【政治部】裁判の結果「地上の悪」（地上に頽廃をまき散らした者）と認定された、モガッダス判事に対するテロ事件の実行犯2名が、木曜日、テロ事件の現場である「一般・革命指導検察庁」正面にて、数千名のテヘラン市民を前に絞首刑に処せられた。

　ジャーメ・ジャム紙記者の取材によると、処刑されたのはマジード・カーヴースィーファルとホセイン・カーヴースィーファルの二名で、二人は叔父と甥の関係に当たる。1384年モルダード月11日〔2005年8月2日〕の午後、「テヘラン一般・革命指導検察庁」の長官を務めていたハサン・モガッダス判事は、テヘランのアフマド・ガスィール通りにある職場〔＊訳注〕から帰宅のために出てきたところを、二人からレボルバー式の拳銃による銃弾2発を受けて殉教した。〔訳注：この事件は、在イラン日本大使館の斜め向かい数十メートルの距離の場所で発生した〕

　この事件を受け、モガッダス判事の遺体は司法命令により法医学に送られ、テヘラン警察第1課及び第10課が合同で捜査を開始した。その後昨年オルディーベヘシュト月〔2006年4月下旬〜5月下旬〕、アラブ首長国連邦の警察当局よりイラン国際警察宛に、同国のアメリカ大使館に出向き、亡命を求めた男がいるとの内容の書状が届く。そしてテヘラン検察庁代行のジャアファルザーデ判事の尽力により、容疑者の身柄をア首連からイランに送致する命令が発出され、マジード・カーヴースィーファルはオルディーベヘシュト月22日〔5月12日〕の夜、テヘランに移送されたのであった。

　マジード・カーヴースィーファルは取り調べの中で、モガッダス判事に対するテロを自白、次のように供述した。

私は事件の前、数人の友人、及びわれわれと関係のあった若い女性とともに、ある一人暮らし用の家で逮捕され、第1090法廷で65万トマーン〔約8万5千円〕の罰金刑に処せられた。そこで、私は同法廷の裁判官に対するテロを決意した。

モガッダス判事に対するテロを実行する前、私は5件の武装強盗を実行した。その過程で、私は旧キャラジ街道において治安活動に従事していた徴集兵一名、及び〔警察のもとに〕問い合わせにきていた人一名を殺害、さらにキルギス共和国大使館の警備をしていた徴集兵一名に怪我を負わせ、武器を奪った。また、甥やその他友人とともに、高級車数台を盗み、テヘラン各地の銀行を襲撃した。

モガッダス判事に対するテロを実行した後、私はア首連に逃亡し、亡命を図った。しかし彼らは私の話に耳を貸さず、逆に私を逮捕した。

　マジード・カーヴースィーファルの自白を受け、彼の複数の共犯者を逮捕、彼らもまた自らの罪を自白し、殺害現場を再現した後、殺害の罪に問われたマジードは甥やその他の共犯者とともに、刑務所に収監された。

　逮捕された者のうち2名の被告に対しては、昨年アーザル月11日〔2006年12月2日〕、テヘラン一般・革命裁判所第15法廷において、サルヴァーティー判事を裁判長とする裁判が行われた。裁判の中で2名の被告は、3件の殺人を含む複数の犯罪を犯したことに考慮して、「地上の悪」に認定され、公開処刑の判決が言い渡された。

　二名の殺人犯、モガッダス判事殉死の現場で処刑

　先週木曜日、死刑囚2名はエヴィーン刑務所から、アフマド・ガスィール通りにあるモガッダス判事殉教現場に移送され、テヘラン検察のモルタザヴィー判事や首都テヘラン治安維持軍のラーダーン長官、モガッダス判事の家族、そして数千名のテヘラン市民が見守る中、午前9時48分に絞首台に吊された。

　死刑囚、死の直前も自らの罪を悔いず

　テヘラン検察のサイード・モルタザヴィー判事は、処刑前のマジード・カーヴースィーファル死刑囚と行った最後の会話について、次のように語っている。

この死刑囚は、誰が堕落しているのか判別できるほどの悟りに達した、などと主張していた。彼は甥とともに、堕落していると自らが判断した人物をすべて殺害する誓いを立てたという。さらにこの死刑囚は、アメリカやイスラエルといった国に亡命して、人を殺すための金と武器を手に入れることを計画していた、とも言っていた。

また、この死刑囚が銀行強盗を行ったのも、銀行の金は自分の物だなどと考えて、罪のない人々を怪我させたり殺害したりしていたとのことだ。

　〔中略〕

　モルタザヴィー判事によると、この死刑囚は最後の瞬間まで、自らが犯した罪を悔いておらず、国の責任者や裁判官を殺して、司法関係者らを苦しめることが望みだったなどと述べていたという。

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（ 翻訳者:斎藤正道 ）
（ 記事ID:11594 )