《社会的安全向上計画》特別レポート:金で雇われたマネキンたち
2007年05月09日付 Iran 紙
「残念ながら、家族がちょっとした娯楽のために公園に行ったり山に登ったりするのにも、安全が確保されていない状況が社会に生じてしまった。こういった場所にも密輸業者やごろつきどもが潜んでいるために、家族はこれらの場所に行こうとも思わなくなってしまったのだ。こういった場所がごろつきや堕落した人間どもにとって気楽な場所となり、一般市民や家族にとっては危険な場所となってしまったというのは、実に皮肉な話だ。この計画は、社会的安全を向上させるためのものであり、市民に制限を課すことを意図したものではない」。
「随分前から、社会の逸脱や混乱を目にしてきた。社会の安全の確立には関係者の自覚が必要だった。反道徳的な〔ビデオ〕テープやCDが氾濫していることによって婦女暴行事件〔が誘発されている現状〕、社会の秩序の混乱、ごろつきどもへの市民の恐怖、そして国内における社会的病理の防止〔の必要性〕が、専門的な検討・調査を経た上での計画の実行を後押しした。
一部の女性が不適切な服装をしていることも、社会の道徳的安全が脅かされ、婦人たちが社会で迷惑を蒙る原因となってきた。警察は、法的な組織として、政府の政策の実行役である。社会の規律を混乱せしめようとする者どもに対処すべく行動を起こすことは、われわれの責務である」。
「この計画の実施は、昨年から始まっている。危険な麻薬常習者たちや、カメラをもって他人のプライヴァシーに侵入しようとする者たちを一斉検挙して欲しい、《マネキン主義》〔の蔓延〕を防止して欲しいとの市民の声に応えるために、治安維持軍はこの計画を実行に移したのである」。
「逮捕者らの中には、金で雇われて、喜んで要求された服を着て公衆の前に現れたというケースが複数あった。このような問題は、社会の秩序に混乱をもたらすものだ。
金銭を払った人物の目的はさまざまだ。服の売買を生業にしている者の中には、通りを歩くマネキンたちに、服を着て、公衆の前に現れて、一種の宣伝をしてもらうために、金を払ったという者もいた。もちろん、商売や経済活動といったものは、金銭の授受の一側面にすぎず、これ以外の目的のために、つまり〔社会秩序を維持する上での許容と禁止の〕境界やレッドラインを壊すことを目的に、このようなことに手を染めた者もいた」。
「娘たちや女たちの中には、金銭を受け取って、アパレルメーカー1社あるいは数社が求める服を着る者がいたことを示す証拠を、われわれはつかんでいる。例えば、彼女たちは〔ある服を着て〕ヴァナク広場からタジュリーシュ広場まで行って帰ってくる。彼女たちが着ていた特別なファッションや服装が、より多く売れることを狙ったものだ。マネキン主義イデオロギーは急速に拡大していたのだ」。
「われわれは社会的堕落を取り締まる際、三つのグループに相対している。一つ目は、徒党を組んだり、堕落のネットワークを築いたりすることで社会の安全に害を及ぼそうとする違反者たちである。犯罪者や道を外れた者たち以外に、この種のグループを取締ることに対して反対する者はいないだろう。
第二のグループは、不道徳な恰好をして風紀を乱す者たちである。この種の者たちは、マネキンたちのように、不適切な服装をすることで不道徳を広めようとしている。この種の人たちにも、きちんとした取締りを行う。
第三のグループは、単に慣習を守ろうとしないというだけの人々であり、我が隊員らは彼らに対して優しく注意するよう、指示を受けている。このような人々は指導を受けることになっており、法律や慣習を守るよう願いたい。家族の人たちの中には、第三のグループにいる自分たちの子供たちへの対応が厳しいものになるのではないかと心配する向きもあるが、心配する必要はない。というのも、我が隊員らはこのことについて、きちんとした説明を受けているからだ。
もし万が一、治安維持軍の隊員に不法な行為があった場合は、197番に連絡をして、担当官に事情を説明することも可能だ。またこの番号は、提案を寄せたい場合や、治安維持軍の隊員らに感謝のことばを寄せたいときにも使うことができる。なお、家族の方々にあっては、無関心を決め込むことなく、シャリーアや慣習を守り、社会的安全のために治安維持軍の隊員に協力するよう願いたい」。
「女性を取締る際には、治安維持軍の教育を受けた女性隊員が、その任に当たることになっている。これらの女性隊員は軍人であり、適切に対応するための必要な教育を受けた者たちである。
我が隊員らは最初のうちは、友好的な態度で指導にあたり、厳しい口調で話したりすることは決してない。しかし、相手が指導を受け容れなかったり、隊員らに対して反抗的な態度を取ったりした場合は、当然のことながら、隊員らの対応も厳しいものとなる。指導を受ける者たちは、我が隊員たちに対して無礼な行為を慎まねばならない」。
「ヘジャーブは歴史的に古く、またわれわれの宗教的義務でもある。それだけでなく、我が国の法律にも明確に義務として記されている」。
「フランスでは、学生・生徒は授業を受ける際、ヘジャーブを身につけてはいけない決まりになっている。他方我が国の法律では、ヘジャーブは法律で定められている。果たして、この法律を守るよう指導し注意することに、いかなる問題があるというのであろうか?
この計画は、国民の安全を向上させるためのものであり、それ〔ヘジャーブ〕を守ることは、目に見えるなかたちで安全を社会に広めることにつながる。法律に対して嫌だだと言ったとしても、法律とはそういうものではない。赤信号で止まることは、法律で定められている。赤信号で止まるのは嫌だ、などと言うことなどできるのだろうか?」
「イランにおいてヘジャーブは、国民的な問題である。イランでは2000年前から、女性はヘジャーブを身につけていた。彼女たちの服装デザインは、適切に体を覆うものであった。さらに、現在我が国はイスラーム国家であり、ヘジャーブは宗教的義務でもある」。
( 翻訳者:斎藤正道 )
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