エルドアン首相、トルコ実業家協会での講演で大統領批判
2007年05月23日付 Milliyet 紙
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、トルコ実業家協会(TÜSİAD)が各党党首と行う会談の第一回目で講演した。その中でアフメト・ネジュデト・セゼル大統領が国民投票による大統領選出を見込んだ憲法改正案に対し、決定を遅らせているとして批判した。
エルドアン首相は、大統領選挙の過程において起きた事を国民が全て目の当たりにしてきたこと、また国民は最も正しい審判として、これら全てを評価することのできる民主的な重みを持っていることを述べた。
首相は次のように語った。「民主主義の存続には野党の存在が不可欠ではあるが、政党間の争いが合法性を侵害したり、民主主義に影を落としたり、普遍的な価値を見失ったりすることに繋がってはならない。トルコに再び代償を払わせるようなことをする権利は誰にもないのだ。」
「大統領選挙に関して我々はなぜ国民投票の道を選んだのか?おそらくあなた方はそれを知らないのだろう。おそらく起きていることについてあなた方が何も知らないために、私はここで説明しているのだろう。故トゥルグト・オザル氏はこの件において例外とさせていただくが、今日まで行われてきた選挙において定足数367人ということを聞いたことがあるだろうか?憲法を見れば一目瞭然である。そこには定足数367人という記載はない。367人という定義は存在せず、もしこういった記載があったとしても、第1回、第2回の選挙で367の投票数、第3回には276、第4回には最も多く票を集めた2名のうち1名が 276票得る必要がある、といった定義がなされるはずがない。誰かがこう書いていたのかもしれないが、不特定の誰かが言ったことをもって国を動かすわけにはいかない。その誰かが言ったことが必要なことであったなら、憲法にこのような項目がつくられていたはずだろう。この国トルコは憲法によって動かされている。誰かの解釈によって動かされているのではない。イデオロギー的アプローチでトルコは動かされているのではない。そうであってはならないのだ。もしこれに従えば国をだめにしてしまうだろう。」
また首相は、憲法裁判所の出した定足数367人に関する決議を指摘しつつ次のように述べている。
「我々は皆この決定を尊重せざるを得ないのか。(これは最終決定であり、これに関し議論はできない?)いや、そんなことはない。まだ議論することはできるはずだ。これはすでに下された結論であるが、時間が経てばこの決定を下した者たちが正しかったのかどうか、常に問い直されることになるだろう。そう私は信じている。」
■ 大統領の職務は解決を導くことであるはずだ
エルドアン首相は憲法改正法案に関しても、国民投票に持ち込むことを決意したと表明し、これが大きな問題とならずに、選挙にも十分に間に合うだろうと発言した。
同首相はまた、改正案を現在大統領が検討していることを指摘しながら、「大統領に改正案を提出してから何日経っただろうか。検討のため15日間の猶予があり、彼はその権利を行使している。なぜだろう?『この承認を遅らせれば国民投票をどれだけ延期できるだろうか』と大統領はお考えなのだろう。では、我々はこれをどのように説明すべきだろうか?彼が中立に客観的な視点で考えるなら、すぐに解決策を生み出すことができただろう。私は大統領の職務は解決を導くことであると考えている」と語った。
首相はこの改正案に対し必要な評価と討議がなされ、各項目についても議論された後でも、これが選挙に間に合うことを強調し、「しかし、大統領は先入観を持っておられるようで、彼もおそらく国民投票を望んではいないのだろう」と話した。
祖国党(ANAP)の出した憲法改正案を公正発展党(AKP)が支持し、国会を通過させたが、共和人民党(CHP)はこれを支持せず。首相は「CHPは人民の党であるにも関わらず、投票を国民にゆだねることを避け、議会に欠席したのだ」と話した。
また首相は、1982年憲法によってトルコ大国民議会(TBMM)の立法任期が4年から5年へ延ばされたが、このときから5年の任期を満了した政府はなかったこと、さらに6つの早期総選挙のうち5つが1982年以降行われたこと、1982年から2003年までの間15の政府が誕生したことを説明した。
■ 早期総選挙とは見なされない
エルドアン首相は「AKPによる政権とともに、トルコでは初めて憲法規定にある5年目の任期が全うされることとなる。6月末に5年目の立法任期が終わる。ここで我々は任期終了日を27日繰り上げることにする。なぜなら、6月3日から国会は閉会となる。2007年7月22日に行われる選挙は、5年目の任期を終えてから行われるため、早期の選挙とは見なされるはずがない」との見解を示した。
また首相は、これがトルコの民主主義にとって大きな利益であり、民主主義の歴史に名を残す功績だと語った。
首相はAKP政権成立後から現在まで、165回の閣議を行ったことを示し、「政権に就いてから今まで、そして危機が絶え間なく存在していた日々から、一夜でトルコが暗転し財の半分を失うような日々から、我々はここまでこの国を導いてきた」と話した。
さらに、これまでトルコにおける全ての生産主体や民間団体に対し、ただ耳を傾けるだけではなく、多くの公共事業を共に実現してきたこと、TBMMがこの間迷いなく仕事を進め、省庁は非常に注意深く国の問題を扱い、81県同時にまんべんなく管理していたことを述べた。
続いてトルコ外交における見解を全世界に責任を持って発表してきたことを述べ、「EUを目標とし、我々は不可能といわれていたことを達成してきた」と発言した。
首相は少なくとも二度以上各県に足を運んでおり、トルコで訪問していない県はもう残っていないことを述べ、「残念なことに全81県を首相として回った人はほとんどいない」と話した。
「理想はすぐに実現してきただろうか?」と尋ねた首相は、未だ教育、保健、司法、交通など全ての分野において残された仕事が存在しており、段階的に達成を試み続けていることを述べた。
また国の問題を常に全体的に把握し、共和国の歴史においてあらゆる分野で記録を作りあげてきたことを告げ、「一人当たりの国民所得は4年間で2倍に伸びた。トルコはもう無力で意志を達成できない敗者ではなくなったのだ。」と語った。
首相はAKP政権成立時に1810億ドル(2.2兆円)であった国民所得が、2006年には4000億ドル(4.8兆円)にまで達したことを強調。「私ではなく、数字が物語っている。これは寝ながら達成した成果ではない、懸命に励んだことで生まれたのだ。」
首相はトルコが2013年の目標を今から展望できる国となったことを示し、「我々としては欠点を論議するのではなく、可能性や資源について論議すべきである。トルコが不安定な状況に陥ったり、何かを失ったりすることはもう決してないのだから。トルコは多大な労力で築いてきたこの安定した環境を、簡単には失わない。AKPとしても、優先すべきはトルコとトルコ国民がより高い水準に前進していくことである、と考えている」と語った。
また、時代遅れの政策で21世紀のトルコの理想を代表することはできないと述べ、次世紀について議論していくべきであることを強調。
首相はさらに次のように述べた。
「政党間でお互いの力を削りあうようでは、国民所得を伸ばしたり、生産を行ったり、この国の現代の文明的目標に向かうこともできない。我々の力をよい方向に使っていかなければならないのだ。これからは悪い方向に力を使ったり、民主主義が順調に行われる障害となり他者の成果を奪ったり、個人的な成功や偏った要求のために、政権にあるAKPを貶めようとしてトルコに害を与えるような権利は誰にもないのだ。」
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( 翻訳者:上田悠里 )
( 記事ID:10967 )