トルコ陸軍、PKK対策強化へ -1994年~98年と同レベルに
2007年05月11日付 Hurriyet 紙
陸軍総司令官のバシュブー大将は、PKKと戦っている全ての兵士の目に決死の覚悟を見てとると述べた。バシュブー陸軍大将は、「我々はPKKに対し、圧力をかけている。テロリストたちは、この圧力が1994-98年の期間と同様の厳しさだと認めている」と語った。
陸軍総司令官イルケル・バシュブー大将は、シュルナクおよびイラク国境に駐屯する隊を指揮している。同大将は、2006‐07年度、トルコ国軍がPKKに対して、1994‐98年と同程度の厳しさで圧力をかけていると語った。そしてこの事実を軍が盗聴した会話のなかでPKK幹部も認めていると話した。
ジュディ山とガバル山で対PKKテロリストの軍事行動を部隊が続けている。その一方で、10日、バシュブー陸軍大将は、二等陸軍司令官のハサン・ウースズ大将、軍警察のアブドゥッラー・アタイ中将、そして第23国境憲兵師団アフメト・ヤヴズ少将と共に、シュルナクに駐屯する部隊を指揮した。バシュブー陸軍大将はその後、シュルナク県知事セラハッティン・アパル氏を表敬訪問した。バシュブー陸軍大将は、春期・夏期の軍事行動を議論し決定するためにシュルナクに来たことを述べ、次のように発言した。
■目にその決意をみた
我々の軍事行動は、反政府テロ組織を壊滅させるまで続く。本日、私が会った最下位から最上位まで全ての兵士の目にその決意をみた。我々は大きな成果をあげてきた。軍である我々がこれを言っているのではない。テロリストたちが認めているのだ。テロリスト幹部の会話のなかでこう認めていることを我々は盗聴して聴いている。2006‐07年度、我が隊はテロリストに対して非常に激しい圧力をかけている。それはテロリストたちが1994-98年のトルコ軍が行使した圧力と同様の厳しさであると認めるくらいである。
■住民は我々の見方
地元住民が常に我々側につき、支援してくれることを光栄に思っている。テロ組織から最も甚大な被害を受けたのは誰か?それは地元住民だ。テロがなかったならばトルコは今、もっと発展していただろう。同様にしてトルコ南東部も、シュルナクも、その他の地域や県ももっと発展していたはずだ。だからこそ我々は最大の被害者である地元住民に呼びかけているのだ。テロを支援しないように。我々はこのテロリズムを撲滅しなければならないのだ。
■越境行動の問題
バシュブー陸軍大将は、ある新聞記者の質問「北イラクへ軍事行動を実施しますか?」に対して、次のように答えた。
「北イラクに対する軍事行動については、参謀総長ヤシャル・ビュユクアヌト陸軍大将が4月12日に行った記者会見のなかで、トルコ軍の考えをすでに述べている。これに私が付け加えることは何も無い」
ビュユクアヌト参謀総長も継続の考え
参謀総長ヤシャル・ビュユクアヌト大将は、南東部でテロ組織PKKに対して開始された「大鎚作戦」について、「軍事行動は続く」と語った。
NATOがブリュッセルで主催した参謀総長会議に出席したビュユクアヌト参謀総長は、内政関連の質問に答えたくないとし、本紙(Hürriyet紙)記者に次のように語った。
■南東部での軍事行動は継続
「我々はトルコ各地でこのテロとの戦いを絶え間なく継続している。これは長年も前から続いている戦いだ。間違いなく、今後も続くだろう。最近の軍事行動は、シュルナク、ガバル、ベストデルレルとその郊外で集中している。国境地帯では常に動きがある。これらは国境に近い地域なので、国境の治安を維持しなければならない。軍事行動を中断することはない」
■バルザーニについては、ノーコメント
ビュユクアヌト参謀総長は、クルド民主党(KDP)のマスード・バルザーニ党首が欧州議会で発言した「PKKとの戦いを軍事力でもって行うのは間違いだ」について、コメントを避けた。ビュユクアヌト参謀総長は、現在海外にいるためこの質問に答えることはふさわしくないと説明した。また同参謀総長は、イルヌル・チェヴィキ記者の質問、「アメリカ合衆国がPKKと駆け引きをし、『イランを撃て、カンディルで駐留せよ』と言った」という主張については知らないと答えた。
■ギリシャ参謀総長との会談
ビュユクアヌト参謀総長は二日間続いた会議のなかで、非常に多くの参謀総長と会談したことを明らかにし、次のように述べた。「今日(昨日10日を指している)、午後からギリシャの参謀総長パナヨティス・ヒノフォティス海軍大将と会談する。大将とは機会があるごとに会談をもっている。NATOの参謀総長会議はすばらしいプラットフォームだ。様々な問題を率直に議論している」
■フェネルバフチェは優勝するだろう
ビュユクアヌト参謀総長は、フェネルバフチェがベシクタシュを破り、かなり引き離したと述べ、「高い可能性でフェネルバフチェが優勝するだろう」と語った。ビュユクアヌト参謀総長は、ベシクタシュサポーターの新聞記者達に振り向き、「あなた方もフォーティス・トルコ杯で優勝しましたしね」と述べた。
■NATOの今後を語り合う
ビュユクアヌト参謀総長は、会議でNATOの将来に関する戦略が明確にされたと説明し、次のように述べた。「内容が濃く、かなり効率的な会議を行った。NATOに関わる分野、もちろん安全保障を含む様々な問題をとりあげている」
■アフガニスタン派兵は?
ビュユクアヌト参謀総長は、会議ではアフガニスタン問題含む様々な問題が議題にあがったと述べたが、「トルコのアフガニスタン派兵が求められているのか」という質問には答えなかった。しかしNATO筋は、NATO軍委員長であるレイ・へーノルト大将が、アフガニスタンに対する更なる支援を再度求めたことを述べている。トルコは、NATOの派兵要請に対し、「軍事行動を伴う」という理由で反対している。ビュユクアヌト大将は、2006年11月にリガ・サミットで議題になった要請に対しても、「テロとの戦いのためにトルコ軍がアフガニスタンに派兵することは不可能」と述べている。
■緊急対応部隊の検討
トルコは2007年1月以来、陸軍指令本部が整備をすすめている緊急対応部隊を25000人に到達させ、そして軍事行動をできる体制にすることを目標としている。兵士300人とヘリコプターによる空軍支援を実施するトルコの緊急対応部隊の実施については、NATO加盟国の間で意見が割れている。
■ビュユクアヌト参謀総長のために特別警戒体制
以前、ベルギー政府は、オズデミル・サバンジュ暗殺の容疑者で、テロ組織の革命的人民解放党・戦線(DHKP-C)メンバーであるフェフリイェ・エルダルと秘密裏に取引をしたことが明るみに出た。今回、同政府は、ビュユクアヌト参謀総長を守るために厳重な警備体制をとった。革命的人民解放党・戦線とPKKが同国で活発に活動していることから、ビュユクアヌト参謀総長の車には他国の参謀総長とは異なり、オートバイや自動車に乗った警官が護衛している。
■ホテルに滞在しない
ビュユクアヌト参謀総長は、NATOトルコ軍司令官ユルマズ・オウズ中将の官舎に滞在し、今回の訪問ではホテル滞在をしなかった。同参謀総長は夜もNATOトルコ軍指令本部にて任務を続けている。
■会議後はトルコへ帰国
ビュユクアヌト参謀総長は、2日間の会議の後、トルコに帰国する予定だ。
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( 翻訳者:藤巻晋也 )
( 記事ID:10862 )