論説:イラクにおけるテロの背景
2007年04月25日付 al-Sabah al-Jadid 紙
■ 論説:国民和解とその障害
2007年04月25日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面
【アーザー・ハシーブ・カルダーギー】
治安計画の進捗に伴い国民和解も着実に前進している。この成果は、テロに対抗し終止符を打つ動き、特にアル=カーイダ系の組織を同種のものから孤立させイラクから放逐しようという新たな動きに現れている。
アル=カーイダの一派を名乗る新イラク・イスラム党の立場、その他のテロ現象、有力政治家らに対する個別の反応などを総合すると、アル=カーイダが社会を背信者呼ばわりし市民を標的に含めるようになって以降のテロとの対決が新たな段階に入りつつあることが分かる。
この展開と時を同じくして、アンバール、ディヤーラ、キルクーク他の地域で、部族指導者らの間にテロ放逐を目指す大きな力が誕生した。これは重要な動きであるが、アル=カーイダの攻撃を受け多大な困難に直面している。政治活動に参加するスンナ派勢力と、スンナ派が多数の地域の住民を狙った攻撃が活性化したのはその現われであり、アンバール並びにバグダードでは、爆破、暗殺、無辜の民にまで及ぶ粛清が行われている。
アル=カーイダによるこれらのテロ攻撃の目的は、暴力により人々を脅し従わせ、それぞれの地域で彼らが失った支配力と軍事的同盟、大衆の支持を取り戻すこと、つまり、前進しつつある国民和解を失敗させることである。
スンナ派政治勢力や部族勢力がこのようなテロ計画の標的となるが、軍事攻撃やテロによる圧力に加えて別種の脅威が存在する。それは、アル=カーイダとイラクの武装グループ、特に最近アル=カーイダと連合したとされるバアス党系の勢力が分離するのを好まないイスラーム聖職者の一派である。
各国通信社が報じるところによれば、この聖職者グループのトップは定期的に外遊し、これらのイラク勢力と連絡を取り続ける一方、アル=カーイダと彼らの仲介を行っており、その見返りとして、故独裁者の家族から5千万ドルを受け取ったという。
同聖職者グループは情報を確認していないが、もし事実であればイラク政府は警戒すべきであり、イラクをアル=カーイダに叩き売るような危険な計画を阻止すべきである。また、サッダームの一族と同聖職者グループが、イラクとその国民、特に国民和解に代表される政治計画に対する謀略を未だ諦めていないのであれば、彼らの亡命先であるヨルダンの政府に注意を促さなければならない。国民和解とは、あらゆる干渉を拒否し、テロの撲滅、敵をイラクから永久追放する事に向け一致団結した政治的、軍事的、国民的立場を取るための紐帯を形成するものであるが故に。
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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:10728 )