アフメト・ネジュデト・セゼル大統領は、大統領を国民の直接投票によって選ぶことを見込んだ憲法改正案を、「体制にとって多くの欠陥を生み出す」という理由のため、トルコ大国民議会(TBMM)に差し戻した。
同大統領は、大統領の2期選出への改正に関して反対し、国民による選出が与える精神的力により大統領が政治システム上で優越的要素となりうる、と強調した。また大統領の任期が7年から5年へと減年し、総選挙が5年から4年に一度へと変更する2点の憲法改正については拒否の理由に際して触れずに、「この調整は適切である」とメッセージを伝えた。
■ 「単純な方法ではない」
セゼル大統領は、大統領が2期5年間の任期で国民の直接投票によって選出されうる、議会でのすべての審議で定足数は184人とするといった改正案を差し戻す一方で、「国家と国民を代表する立場にあり、通常の政治に関わらない大統領を選ぶことは、単純な方法上の問題ではない」とし、大統領は憲法秩序を守るため強い権限を与えられた、と述べた。
同大統領は、あらゆる層を代表する候補者について合意するには、既存の大統領選の最初2回の投票では議員全体の3分の2以上(367人)の参加が必要とされるとし、他のいかなる規則にも手をつけずに国民の直接投票で大統領を選出するという点のみ改正することは、「例を見ない新しいシステム導入という意味を帯びている」と強調した。
■ 欠陥のある結果
セゼル大統領は、(提出された改正案では)制度の上で議会のモデルから遠ざかり、大統領制や半大統領制のモデルの特徴も導入されていないとし、「体制を窮状に陥れるのは明白」という表現を使った。
政治権力と均衡を保つために認められた広い権限を、国民が選んだ大統領が行使する場合、従来と異なる、体制上で欠陥のある結果を生み出す可能性があるとし、改正の実施は極端かつ問題のある状況をもたらす、と強調した。
均衡を保つための権限が、行政権的なものへと変化し、大統領が選出された議会及び政府と見解を共にする場合、歯止めのない政治権力を生み出し、逆の状況では対立と国家権力の分裂の原因となり得る、と明らかにした。
セゼル大統領は、大統領と法の作成の関係には全くの衝突や一致ではなく「適当な距離」がなければならないとし、衝突か一致のみを生み出す可能性のある制度は国家秩序に害を与えよう、と強調した。
国民投票の際の候補者が政党の提案で決められることは、国民による選出と本質的にそぐわないとし、国民は人物ではなく、総選挙同様に政党に投票するであろう、とも述べた。
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( 翻訳者:釘田遼香 )
( 記事ID:10986 )