イラク、5月の治安情勢
2007年06月02日付 al-Sabah al-Jadid 紙

■ イラクの民間人死亡件数、5月は30%増加。

2007年06月02日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面

【バグダード:AFP】

イラクにおいて、暴力事件により死亡した民間人の数が、5月は前月に比べ30%増えた。特にバグダードでは暴力行為に歯止めをかけるべく大規模な治安部隊が展開されているにもかかわらず、全国で総計2000名近くが死亡している。AFPが内務省、防衛省並びに保健省から入手した情報によれば、イラク全土での5月の死亡者数は1951名、負傷者が2011名である。平均して一日に68人の民間人が死亡した事になり、死亡者数総計が1498名だった4月に比べ悪化している。

他方、イラク兵の5月の死亡者数は、4月の63名に比して46名と減っている。しかし、米軍についてはこの限りではなく、2003年3月のイラク攻撃以来、最悪の月のひとつとなった。死亡した米兵は119名で、2004年11月の137名以降最多を数える。米国防省発表の数字によれば、2003年3月以来、3471名のアメリカ人兵員及び公務員がイラクで死亡している。

イラク人警官の死亡者数は、公式発表によれば、前月の128名に比して5月は127名、負傷者数は215名であった。同じく公式発表では、「テロリスト」とされる者の死亡数が、4月の219に対し5月は297に達した。一方、「テロ容疑」による逮捕者数は、2939から2355と減っている。

国連によれば、2006年のバグダードでの死亡者数は1万6千を数え、これは同年のイラク全土での死亡者数の半数を占めた。この情勢改善のため、バグダードでは本年2月14日以来、米軍イラク軍合同による治安計画「法の執行」が開始され、現時点で8万5千のイラク兵並びに米兵が展開しているが、それにもかかわらず暴力事件の趨勢は衰えず、今のところ成果が見られない。イラクにおける死亡件数の前月比は、3月には2078件で15%の増加、1689件を記録した4月では19%減少したが、5月で再び悪化した。

駐イラク米軍次席、レイモンド・オディエルノ将軍の発表によれば、合衆国は、抵抗組織との「停戦」に基づく新たな戦略の構築に関心を有している。木曜(5月31日)、バグダードからの衛星中継による米国内記者団との会見で、同将軍は、「アル=アンバールでの成果を受け、イラク各地で抵抗組織を取り込むため、部族等のコミュニティと連絡をつけられることに期待している。この、バグダード西部の県(アル=アンバール)では、以前の抵抗組織が、アル=カーイダ系組織に対抗して、米軍とイラク治安軍に協力している」と述べた。また、アル=カーイダも含め「和解に応じそうにない分子」の存在も認めつつ、抵抗組織全体の約80%に和解の用意があるとみなされる点に触れ、「従って、停戦という事が考えられ、合意文書への署名をもって彼らが反イラク政府、反連合軍的な作戦行動を停止する事を期待」している事を明らかにした。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:11052 )