参謀本部、5日たってやっと声明 -米国ハドソン研究所の見解について
2007年06月21日付 Milliyet 紙
参謀本部は、米国ハドソン研究所でのトルコに関するシナリオについて声明を発表した。報道されてから5日後にようやく出された声明では、「議論を警戒し注視している」と述べられた。
トルコ参謀本部は、ワシントンのハドソン研究所で行われ、トルコに関して議論の原因となっているシナリオが討論された会議で発言されたとされる「イラク北部のクルド労働者党のリーダーがトルコに引き渡されれば、公正発展党(AKP)に利する」という評価は絵空事である、と明らかにした。声明において、トルコ国軍の代表者は参謀本部の許可を得て会議に参加したと発表された。
参謀本部は、インターネットを介して行った声明で、以下のように表明した。
■ 警戒し注視している
「会議で発言されたとされるシナリオが、我国で大きく議論されており、その会議にはトルコ国軍のメンバーも同席したと主張され、シナリオと国軍とを関係づけようとする働きかけを、警戒と悲しみとともに注視している。」
■ 議論を知りながら時を待った
「参謀本部によると、この議論の規模を詳細にわたって確定し、この状況をつくった背後にいる役者たちの本当の素顔と目的を明らかにするために、特に(議論の)最初に発表を控え、待つことにし、そしてこの事件が十分に議論の帰着をみてから、発表を行うとの決定が行われた。」
■ 参謀戦略調査センター(SAREM)メンバーは発言なし
声明では、参謀戦略調査センター(SARAM)の所長であるシュハ・タンイェリ准将は、他国の同様な研究所が行っているように、いくつかのシンクタンクの仕組みや活動の運営に関する知識を交換するために、以前から計画されていた訪問の中で、6月11~16日をアメリカで過ごしたとし、以下のように話した。
「この国(アメリカ)にある5つの異なるシンクタンクへの訪問計画の中で、言及されたシンクタンク(ハドソン研究所)も訪問した。しかしこの訪問は決してあの会議に関係するものではない。ある主要紙のアメリカの、この件に関して十分な経験をもっているべき特派員が、この件を曲がった形で報じたことや、TV番組で誤った解釈をしたことは、意図的な企てとみていた。
アメリカを訪問した参謀戦略調査センターのメンバーは、他のシンクタンクにスケジュール通りの訪問をおこなったため、言及されたシンクタンクには昼食時に行くことができ、問題の会議の食事直前のごく短い間、様子を見るため参加したのだった。この間、報道のテーマとなっているシナリオに関する発言は一切無く、訪問者の立場にあった参謀戦略調査センターのメンバーは、何のコメントもしていなかった。」
■ タラバーニーの出席は偶々
「参謀戦略調査センターのメンバーは、訪米予定の中で、他のシンクタンクと同様ハドソン研究所にも接触を持ち、一般的な意味で訪問計画上の合意をしたが、問題の会議のため、シナリオの件も含めたいかなる招待も受けていなかった。また会議にクルド人グループのリーダーの息子が出席していたことも全くの偶然であり、参謀戦略調査センターのメンバーはこの人物とは一切接触を持たなかった。」
■ シナリオは前もって渡されなかった
ワシントン駐在武官ベルタン・ノガイラオール准将は、行われた会議に口頭で招待を受けた。大使館には会議前にシナリオについて情報も書類も一切与えられなかった。同武官はこの会議に参謀本部の許可のもと参加した。会議への参加は当然の職務であり、会議の結果はレポートで参謀本部に知らされた。
会議本来の議論のテーマであった「イラクに対して行われる干渉への予測される反応」についての討論は、2時間にわたって続けられ、この間に同武官は、イラクに向けたすでに知られている見解以外の表現を一切用いなかった。
■ 受け入れがたいシナリオ
「その会議を取り上げたメディア関係者により主張され、テロリストをトルコに引き渡すというニュースは、完全な絵空事であり、嘘で塗り固め、目的をねじ曲げ罪をかぶせようという目的を帯びている。そのためこの件は、問題の新聞記者が説明すべきことと考えている。
以上にまとめた経緯は、ハドソン・シンクタンク筋により行われた多くの発表でも確認された。しかし、会議で取り上げられた本来テーマではなく、問題の空想上のシナリオが大きく議論されていることは、この事件がいくつかの勢力によって意図的に大きくされたという印象を与えている。
トルコ国軍によっても受け入れ可能ではない、このようなシナリオに端を発して行われた発表と解釈が、どのような目的に供したかは、考えねばならない問題として評価している。」
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( 翻訳者:川原田喜子 )
( 記事ID:11208 )