宗務庁:イスラームは上位、アレヴィーは下位アイデンティティー
2007年06月21日付 Zaman 紙

ジェムエヴィ(アレヴィー派の礼拝所)への礼拝所資格付与および、宗務庁組織幹部職員にアレヴィー派の人物が任命されることに関する訴訟で、下位・上位アイデンティティーの議論が起こった。

20日に開かれた裁判には、原告ジェム・ワクフ(財団)会長イッゼッティン・ドアン氏とその弁護士ら、そして被告として首相府代理人のセレン・ギュネシ弁護士とマルマラ大学神学部教員の一人であるサーイム・イェプレム教授が出廷した。イェプレム教授は首相府側の弁論で、アレヴィー派がイスラームに含まれる一つの宗派であると評価した。そしてイスラームの全宗派、グループがイスラームの一般的な定義の中に位置することを明らかにし、「イスラームは上位、アレヴィーは下位アイデンティティーである」と述べた。同教授は、ジェムエヴィが全てのムスリムに共通した礼拝所ではないこと、イスラームの下位構成単位にはそれぞれ異なった形の礼拝所が存在することを指摘し、メヴレヴィー教団の小テッケ〔注:教団の修道場〕にもジェムエヴィのような礼拝所があることを述べた。

イェプレム教授は宗務庁がムスリムだけに奉仕する組織ではないことを述べ、南東のヌサイリー(=アレヴィー)信者である国民へも宗務庁の奉仕が行き届くことを明らかにした。また宗務庁において、スンナ派以外の宗派の信仰者がいることにも触れた。首相府法律顧問弁護士団の一人であるセレン・ギュネシ氏も、憲法において宗教と思想の自由、全ての信仰の自由が約束されていることを述べた。そしてアレヴィー派信仰者もムスリムであること、宗務庁の活動は宗派による差別なく、あらゆる人々を対象として進められていることを強調し、ジェムエヴィの礼拝所化は法に照らして不可能であると述べた。

■ドアン氏、「ジェムエヴィ問題を欧州人権裁判所へ」

ジェム・ワクフ(財団)会長イッゼッティン・ドアン氏は、信仰の多様性が国際的な取り決めによって保障されていることを指摘し、トルコ共和国の世俗的基礎を強調した。ドアン氏は、政府がアレヴィー派の信仰実践を容認しないであろうことに触れ、首相府が原告の要請を国内法によって拒否することを批判した。ドアン氏は、信仰の多様性が公共の秩序、一般道徳や健全性を侵害しない限り、国際的な取り決めによって保障されていることを指摘した。またトルコでは、政治家たちによって平和はもたらされず、司法組織の与える裁定が非常に重要であることを明らかにした。ドアン氏は彼らの要請を拒否した首相府の決定は適法ではないとし、この決定が無効となることを求めた。同氏は、ジェムエヴィに礼拝所資格が付与されない状況が続けば、この問題を欧州人権裁判所へ訴え出る予定であることも伝えた。アレヴィー派は、首相府からジェムエヴィに「礼拝所」資格が与えられること、アレヴィー派信仰の指導者たちを宗務庁の常勤職員に選任すること、そしてアレヴィー派信仰のために予算を配分することを要請している。首相府はこの要請を、「アレヴィー派はイスラームの一部である」という理由で拒否した。ジェム・ワクフと二千人程いるアレヴィー派教徒は行政裁判所に訴え、この決定の実行が中止されるよう要請した。

Tweet
シェア


現地の新聞はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:西山愛実 )
( 記事ID:11205 )