アレヴィー派は非ムスリムにあらず―AKPのアレヴィー派候補インタビュー
2007年06月17日付 Yeni Safak 紙

トルコでは激しい選挙戦が続いている。公正発展党(AKP)はこの選挙戦で包括的な一歩を踏み出し、国会議員候補者リストに様々な社会層の代表者も組み入れた。こうした受け入れは、民主主義的プロジェクトなのか、それとも見てくれの一新の活動なのか?私たちは同様の質問をアレヴィー派の作家であるレハ・チャムルオールに向けた。

記者「あなたご自身を、アレヴィー派の中でどのように位置づけていますか?」

・チャムルオール:「歴史上の異端とバーバーイ派」という本を出版しました。しかしこの本はアレヴィー派を意識して書いたものではありません。家族がアレヴィーであるほかに(同派とは)関係はありませんでした。この本が出版された後、多くのアレヴィー派の人が私の存在を知りました。協会、会議、パネルディスカッションやハジ・ベクシュタシ協会の式典に招待されました。瞬時にして同派の中でオピニオン・リーダーのひとりとなりました。


■ アレヴィーの集団は、政治を強く求めている

記者「オピニオン・リーダーとなり、何か使命がかかってきましたか?」

・チャムルオール:そのようにいうこともできます。アレヴィーの集団との関係によって、何人かの友人(ジェマル・シェネル、イゼッティン・ドアン、故アビディン・オズギュナイ)ととともに『ジェム誌』を創刊するまでになりました。そこでは主筆編集長になりました。

集団との関係はより密になりました。オピニオン・リーダーとなり、多くの人が問題の解決のために私のところを訪れるようになりました。(こうなってみて)気がつきました、この役割は本来政治が果たすものだと。そしてアレヴィーの集団もあなたがた(公正発展党)を政治的に受け入れてます。ある意味でこうした政治の役割があなたがたに強く求められているのです。

記者「では、政治とは・・・」

・チャムルオール:まさにこの点で葛藤を経験しました。あなたがたは問題を解決するため(手段として)政治の力を求めており、様々な政党も票の心配からあなたがたのところにやってきて支持を望んでいます。でも(他党の人間の)誰ひとりとして、「われわれのところから立候補しますか?」とは一切言わず、「われわれを支持してくださいますか?」といっています。しかしあなたがたは政治の力を政治的役割に変えようと望んでいます。そう、こうした理由から政治なのです。アレヴィー派は重要な問題ですが、根本的な問題ではありません。現在トルコの民主化と地球温暖化が、私にとってより優先的な問題なのです。


■ エルドアン首相はとても変わった

記者「なぜ公正発展党から」

・チャムルオール:トルコでは見解の変更に対しそれを認めない考え方があります。エルドアン首相は1994年当時のエルドアンではありませんし、ギュル外相の場合もそうでしょう。13年の歳月が過ぎました。この2人は、その間に学び、経験し、実際の政治の中に身を置いていました。こうした過程はあらゆる人を変えます。しかしトルコではこのような変化に絶えず疑惑の目を向け、人の変化した内面を信じないような見方も存在するのです。知識がひとを変える、というのは本当のことなのです。

記者「どのような変化を公正発展党にみたのですか」

・チャムルオール:公正発展党は、経済および民主化についてすばらしく、重要な措置を講じました。近年、アレヴィー派に関することも行われ始めました。そして選挙戦が始まった。公正発展党はトルコに現代化の礎を築くことができる唯一の政党です。

記者「公正発展党員は『(第4代カリフの)アリーを信望することがアレヴィー派であるなら、私もアレヴィー派である』と述べています。この言説はアレヴィー派にとって十分なものですか?」

・チャムルオール:当然ながら、敬愛するアリーを信望する人がみなアレヴィーであるわけではありませんが、先の表現は、感情的な親近感を生むものと理解できます。ただアレヴィー派は、過去に経験した恐怖によって、この言説も同化させられるための試みとみています。公正発展党は、ここ4-5年間でアレヴィー派について肯定的なことは何も行ってきませんでした。しかし否定的なことも一切行っていない。では、公正発展党以前の政権が行ったか?いや…。

記者「公正発展党というあなたの選択は、派内でどのように受け止められていますか」

・チャムルオール:派内の者が言うには、「私たちは(共和人民党の)一党独裁時代では平穏だった」と。これはどのような平穏だったのか?一党独裁時代に(イスタンブルで)オクメイダン・アレヴィー協会という看板を掲げることができたのか?集会場(ジェム・エヴィ)創設を企てたなら、何が起こっていたのか?

私たちは知っています、集団礼拝を行ったために、指導者が憲兵に連行され、苦渋を味わったのです。先の発言は、いかに硬直した思考であるのかということです。

公正発展党への私の参入に反対しているアレヴィー派の協会もいます。なぜなら慣例が崩れると考えているのです。加えて特に私がことをおこなう機会を得て、問題の一部を解決でもすれば、こうした協会はとても影響を受けるのです。

しかし普通のアレヴィーとピール・スルタン協会(といった組織に加入している)アレヴィーとを混同すべきではありません。日常的にもしアレヴィー問題に気付かないなら、このことは、社会的レベルでアレヴィー派とスンナ派がうまくいっているということです。したがって多くのアレヴィーは私のことをよりよく理解しています。


■ アレヴィーの非ムスリム化が望まれている

記者「あなたに反発している協会は何を望んでいますか」

・チャムルオール:実際に、よりはっきりと述べましょう。アレヴィー派には決まった計画が存在しました。これが何であるかというと、1.アレヴィー派はイスラームの範疇外であり、2.国会で議席の割当を獲得し、3.宗務庁を廃止する、ということです。これらは言うのは簡単ですが、実現は可能ではありません。

記者「誰がこの計画を実行するのですか?国外に逃れた人々ですか、トルコのアレヴィー協会ですか?」

・チャムルオール:国外に逃れた人々は一定の影響力があります、お金をもっていますから。かつてはトルコから国外に逃れた人々に送金がおこなわれ -どのように送金したかはいえませんが、このことを知るひとは知っています-、今ではこれが逆になっています。こうした資金でトルコ国内のアレヴィー派の監督が目指されています。

記者「誰がこの計画を支援しているのですか?」

・チャムルオール:この計画には2つの支援者があります、内外共に。トルコ国外では、ドイツで欧州アレヴィー協会連合が支援しているのがわかっています。トルコ国内でも強力な支援者が存在します。国内の支援者はアレヴィーが非ムスリム化することを望んでいます。2つの理由でこれを望んでいます。

国家の中(の原則)に焦点を合わせたグループは、アレヴィー派が信仰に向かうのならシーア派化すると考えています。こうした転向が、巨大なシーア派の隣人によって利用されうると懸念しています。2つ目の理由は、アレヴィーがスンナ派化するなら、または世俗化を今までほど強く主張することを放棄するなら、今度はイスラーム主義的な面が強まるであろうと考えています。

国家の中に焦点を合わせたグループは、アレヴィーが非ムスリムまたは無信仰となるのが良いとみています。普段声を上げない、アレヴィー派の協会や組織が、今現在これほど強く声を上げているのは、国家の中に焦点を合わせた、先に挙げたグループの支援ゆえです。そうしたグループとアレヴィー派の協会や組織は関係しているのです。

(後略)

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( 翻訳者:栗林尚美 )
( 記事ID:11172 )