■ イラク国際会議、相反する要求の調整に尽力
■ ライス長官とモッタキー外相の会談は「都合」つかず
2007年05月05日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
【カイロ:ジャマール・ファフミー、諸通信社】
「イラクのための国際会議」という名前の下にアメリカ政府の後援によって開かれ、国際的なデモンストレーションの様相を呈した政治的「ウカーズ市場」[※訳注:イスラーム以前のアラビア半島で開かれていた市場。詩人たちが集まり腕を競ったと言われる。]は昨日幕を閉じた。会議には約49ヶ国の政府高官や複数の地域機関および国際機関の代表が集まり、諸々の活動や会合や会談を行った。会議はエジプトのシャルム・アル=シャイフで丸3日間続いた。
会議への参加者と記者の集団が市内からの出発のため空港に押し寄せる一方で、夜には(豪勢な「フォーシーズンズホテル」で)、エジプトのホスニー・ムバーラク大統領の子息であるガマール・ムバーラク氏(43歳)と高名な実業家であるマフムード・アル=ガマール氏の令嬢であるハディーガ・アル=ガマールさんという若い花嫁の結婚披露宴が行われるため、市内は速やかに装いを変え、かつてない治安維持の措置がとられた。
シャルム・アル=シャイフでのデモンストレーションのような会議は、アメリカのコンドリーザ・ライス国務長官の主導で行われたが、昨日は3つの重要な出来事が起こった。先ず、アメリカとイランの専門家の会談が急遽開かれた。それは、国際会議の前にはアメリカ国務長官とイラン外相の会談の可能性が取り沙汰されていたもののライス国務長官がイランのマヌーチェフル・モッタキー外相との「都合」が合わず会談は出来なかったと述べ、結局実現が失敗に終わった後の出来事であった。
2つ目の出来事は、イラク近隣諸国およびエジプト、バハレーン、国連安保理常任理事国、G8諸国、国連、イスラム諸国会議機構、アラブ連盟、EUが参加して行われた外相級拡大会合である。会合の終わりには予め準備されていた声明が発表された。声明の内容はイラク近隣諸国の大多数による「イラクで現在進行中の政治プロセスの根本的変化」の要求と、アメリカ政府およびイラクのヌーリー・アル=マーリキー政権による警告や反論との間の調整を試みるものである。近隣諸国側の要求は、宗派主義およびイスラーム教スンナ派勢力の周縁化を終わらせること、民兵組織の解体、憲法改定、バアス党排除法の撤廃、駐留アメリカ軍の撤退日程を明示することである。イランのモッタキー外相は発言の中で、アメリカ当局はイラクでテロ行為を行っていると非難し、撤退の日程を示すよう求めた。
■ 和平プロセス
また参加者の一部はシャルム・アル=シャイフに集まった機会を捉えて、アラブ・イスラエル紛争の解決という懸案についての意見交換を試みた。シャルム・アル=シャイフを出発する前に中東和平カルテットが拡大会合を開き、エジプト、サウジアラビア、ヨルダン、シリア、カタールの外相がアラブ和平提案再生フォローアップ委員会のメンバーとして、またアラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長が出席した。
しかしこの会合では何ら成果は得られなかったもようで、会合後の記者会見でエジプトのアフマド・アブルゲイト外相は「和平プロセスの活性化について協議がなされ、これについて多くの意見が交わされた」と述べ「今月中に再度会合を行うことで合意した」と付け加えるにとどまった。
(後略)
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( 翻訳者:鳥居洋介 )
( 記事ID:10877 )