アメリカがイスラエルへの軍事支援増額 親米アラブ諸国にも
2007年07月30日付 Al-Nahar 紙

■ 米政府がイスラエルへの軍事支援を300億ドルに増額、質的優位を保証

2007年07月30日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

【AFP、ロイター、AP】

 アメリカ政府は、イスラエルへの軍事支援を10年間で300億ドル以上に増やすことを決めた一方で、この地域において拡大するイランの影響力に対抗する目的でアラブ湾岸諸国との巨額の軍事契約調印の準備を進めている。

 イスラエルのエフード・オルメルト首相はエルサレムで行われた週例閣議で、「先日のアメリカ大統領との会談(6月19日)の中で、今後10年で(アメリカからの)軍事援助を300億ドルに増額することで合意した。つまり、来年から毎年30億ドルということである」と語った。

 また「この支援で、アメリカからイスラエルへの軍事・防衛支援が25パーセント増加することになる」と明かした。さらに「(アメリカのジョージ・ブッシュ大統領は)イスラエルがアラブ諸国よりも質的に優位な状態を保障すると詳細にわたって明確に約束した」と続け、「イランに対抗するうえでアメリカおよびイスラエルと統一戦線を形成している穏健諸国を支援したいというアメリカの願望は理解できる」と述べた。

 さらにオルメルト首相は、「ブッシュ大統領はこの地域のアラブ諸国の軍備が近代化されてもイスラエルの戦略的優位性を維持することを約束した」と指摘し、この約束は2006年11月に行われたサミットで交わされ、去る6月のサミットで確認されたと述べた。

 イスラエル政府筋は、アメリカは最新型の戦闘機と高性能の爆弾とレーザー誘導型ミサイルをイスラエルに売却することにも合意した、と述べた。

 イスラエルと外交関係のないサウジアラビア王国の軍事増強についてイスラエルが反対するとの見通しを受けて、イスラエル首相のミリ・エイスィン報道官は、「サウジアラビアはイスラエルとの和平提案を支援している。我々はサウジアラビアが交渉を後押しするためより効果的な役割を引き受けるよう切望する」と述べた。

 イスラエルのメイール・シトリット内相は、中東における「軍備拡張競争」の存在を否定し、「軍備拡張競争はない。軍備は絶え間なく改善しているが、イスラエルは高性能の武器を保有し、この地域の他国に対する優位の維持に努めている」と述べた。

 イスラエルは今年、アメリカから240億ドルの軍事支援を得ており、そのほとんどがアメリカの企業からの武器購入に割り当てられ、総額の4分の1はイスラエルの企業からの軍事装備の購入のために使われている。

 アメリカの各紙によれば、イスラエル首相の[上述の]談話が発表される一方で、アメリカはサウジアラビアと湾岸諸国5ヶ国、すなわちアラブ首長国連邦、クウェート、カタール、バハレーン、オマーンとの少なくとも200億ドルに上る武器協定を発表する準備を進めている。

 今回の協定はブッシュ政権下で交渉が行われた武器協定では最大規模となり、その目的は中東におけるアメリカの同盟国の立場を強化することと、この地域で拡大中のイランの影響力に対抗することである。

 アメリカの「ワシントン・ポスト」と「ニューヨーク・タイムズ」の両紙は土曜日、コンドリーザ・ライス国務長官とロバート・ゲーツ国防長官が湾岸諸国を含む中東歴訪を開始する直前の月曜日にこれらの協定が発表されるとの見通しを示した。

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( 翻訳者:鳥居洋介 )
( 記事ID:11586 )