ギュル外相:アタテュルクの妻もスカーフをかぶっていた
2007年06月02日付 Radikal 紙

アブドゥッラー・ギュル外務大臣は、大統領選挙の過程で起きた出来事が非常に残念なことであり、世界に今日のトルコについて誤ったイメージを与えることになったと述べた。アタテュルクの遺産を、彼が示した目標を達成しながら、守り続けていると弁護するギュル大臣は、「あなたの妻のスカーフが、“アタテュルクの遺産”にとって問題となったのか?」との問いに、「どうしてなるだろう、彼の妻もスカーフを被っていたのだ」と答えた。ギュルは、世俗主義の番人は軍隊ではなく、民衆であると語った。
ギュルはタイム紙との特別対談で、AKP(公正発展党)はトルコの世俗システムへの脅威となっているのか否か、そして“密かな企て”があるのかどうかという質問に対して、次のように答えた:
「我々が政権につく前、恐らくあなた方に『ああ、あの人たちが出てくる、注意しろ』と言われたでしょう。このために4年半の間、あなた方は我々を注視していたと確信している。私は外務大臣として外国で私の国を代表している。あなた方が懸念するようなことを見たことがありますか?我々が行ったことを見てください。“密かな企て”があるのなら、トルコがEUに加盟する為に我々がこれほど努力するでしょうか?」

「軍でなく、政治家が妨害した」

ギュルは、「軍はなぜ彼が大統領になることを妨害したのか」との質問に対しては、「これが個人的なことであるとは考えていない」と答えた。何年間も軍と「肩を並べて」活動してきたことを述べたアブドゥッラー・ギュル外務大臣は、次のように強調した:「私が大統領になることを軍ではなく、政治家が妨害したのだ。軍は、彼らが望む返答を心得ていた。加えて、(大統領選挙のとき)各政党がTBMM(トルコ大国民議会)に入ることを誰も妨害しなかった。しかしながら、彼ら(野党)は、(選挙戦が行われる)総会議場には入らなかった。そこに軍も戦車もなかったのに。軍参謀本部の声明でも、『TBMMに入った者(選挙に参加したもの)に罰を与える』などの言葉はなかったのだから。だが、政治家らがとても無力で、別のメッセージを受け取っているとするなら、問題はそこにある。」

候補は未だ有効

トルコにおけるEU加盟プロセスでの改革の努力が注目され、これまで非常に多くの混乱を乗り切ってきたことを述べたギュルは、まだ彼が大統領候補であるかどうかの質問に対して「候補は未だ有効である」と答えた。ギュルは、15年もの間政治に関わり首相を務めた裏表のない政治家として、彼と彼の妻の信仰を問題とせず、彼の行ったことで評価されるよう望んでいるとも述べた。もう一度候補に立ったときに、世俗体制と軍隊から認められるかどうかという質問に対して、「間違いなく、認められる。トルコは民主的な国である。トルコは中東の国ではない。トルコは外からは三流以下の民主主義の(国)ように見られているが、そうではない。民主主義が行われており、どういうことを行うかは、人々と政治家が決めている。トルコは1960年から1970年代のトルコではなく、EUと加盟交渉を行う国である」と語った。

国民が選ぶだろう

ギュルは、大統領が国民の票で選ばれることになることを信じていると述べた。
トルコでの世俗主義ミーティングに言及されるや、ギュルは、国内に分離を引き起こさないために同じ方法はとらなかったと説明し、軍が自身を世俗主義の番人のようなものと見なすことをよしとするか否かとの質問には次のように答えた:
「いいえ、これは古い見解だ。世俗主義の番人は民衆である、我々皆がそうなのだ。私は個人的にも、私の国が世俗的な国家であることを望んでいる。私は世俗主義を支持している。世俗主義とは、誰も他人の信仰に干渉せず、政府もいかなる宗教に則した規律や法律に縛られずに統治する秩序の形である。一方で自由もある。人々の基本的権利がある、表現の自由、信仰、生活様式などのような。これらの全ては基本的権利である。つまり、誰かが、言うならば、私の妻が頭部を覆っていようと、これは彼女の個人的選択である。」

アタテュルクの遺産を守るのは私達だ

トルコ刑法の「国家侮辱」罪の301条に関する質問に、ギュルは改革が続くだろうと述べて答え、トルコをヨーロッパと一体化させることを望むアタテュルクの遺産を誰が守るのかとの質問には、「我々がこれを行っている。アタテュルクが我々に示した目標を、まさに達成しつつあるのだ」と話した。
「アタテュルクが生きていれば、7月22日にAKPに票を入れただろうか?」との質問には、「我々の行ったことは、アタテュルク主義の人々からも間違いなく満足して迎えられるだろうと確信している」と話したギュルは、「あなたの夫人のスカーフは何か問題になったでしょうか?」との質問にも、「いいえ、なぜ問題になるだろうか。彼の夫人もスカーフをつけていたのだ」という形で答えた。
外務大臣は、トルコでは誰もシャリーアにより統治されるような事態は望んでいないと述べながら、「そうでなければ、なぜ我が国をEUに入れようとするだろうか。我々の目標はEUであり、国をこの方向で変えようと努力しているのだ」と語った。ギュルは、彼の一族の全ての女性がスカーフを被っているのではないことも明らかにした。

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( 翻訳者:林奈緒子 )
( 記事ID:11048 )