕原子力庁長官、〔エルハーム〕政府報道官兼司法相、アーヤトッラー・アミーニー最高指導者専門家会議前副議長、〔モスタファー・モハンマド・ナッジャール〕国防相、モハンマド・ヤズディー護憲評議会イスラーム法学者委員、その他多数の国会議員や官僚・軍人、様々な国の大使や公使らが列席した。
また、約400名のジャーナリストやカメラマンらも、式典の様子を取材するためにナタンズに集結、《核の吉報》を世界に報じた。
この式典が開かれる前、マフムード・アフマディーネジャード大統領は閣僚や他の政府関係者らとともに、記者やカメラマンをシャットアウトして、ナタンズの核施設を視察した。
大統領は視察後、式典会場に姿を現し、正式に全国で開かれる《核の式典》の開会を宣言した。
この式典では、まずイラン国営放送学校の交響楽団がイスラーム共和国国歌を演奏、さらにコーラン朗唱が行われた後、フェレイドゥーン・ベイグデリーが『おお、イラン』を熱唱した。
ある歌手がイマーム・アリーや殉教者たちの名を挙げると、大統領の目には涙が浮かんでいた。また式典の最中、イランの核活動の様子を収めたフィルムが上映された。
マフムード・アフマディーネジャード大統領は《核技術国民記念日》の式典での演説で、用意された原稿に目を通しながら、次のように語った。「昨年のファルヴァルディーン月〔2006年4月〕、〔マシュハドにある〕第8代イマーム・レザーの聖廟の横で、核燃料サイクル技術の獲得という、我が国の学者たち、及び若き研究者たちの成果を国民の皆様にお伝えし、イランは同技術の保有国の仲間入りを果たしたことを宣言した」。
同大統領はその上で、当時イラン全国で歓喜の声がこだまし、自らの力を信じる心、為せば成るとの確信に満ちた雰囲気が生まれたと指摘し、さらに「賢明なるイラン国民は、この出来事を若者たちの成果であると讃え、その真価を評価してこれまで以上の決意をもって、自らの当然の権利としての核の技術を守り通す努力をしてきた」と述べた。
大統領はまた、「国民各層は大小を問わず、ほぼすべてが『原子力エネルギーは我らが正当な権利』をスローガンとして掲げ、〔敵の妨害・反対に〕抵抗し、〔核技術の獲得という〕道を突き進むよう、国の指導者や若き研究者らを勇気づけてきた」と述べた上で、さらに次のように語った。「84年のバフマン月22日〔2006年2月11日〕の革命記念日に、国民は歴史的な規模で参加し、この〔核の〕技術〔の獲得〕を強く主張した。翌年の85年バフマン月22日〔2007年2月11日〕の革命記念日にも、国民は全国津々浦々で伝説的な規模で参加し、自らの権利を確認した」。
アフマディーネジャード大統領は、核技術の獲得はイランの力と能力の象徴であり、科学技術におけるさらなる飛躍の序曲であるとした上で、「昨年、われわれは国民が産業、農業、文化、医学などの様々な分野で大きな飛躍を遂げたことを目の当たりにした。国民は今も、神の恩寵と自らの能力によって、前進を続けている」と述べた。
大統領はまた、イランは過去約35年間国際原子力機関(IAEA)の加盟国であり続けているとした上で、「核不拡散条約(NPT)とIAEA憲章によれば、IAEAの加盟国は核燃料〔の生産の権利〕を享受できる。また〔核技術を持たぬ国が〕IAEA憲章とNPTに明記された権利を活用する場合、すべてのIAEA加盟国は他の加盟国に対して援助を行う義務がある」と指摘、さらに次のように論じた。「IAEA加盟国の責務とは、〔核の正当な権利を妨害することではなく〕核兵器の生産へと逸脱しないようにすることである。イスラーム共和国は、IAEA憲章に明記された合法的権利を享受してこなかったが、しかしにもかかわらず、自らの義務は完全に履行し、〔核活動に関わる〕書類をIAEAに提供してきた。イランはIAEA査察官の監督下におかれ、もっとも厳しい監督をIAEAから受けてきた。どのIAEAの報告書にも、イランの活動に関して逸脱があったとは全く記載されていない」。
大統領はさらに、「しかし残念なことに、これほどの透明性を確保し、法的義務を遵守してきたにもかかわらず、イランの活動が平和目的であることに対して、一部の国から言いがかりや異論が提起されている。彼らは核エネルギーを完全に享受し、しかも自ら規則を破っているにもかかわらず、である」と付け加えた。
アフマディーネジャード大統領は続けて、「イランの平和的核活動に対して今日起こされている問題は、国連安保理や同理事国の将来を決める試金石となろう。というのも、彼らの決定は、彼らが諸国民の国際的権利をどのくらい尊重し、公正さや正義を守っているのか、さらには彼らが制定した規則を彼ら自身が遵守しているのか、ということを示すことになるからである」と指摘した。
大統領はさらに、「イランは何十年も前から、数多くの協定や合意をアメリカやカナダ、フランス、ドイツなどの各国政府と交わしてきた。ところが、これらの一部は技術的・政治的問題により、反故にされてきた」と指摘した。
