市民団体、参謀本部の声明を危険視 -リンチ誘発もありうる
2007年06月09日付 Yeni Safak 紙

ヤシャル・ビュユクアヌト参謀総長は、国境を越えた軍事行動を行う意欲を明らかにしながら、このために政治的決意が必要であると表明し、さらに参謀本部が人々にテロに対して一丸となって反対を示すよう望んだことに、各市民団体、有識者そして政治家らから反応があった。ビュユクアヌトを支持すると最初に明言したのはCHP(共和人民党)であった。さらにこうした発言へのもう一つの支持は、祖国党からもたらされた。

■狙いが明らかとなった

ヘルシンキ同胞協会、人権協会、人権・被抑圧者扶助協会(Mazlum-Der)、トルコ人権ワクフ、そして国際アムネスティ・トルコ支部は共同声明を出し、参謀本部が行った表明による狙いが明らかとなったと述べた。声明では、「非常に危険であり、結果がどうなるのか明白でない形で、人々は通りに出るよう(行動を起こすよう)煽動されている。これが大きなリンチや襲撃事件の原因となる可能性は小さくない」と述べられた。

■政府に立ちふさがった

退役軍事裁判官のウミット・カルダシュは、参謀本部の最新の声明が政治と政府に立ちふさがったように、直接的には、自由と民主主義、平和を擁護する人々へ向けられた警告という意味合いがあると述べ、「なぜならこれらの概念を擁護する人々は、テロを支援しているかのようにみられているのだ。いくつかの集団によって、この種の通告が出されることは、もはや当たり前と受け止められている。そもそも由々しき問題はこれなのだ」と語った。イフサン・ダーウ博士教授は、「社会がPKKのテロに対して、抵抗する態度を示さなかったとは言えないのだ。多くのテロ犠牲者の葬列で、我々は社会が(PKKのテロに)どのような態度を示しているか(つまり、社会も十分にテロと闘っていることを)、目の当たりにしている。これ以上、社会から何を望むのか?」と語った。

■選挙結果に影響力を及ぼすため

ハッキャーリのエサト・ジャナン無所属議員は、人々が集団行動を起こすことは懸命ではないと述べ、「(テロという)病気になされた診断は間違っている。私はこの声明は、一つには政治に向けられたもので、選挙結果に影響力を及ぼすためのものだと考えている。皆が責任を持って行動することが必要だ。選挙プロセスに影響を与えることを狙っているのだ。メディアは絶え間なく煽り立てているし、参謀本部もこのような声明をだしているのだ」と語った。

■国民に大きな任務が課せられる

参謀本部が、拡大するテロのため「国民への呼びかけ」という名の下に出した声明を、祖国党とCHPが支持した。参謀総長の夜中の声明を評価した祖国党のムハッレム・ドアン幹事長は、「政府にも国民にも、多くの任務が課せられている。特にテロ地域に住む国民が、このテロとの闘争を支援すること、彼らに機会を与えないことが必要だ」と述べた。CHPのオヌル・オイメン副党首も、テロ活動に対して「トルコ国民が一丸となって反対行動を示す」必要があるというTSK(トルコ国軍)の声明を支持した。オイメンは、「テロ組織が人々に基盤を見いだせなければ、彼らの活動は少なくなるだろう」と述べた。

■声明はPKKに対するクルド人の抵抗を期待してのもの

ドウ・エルギル博士教授は、TSKはこの呼びかけでクルド系国民からの支持を望んだのだと弁護した。エルギル教授は、次のように話した。「この呼びかけは様々に解釈できる。第一には、共和国ミーティングでのようなものと解釈できる。第二の解釈は、過激主義に走ってしまった一団の、クルド系市民に対する攻撃開始であると。例えば、サカリヤでアフメト・カヤのTシャツを着たものをリンチすることが望まれた。このような状態が起こりうるのである。より肯定的に読むならば、直接クルド人に対してのものともとれる。TSKが言うには、この組織(PKK)はあなた方のために、民主主義、人権、繁栄などの神聖な人間的価値の向上を望んでいると語っている。しかし彼らの活動は、これらと正反対であることを物語っている。彼らは語ったことと全く正反対のことを行っている、嘘をついているのだ。これに対して抵抗してください。」

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( 翻訳者:林奈緒子 )
( 記事ID:11103 )