わいせつな印象? アンタリヤで設置されたばかりの現代彫刻が論争に
2007年09月06日付 Radikal 紙
アンタリヤ県ケメル郡で先週設置された彫刻が論争を呼んだ。ケメル市前市長ムスタファ・ギュル氏は「40人が石を投げると訴えた。彫刻は公序良俗に反する。」と述べる一方で、公正発展党(AKP)所属のケメル郡長ザフェル・ヤマン氏は「次はどんな姿の像ができるのか?」と嘆いている。
リマン大通りに設置された彫刻は、6メートル大の抱き合った男女の姿をしており、像の下部にはケメルと書かれている。女性像の両腕の間からは水が流れている。作者は彫刻家ザフェル・サル。現市長ハサン・シェケルも参加した像の除幕式は先週行われ、アンタリヤ県の観光地であるケメル市では今、この作品が議論されている。
■郡長にクレーム
共和人民党(CHP)所属のギュル前市長は「わいせつすぎる」として、彫刻の撤去をケメル郡に要求。ギュル氏はこの像が少女たちの道徳や家庭の平穏を乱すと主張し、次のように語った。「彫刻の設置後私あてに、市民から立て続けにクレームの電話が来ている。先日は40人ほどからなる一団が私のところにやってきて、彫刻を壊す、石を投げると訴えた。芸術作品に対して敬意は払うが、このような像をケメルのど真ん中に置くべきでない。ケメルにいるのは観光客だけではない。少女たちもいるし家庭もあるのだ。彼らの道徳が乱されるのを黙って見ていることはできない。」
■ 女性への侮辱
ザフェル・ヤマン郡長は記者会見を行い、「私はあの像を見ると恥ずかしくなる。次につくられる彫刻は違った姿で作られるのだろうか?」と話した。この作品が女性に対する侮辱であると主張する同郡長は、シェケル市長の「像を建て続けてゆく」という言葉を指摘しながら次のように語った。「次につくられる彫刻は違った姿で作られるのだろうか?私はあの像を見ると恥ずかしくなる。なによりもトルコや世界中の女性たちはそのような像を価値あるものとは認めない。この像は女性の権利に対する侵害である。女性の権利だけではなくあらゆる支援をしている女性団体にも私は呼びかけている。この件に関心を持ってほしい。」
■ 愛を表している
ハサン・シェケル市長は世界のいたるところにこの種の彫刻があると述べた。観光客が像の前で写真を撮るため列をつくり並んでいることを強調した同市長は、「芸術家が作ったのだ。私は芸術に敬意を払う。これは金属にすぎないのだから。」と語った。彫刻家サル氏もこの反応に驚いたことを明らかにし、「作品は愛を表している。純粋な感情がこのような形で汚されるのは残念だ。」と話した。
■ わいせつさではなく、芸術性に目を
ハジェッテペ大学芸術学部彫刻学科長ミュムタズ・デミルカルプ氏は、「芸術と私たちが言っているのは、芸術家の解釈である。わいせつだ、そうではない、ああだこうだ、と解釈をする前に、芸術的価値があるかどうか、それをみるべきだ。」と話した。デミルカルプ氏によると、一番の間違いは公共の場に像が設置される際に、専門家の意見が聞かれなかったことである。
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( 翻訳者:上田悠里 )
( 記事ID:11840 )