イラク、政争から一線を画す宗教機関設置の努力
2007年06月06日付 al-Sabah al-Jadid 紙
■ 政治から独立した宗教組織の設置、イラクの流血阻止と宗派間の緊張緩和を目指す
2007年06月06日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面
【バグダード:イラクの声】
火曜(5日)、イスラーム宗教学者、指導者(ウラマー)らは、イラクにおける流血と宗派争いを阻止するため、いかなる政治勢力にも従わない独立した宗教組織の設立を宣言した。スンニー派、シーア派、クルドの宗教人も含め130名強の出席を得、「ウラマーの団結がイラク国民団結の象徴となる」とのスローガンの下バグダードで開催されたイラクウラマー連盟第一回設立会議は、イラクの全ての宗教学者に向け対話と参加のチャンネルを維持する事を決議した。会議に続いて出された声明は、「イラク内外の全ての宗教関係者に対し、数日内にクルド自治区スレイマーニーヤ市で開催予定の拡大会議への出席を通じて連盟に参加するよう」呼びかけている。会議では、イスラーム全宗派からの参加者が、聖地を保持し、殺戮、爆破、宗派差別的暴力行為を阻止することにおいて、「メッカ合意」を尊重し、「イラク国民の団結維持の必要性」を確認した。メッカ合意は、昨年サウジアラビアで、イラク各宗派の代表がイラクでの流血を禁じる事を定めたものである。声明は、「テロ行為、国家機関内の行政的腐敗」は有罪であると述べている。
また、会議の参加者らは、「米軍に対し、その有罪が確定できない拘留者を解放するよう」求めた。声明は、「サームラーの軍事教練所、バグダード、キーラーニーヤ地区の爆破」を非難し、「霊廟や巡礼地へのセキュリティを強化しつつ、これらの場所を一刻も早く再建する」ことを要請している。会議は、「あらゆる政治組織、政党に対し、可及的速やかに不和を解消、(連合軍による)占領を終結させ、イラクの財産並びに人材を消耗させる事のないよう」呼びかけた。ナジャフ、アズハル、イスラム諸国会議機構の宗教指導者達は、イラク危機終結を目指す連盟の努力を支持し、その前途を祝した。以前も各派の宗教学者らが、流血事件、強制退去、身元による殺人、宗教施設を標的にする事などを阻止する目的で、イスラーム組織の設立を呼びかけた事があり、その時は、シーア派からはナジャフの宗教指導者代表、スンニー派からは、ファトワ(イスラム法に則した意見、アドバイス)協会、イラク・ウラマー委員会、ファトワ事務局からそれぞれの代表が、それに加えてクルド自治区の宗教学者らが参加した。
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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:11082 )