■ 3つの進展が会談を並々ならないものとする
■ ヨルダン国王、本日パレスチナ大統領と会談
【ラーマッラー:ムハンマド・ハウワーシュ、アンマン:ウマル・アッサーフ】
会談の内容については沈黙を守る中で、ヨルダンのアブドゥッラー2世国王は本日ラーマッラーでパレスチナのマフムード・アッバース大統領と会談し、パレスチナ問題の進展、和平問題とパレスチナ政府に対する国際社会の封鎖の解除の可能性について話し合う。訪問は1時間半にわたり、国王がアンマンに向かう前には昼食会が予定されている。パレスチナ側の公式の発表からは会談が通常とは異なるとの印象は伝わってこないものの、以下の3つの進展ゆえに会談をめぐってさまざまな憶測や疑問や解釈が飛び交っている。
1.ヨルダン国王はヨルダン南部の遺跡の街ペトラでノーベル賞受賞者の会合を組織することになっており、その際にイスラエルのエフード・オルメルト首相とアッバース大統領との三者会談を開催すべく努力がなされている。パレスチナ高官筋が本紙に伝えたところによると、「パレスチナ大統領は昨夜までは、1948年のナクバ[※訳注:イスラエル建国とそれにともなうパレスチナ人の追放・離散]59周年に当たる火曜日にヨルダンを訪問することは決定していない」という。ヨルダン国王がアッバース大統領に対してペトラ会合に出席するよう圧力をかけるかどうかは今のところ不明である。イスラエルの経済封鎖やパレスチナ政府に対する国際社会のボイコット、治安悪化の問題やパレスチナ政治体制の人気の低迷といった現状のなかで、アッバース大統領はこれ以上パレスチナにとって重圧となるような事態の展開を望んでいないからである。
2.ヨルダンのアブドゥッサラーム・アル=マジャーリー元首相、ファタハのジブリール・アル=ラジューブ革命評議会議員、労働党の指導的地位にあるクネセトのサーリフ・タリーフ元議員らが進めるイスラエルとの交渉プロセスの活性化に関して、パレスチナ・ヨルダン・イスラエルが非公式的に努力を行っている。同プロセスにおいてヨルダン政府はパレスチナ国家樹立以前から大きな役割を果たすことになるという。ただヨルダンとパレスチナがこの2日間に発表した公式声明では、パレスチナ・ヨルダン関係に新しい展開はなく、将来の関係についてはパレスチナ独立国家の樹立後に決定されるとしており、ヨルダンはその立場を変えていない。この立場についてはヨルダン国王がアッバース大統領に伝えると予想されている。
3.アラブ和平提案に基づいてアラブ・イスラエル間で真剣な交渉プロセスを開始するための努力がアラブ諸国によって行われている。パレスチナ側はこの努力を、他の当事者の動きや願望や将来への行動計画によって混乱させることは望んでいない。
パレスチナのサーイブ・オライカート交渉団長は昨日、ラーマッラーから政府系の「パレスチナの声」ラジオで、「内実をともなった和平プロセスの推進こそが、ヨルダン国王がラーマッラー訪問中にアッバース大統領と話し合う基本的な問題である」と述べ、「アブドゥッラー2世国王はずっと以前から、イスラエルを1967年6月4日[※訳注:第3次中東戦争直前]のラインまで撤退させ、エルサレムを首都とするパレスチナ国家を樹立することにつながる和平プロセスの推進に多大な努力をしている」と述べたが、上述の懸念が重要なものであることに変わりはない。ヨルダン国王がヨルダン・パレスチナ連合国家の樹立について議論する意向だとの憶測についてオライカート団長は否定し、「この言葉は事実無根であり、絶対にこれに依拠して話をしてはならない」と述べた。
ヨルダンのマアルーフ・アル=バヒート首相は金曜日に、「連合国家や連邦国家、その他いかなる形のヨルダン・パレスチナ関係や将来の関係についてのシナリオも、今は論ずるべき時宜を得ておらず、ヨルダン人民とパレスチナ人民の利益にとって有害である」と明言した。
オライカート交渉団長は、「現在、110キロメートルに及ぶ境界線を分かち合うヨルダンとさまざまなプロジェクトについて協議しており、例えばヨルダンも参加してエリコおよびヨルダン渓谷に工業・農業地域を設立する民間部門のプロジェクトがある」と明らかにした。
アンマンでは、パレスチナのズィヤード・アブー・アムル外相がヨルダン高官らと、ヨルダン国王とパレスチナ大統領の首脳会談の議事日定について協議した。
アブー・アムル外相は、ヨルダンのアブドゥルイラーフ・アル=ハティーブ外相とパレスチナのアターッラー・ハイリー・アンマン駐在大使も出席する中で、ヨルダンのマアルーフ・アル=バヒート首相と会談し、「会談では国王のラーマッラー訪問や予定されているアッバース大統領との会談などの諸問題に焦点が当てられた。今日の会談では、和平プロセスを活性化させ、アラブ和平提案再生の方法と、共通の関心を抱く諸問題について話し合われる予定である」と述べた。
イスラエル政府との交渉再開の可能性について問われると、「我々はしなければならないことをし、パレスチナとしてもアラブ諸国としても準備はできている。何人たりとも、政治的プロセスが始動しない責任がパレスチナあるいはアラブ諸国にあると主張することはできない」と答えた。
現地の新聞はこちら
( 翻訳者:新谷美央 )
( 記事ID:10901 )