エルドアン首相「北イラクより先に国内のテロ対策を」
2007年06月13日付 Milliyet 紙
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、公正発展党(AKP)の新本部の披露式典において、「北イラクには500人のテロリストがいる。しかしトルコには 5000人ものテロリストが山岳地帯に存在している。国内で5000人のテロリストとの闘争を終えることなく、北イラクのテロリストと戦うというのか?」と語った。
エルドアン首相は対テロ闘争に関し、政府と軍部の見解は同じであると主張。しかし、トルコ軍によるイラクへの越境活動が有益な結果を生むという参謀本部の主張には賛同しかねると述べた。また同首相は、「トルコ国内の5000人のテロリストとの闘争を終えることなく、北イラクのテロリストと戦うというのか?まずトルコに潜伏しているテロ組織を崩してゆくべきだ。」と話した。
首相はAKP新本部ビルの披露式典において、記者らの質問に答えるとともに、イラク越境に関する発表を行った。
さらに首相は、殉職者の葬儀において行われた抗議行動の一部が裁判に持ち込まれたことを告げ、「これは北イラクで政府が展開する活動の障害となりえるか?」との質問に対し、次のように返答した。「これは全く異なる問題だ。この問題はこの場で話すべきではない。行われるべきことがあれば政府は行う。その数は常に異なって伝えられているが、北イラクには500人のテロリストがいる。トルコにおいては山岳地帯に5000人ものテロリストがいる。トルコ国内のテロリストとの闘争を終えることなく、これを解決する前に、北イラクのテロリストと戦う時期が来たというのか? トルコに潜伏しているテロ組織をまず崩してゆくべきだ。国民の間にもテロを援助する組織が存在する。イラクより前にそれに対処しなければならないのだ。
■ 「テロに対する国民的原則」を
「5000人と500人という数字を例として掲げたのですか?それともそれは公式に発表された数字ですか?」という質問を受けたエルドアン首相は、「それは例として言ったものだ。しかし新聞にも載っている事実である」と返答。また、「テロの定義に伴う問題が我々皆を苦しめている」と述べ、そのために「テロに対する国民的原則」を打ち立てることを提案した。
さらに「対テロ闘争での死者を政治的な道具として使ってはならない。しかし一部の退役将校たちは、様々なテレビ番組に出演しては政府に対し無礼な発言をし、社会にネガティブな心理状況を作り出そうとしているかのようだ。平和な社会を確保すべく行動していくことが必要な今、挑発が続き、それが悪影響を与えている。」と加えた。
■ フラント・ディンク葬儀での礼儀正しさ
エルドアン首相は「死者の葬儀が行われるモスクの広場には、礼儀に反するような、非常に見苦しいスローガンが掲げられている。イマームの説教中には、野次が飛ぶ。フラント・ディンク氏の葬儀はどうだっただろうか。アルメニア教会総主教メスロブ・ムタフヤン氏が演説した際の〔参列者の〕礼儀正しさを思い起こしてほしい。そして我々の葬儀はどうか。政府に対し批判があるならば、党集会で発言すべきではないのか」と語った。
■ 様々な観点から考えていくべき
またエルドアン首相は、現在の状況が市場にも悪影響を与えていることを考慮しなければならないとし、次のように述べた。「我々はあらゆることを様々な観点から考えていかなければならないのだ。市場はどのように影響されるだろうか? 『いや、今我々にとって重要なのは経済ではなく、治安である』などと言えるだろうか?」
エルドアン首相は「これを言ったのはトルコ実業家協会(TÜSİAD)である」と続けた。「この言葉は間違いだ。これらは全て関係しており、切り離して考えることはできない。経済力がなければ、治安の保証も不可能である。二つを一つとして捉えるべきなのだ。片方を選ぼう、もう片方は捨てよう、というのは間違ったアプローチである。」
首相は、最優先事項に関する最終決定は政治のトップにある者が下すものと述べ、「我々には諮問機関がある。治安組織がそうである。また、経験豊富な学者や相談役の存在もありうる。こうしたあらゆる人々と相談しながら、我々は最終的な決定を下している。これから数日もしくは数週間以内にイラクのマーリキー首相を招待するが、来土の際には、我々はこの問題〔=トルコ軍のイラク越境問題〕を話し合うだろう。まずは我々が机に座って解決策を模索することが必要である。越境活動は最後の手段として行われるべきものなのだ。」
「国会の総召集、または決定を下すための集会を開く可能性は?」との質問には次のように返答。「越境活動は、やらなければどうしようもないという段階に至って初めて行われうるものだ。そのような段階にないのなら、選挙に悪影響を与えるような行動は控えるべきでないのか。現在計画されているテロ対策は、国内の民主主義や平和を脅かすためだということをわかっていただきたい。そんなことはしてはならない。」
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( 翻訳者:上田悠里 )
( 記事ID:11141 )