大統領はまた、イランの核活動は何年も前から継続されてきたものであり、すべて科学者や技術者、産業界の協力によるものであるとした上で、「今日、核燃料サイクルの獲得は、〔イランに対する〕反対や言いがかりの常套手段となっており、もはや新しい問題ではない。このような問題(反対)は残念なことに、政治的目的、私利私欲が動機となっている」と述べ、さらに「西洋列強は政治的な私利私欲から、この問題を扱っている。彼らはイラン国民が進歩を遂げるのを望んではいないのだ」と指摘した。
大統領は続けて、「本日ファルヴァルディーン月20日〔4月9日〕は、《核技術国民記念日》である。昨年の今日、イランの地の子供たち、イラン国民の若き研究者たちの努力によって、我が国は核燃料生産技術を手に入れた」と語り、次のように付け加えた。「我が国は昨年1年間で、産業用の〔核燃料の〕生産過程に到達することができた。〔核燃料生産技術を獲得したという〕このめでたき出来事の記念日である本日、私はイラン国民の下僕として、イランが〔核〕燃料の産業生産国の仲間入りを果たしたことを高らかに宣言し、この偉大なる成果を最高指導者と偉大なるイラン国民にお祝い申し上げる」。
大統領はこのように、イランが核燃料の産業生産国の仲間入りを果たしたことに言及した上で、この勝利は偉大なるイマーム〔・ホメイニー〕の指導の下、国のために命を投げ打った殉教者たちや献身者たちが切り開いてくれた道のおかげであり、その道とは独立と進歩、完全なるイスラームとその栄誉を目指すものに他ならないとした。
大統領は続けて、次のように語った。「すでにできあがっているタイムテーブルに則り、2万メガワットの原子力発電を達成し、さらにこの技術を医療や農業・工業に利用するべく、イランは今後も動きを止めるつもりはない。われわれはこの件について、イランとの対話を望むすべての国と手を握る用意があるが、しかし今日の状況を公正なる態度で受け入れようとしない国に対しては、我が国民に対する抵抗と妨害をやめ、強要的・敵対的態度を改めるよう求める。高い意識をもった我が国民は、最高指導者の加護のもと、そのような国々に対して毅然と立ち向かい、自らの権利を守り通すということを知るべきである」。
大統領はまた、「イラン国民は、問題の解決をはかるための対話を、法に則った公正な態度で行うことを歓迎する」とした。
アーガーザーデ原子力庁長官:われわれは遠心分離器の大量生産段階に入っている
アフマディーネジャード大統領の演説に続き、レザー・アーガーザーデ原子力庁長官が式典の中で、イランのこれまでの平和的核活動プログラムについて説明を行った。
アーガーザーデ長官はまず、次のように述べた。「ウラン鉱山の発見とウラン鉱石の採掘、核燃料生産のためのイエロー・ケーキの生産と鉱石精錬施設の建設、エスファハーンのウラン転換施設における6フッ化ウランの生産、これらは我が国の誇るべき成果の数々である。我が国の若く有能な研究者たちが昨年、270トンの6フッ化ウランを生産したことも、われわれの成果である。さらにナタンズの施設では、3.5%から5%に濃縮されたウランが生産され、遠心分離器が大量生産過程に入り、〔核燃料の〕産業用生産が始まるなど、国の繁栄へ向けたさらなる飛躍が成し遂げられている」。
我が国の原子力発電所で用いられる核燃料生産に向けたこれらの作業は、1371年〔1992年〕に遡るという。アーガーザーデ長官は、我が国の大学を卒業した若者たちが部品を設計・製造し、組み立て、設置したことに、これらの仕事の特徴があるとした上で、次のように付け加えた。「産業界の最先端の手法を用い、極めて迅速に設備の設置が成し遂げられたことも、われわれの成果の一つとしてあげることができる。実際、〔設備の設置が〕13パーセントも迅速化した時期もあり、これは世界的にも記録的なことである」。
同長官は続けて、「また、設計、生産、稼働のすべての過程における国産化がはかられており、国内の専門家だけで成し遂げられた過程もある」とし、さらに次のように付け加えた。「われわれは今日、核技術の別の分野でも動きを始めており、新たな過程へと歩を進めている。アラークの重水施設は、我が国が手に入れたきわめて大きな成果の一つであり、1385年の中頃〔2006年8月〕より稼働が開始されている。われわれは核技術の大きな頂点の一つを手に入れたのである。アラークの研究炉〔の稼働〕も、1383年のメフル月〔2004年9月下旬~10月中旬〕より行われているプロジェクトの一環である」。
長官はまた、「国の原子力発電の開発は、国会決議に則って進められており、20年後には2万メガワットの電力を、原子力発電を用いて生産する予定となっている。そのために、現在360メガワットの軽水炉プロジェクトが進行中であり、1000メガワット級の原子力発電所2基の建設に関する入札が行われる予定である。また、発電所建設のための候補地選定作業が、今後行われることになろう」と語った。
また、燃料棒としてジルコニウム金属が用いられており、すでに実用段階に入っているとのことである。アーガーザーデ長官は、核科学技術研究所の設置について言及し、「これは核〔技術の研究〕を組織化することを目的としたもので、核融合、炉の建設、減速材〔?〕、燃料サイクルその他の領域で、研究を行う予定だ」と述べた。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:10625 )