イエメンのジャーナリスト団体、報道の自由の侵害に関するブラックリストを公表
2007年08月08日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ イエメン:報道の自由を侵害した高官のブラックリストをジャーナリストらが公表
■ リストには国家治安局、政治治安局、内務省、情報省幹部らを記載、行状を改めるよう要請

2007年08月08日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【サナア:ハーリド・アル=ハマーディー本紙記者】

 イエメンのジャーナリスト諸団体は昨日、イエメンの治安機関、諜報機関、情報省の高官らを記載した「ブラックリスト」を公表し、彼らに変革の手が及ぶ前にこの高官らの職務状況が正されるよう求めた。このブラックリストは昨日、女性記者団体「ビラー・クユード(制限なし)」が組織し、ジャーナリスト、人権活動家、政治家ら数百人が参加した首相府前での座り込みの場で発表された。リストには、アリー・アル=アーンシー国家治安局長官、ハサン・アル=ラウズィー情報相、ラシャード・ムハンマド・アル=アリーミー内相、ガーリブ・アル=カムシュ政治治安局長官、アリー・ハサン・アル=シャーティル国軍精神指導局長らが含まれる。このブラックリストについての声明は、「我々は表現の自由に対する攻撃や報道の自由に対する侵害という過ちを起こした機関や人物の名前を載せたブラックリストを用意するにあたって、仕返しや復讐という動機に駆られることのないよう注意を払った。それもまた一つの過ちであり、我々はそこに陥ることのないよう心がけている」と述べた。また、故意に侵害を行っている機関や人物に光を当てることによって、報道の自由への侵害を抑止することがブラックリストの意図であり、今後も目標であり続ける、と説明している。

 さらに声明は、「これにより我々は、これらの機関に対し、戦略的な改革を実施するよう要請する。運営の仕組みや意思決定の方法が是正され、権利と自由を保護する憲法や法の精神と調和するようになることを要請する。また他方では、現在これらの機関に所属し、権利の侵害や自由への攻撃といった過ちをあくまで続けようとする人物には、反省もしくは辞任・解任を要請する」と述べた。

 同時に、このリストは将来他の人々が同じ事を起こさないための間接的な戒めや教訓でもある、と説明している。

 また、「毎年その年のブラックリストが作成され、ある年にブラックリストに記載された機関や人物は侵害の度合いを軽減するか、侵害を完全にやめれば、次の年のブラックリストや侵害度指標における評価が改善されることもあり得る」と明らかにした。

 声明は、「我々はこれによって当局との断絶を表明しているわけではない。ブラックリストから脱したグループや人物については、侵害度指標の評価も大きく軽減されることになる。それによって、毎年同じ機関や人物によって侵害が繰り返される機会が減ることになり、結果として報道の自由に対する永遠の敵はいなくなり、永遠の友が生まれることになる」と述べている。

 声明はまた、「国家治安局と政治治安局の任務には、特に権利や自由に関する事柄について重複が見られる。透明性が欠如するとともに両機関の任務に重複が存在するため、両機関が共同して行っている侵害行為があり、我々は万人に対するこれらの侵害について、両機関に共同責任を問い続ける」と述べた。

 「情報省が行っている侵害のほとんどは、特に新聞の発行を認可しないケースについては、同省と国家治安局の共謀である。新聞発行の認可を得るために必須の手続は国家治安局に始まり、国家治安局に終わる、つまり国家治安局こそメディアへの認可を阻害している第一責任者であるという十分な証拠を我々は有している」とも説明した。

 内務省が行っている侵害行為のほとんどについては調査が行われず、あるいは侵害を行った者に対して調査を行い司法当局に引き渡すという義務が実施されていない。それ以外に内務省に所属する治安諸機関が行っている一連の侵害行為がある、と声明は述べている。

 ブラックリストによれば、2005年と2006年の2年間に行われた侵害行為の数によって並べた公的機関に対する告発の順位は、第1位が国家治安局の96件で、侵害行為の総数に対する割合は27.82%である。第2位は情報省で95件(27.53%)、第3位は内務省で54件(15.65%)、第4位は政治治安局で40件(11.59%)、第5位は陸軍戦略司令局で10件(3.18%)、残りの49件(14.20%)はその他の機関で、公的機関なのか部族系の組織なのか、あるいはそれ以外なのかは特定されていない。

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:11700 )