Hasan Cemal コラム「軍の「警告」と総選挙」
2007年05月13日付 Milliyet 紙
手元にあるいくつかの選挙調査結果をながめている。まだこれから橋の下にたくさんの水が流れるように、情勢はどんどん変わるだろうし、でてくる結果ももちろん変わる可能性がある。
しかし、これらの調査結果は早くも現時点から一部の人たちの間で警鐘をならすことになりかねない。
選挙の後、どうなるのだろうか?
そして憲法改正案に関する投票で大多数の人たちが新大統領を国民の直接投票で選ぶと判断するならば・・・。
行き着くところはいつも同じ疑問である。
警告を出した人々(軍部)は何をするだろうか?
最近、欧州諸国からくる同業者の記者たちはこの質問を必ず聞いてくる。ほとんど選挙自体のことよりも選挙後の状況に興味を示しているかのような姿勢が目立つ。
理由は知ってのとおりだ。
公正発展党は、40パーセントというような
欧州の同僚たちも知っているいくつかの選挙調査結果がある。それらは公正発展党が40パーセントを上回ると示している。浮遊票が加算されない状態で39~40パーセント(テンポ誌の最終号に掲載された調査結果によれば41.3パーセント)に達する公正発展党は、単独政権となるのだろうか?
367議席に達するだろうか?
もしくは公正発展党は、獲得票数を増やす一方で議席数を減らすが、それでも単独政権を獲得するのだろうか?
憲法改正案に関する投票で、大統領を国民が直接選ぶことに決まる。そしてアブドゥッラー・ギュル外相が大統領候補を続けると発言したことを考えると、政局は一体どうなるのだろうか?
そしてまた同じ問いかけだ。
「このような事の成り行きを迎えた場合、軍部は何をするのだろうか?」
もう一度、強調しておこう。
このような問いかけが、4月27日に起きた反民主的な動きとともに我が国の政治に足を踏み入れてきたことは非常に大きな不運だ。
残念だ!
この問いかけがもとになり、トルコの近い将来に対する不安が現時点ですでに積もり始めている。選挙後に新たな報復の扉が開かれるのかという不安は、すでに今も人々を疑心暗鬼にさせている。
非常に残念だ!
政治の場が再び軍事力で包囲され、警告による統制が望まれている。
こういったことはどこまで可能なのだろうか?
政治を通常のレールからはずそうとする強制的な画策は、9月12日の軍事クーデターの後、2月28日の後、トルコにどんな不安定な事態をもたらしたかを我々は忘れてしまったのか?
今、一方で共和人民党の拡大、(民主左派党がもたらす精神的焦りにも後押しされている)、一方で正道党と祖国党(ANAP)の合併、そして民族主義者行動党によって、公正発展党を野党に引きずりおろすことが目標として掲げられている・・・
そんなことが可能なのだろうか?
軍部による警告、そして前倒し選挙を決定した後に実施された詳細にわたるいくつかの選挙調査には、このような光景はまだ見えてこない。
民主党は最低得票ラインをかろうじて超える。
正道党と祖国党が合併してできる新民主党もかろうじて最低得票ラインを上回る。公正発展党官房は、綿密に練られた選挙キャンペーンと有力な候補をたてることによって、エーゲ地方とマルマラ地方の農民を支持母体とする正道党を最低得票ライン下に引き下げられると主張する。
その一方で、民族主義者行動党もまた、最低得票ラインの上下を行ったり来たりしている。軍部の警告に対して声を上げず大人しくしすぎたことが、民族主義者行動党の支持母体の一部が公正発展党に追い風となる反応を示すことになった可能性がある。
共和人民党は24パーセントに達する可能性がある。
共和人民党について言えば、
数々の集会、そして民主左派党との連合の動きは、選挙関連の調査結果にまだ反映していない。
浮動票を考慮に入れない状態で、通常、共和人民党は20パーセント以下、14~15パーセント程度である。選挙時には最大でも22~24パーセント程度に達する可能性があるいう。
では青年党の働きは?
2002年の総選挙で、正道党と民族主義者行動党に切り込んだ青年党は、エーゲ地方とマルマラ地方の一部の選挙区でとくに正道党に打撃を与える力をもっているとささやかれている。
最新の選挙調査で問いかけられた質問がさらに二つある。
大統領を国民が直接、選んだほうがよいですか?
この質問に大多数が「はい」と答えた。
軍部が出した警告が、公正発展党に追い風となったと思いますか?
この質問の答えも「はい」だった。
選挙までの間にまだ多くのことが変化していく可能性がある。正しい予想をするために、6月の最初の週に公表される国会議員候補者名簿をみる必要がある。
よい日曜日をお迎えください。
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( 翻訳者:丹羽貴弥 )
( 記事ID:10879 )