ビン・ラーディン登場のビデオに関する見方
2007年09月08日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ ビン・ラーディン登場のビデオ、アメリカへ新たな攻撃を示唆
■ 欧米情報機関の混乱、CIA、米国内の作戦を予測

2007年09月08日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ロンドン:本紙】

アル=カーイダ指導者、シェイク・ウサーマ・ビン・ラーディンが2004年11月以来初めてビデオに姿を現した。健康状態は良好そうで、丸みの出た顔は、潜伏生活により運動量が少ない事を示すものと見られる。あごひげからは白髪が消え、これまでのビデオテープで好んで着用されていた軍服とは異なる装いの、アル=カーイダ指導者の新たな姿は各方面を驚かせた。

ビデオは、アメリカがその軍事力にも関らず未だ脆弱で、大規模な攻勢に脅かされていると強調、イラクでの失敗に言及し、敗北は確定したと述べている。ナインイレブン6周年を前に公表されたビデオの中で、アル=カーイダ指導者は、その軍事経済力にも関らず、合衆国は危機に晒されていると述べ、観測筋はこの声明を新たな攻撃を示唆するものと理解している。ビデオの公表は、欧米、特にアメリカの情報機関に混乱をもたらし、これらの機関が、いくつかのイスラミック・ウェブサイトを破壊しようとしている。中でも、ナインイレブン6周年まで3日というタイミングで、その存在を公表し放映したと疑われるアル=イクラースのサイトに攻撃が集中している。

金曜(7日)米高官は、米情報機関がビデオのコピーを入手、現在出所の分析に全力を挙げていると表明した。どのようにコピーが入手されたのか、及び、上述以外のビデオの内容については言及されなかった。

米中央情報局長マイケル・ヘイデンが金曜に示したところでは、アル=カーイダは現在、合衆国に対する広範な攻撃を目論んでいる。ニューヨーク本部での分析に自身も参加したヘイデンの外交委員会での発言によれは、分析専門家らは、アル=カーイダ中央司令部が米国家を標的とした大規模な攻撃を用意している事をほぼ確信している。また同氏は、より多くの犠牲が出る場所、大規模な破壊並びに経済的ダメージにつながる場所が狙われるだろうと付け加えた。

しかし一方で、CIA専門家がビデオから引き出した情報を元にこのような結論に達したのか、あるいは他に情報源があるのかは不明である。

このタイミングでのビデオ公表自体に、2つの狙いがあると思われる。1つは、特に米情報機関内でかねがね囁かれるアル=カーイダ指導者死亡説に対する反駁である。過去2年間、アイマン・アル=ザワーヒリー博士が音声のみも含め8本近いテープに登場するのに比べると、どのビデオにもビン・ラーディンの姿が現れないため、このように言われてきた。もう1つの目的として、アル=カーイダによる大規模作戦とタイミングを合わせようとしているという事が考えられる。攻撃の直前、限られた例外においてはその後に、このようなテープが公表されるのが慣例となっている。

3日前ドイツ治安軍が、フランクフルト国際空港並びに米軍基地に対する攻撃を計画した容疑で、アル=カーイダに従うとされる集団を逮捕した。内2名は最近改宗した白人のドイツ人で、3人目はパキスタン国籍である。またデンマークの治安機関も、アル=カーイダに従うとされるグループが同国内での攻撃を計画していた事を明らかにした。

アル=カーイダは、6年前に比べはるかに強力になり広範囲に拡散したと言われる。それは最早ピラミッド状の序列や中枢を持つ組織ではなく、複数の地域における組織の集合体である。それらの地域としては、アル=カーイダが隊伍を組みなおしたアフガニスタン、また、イラク、サウジ、欧州、ソマリア、最近ではイスラム化する北西アフリカ諸国が挙げられる。各々の組織は、独自で攻撃を決定しそれに適した標的を選定する。北西アフリカにおけるアル=カーイダ勢力の拡大と、アルジェリア、モロッコ国内での攻撃の成功は、同組織が欧州に迫っていることを反映している。最近それは、アルジェリアのアブドゥルアジーズ・ブータフリーカ大統領をバーティナで暗殺しようと試みた。そのため欧州、特にフランスの治安機関は、多大な懸念を煽られている。

アル=カーイダは、例えばナインイレブンのアニバーサリーやアメリカ独立記念日など、特定の意味合いを持つ期日に攻撃を実行する習慣があるわけではない。2004年3月のマドリード、2005年7月7日のロンドン、あるいは9月11日であっても、日付に特別な指標はなかった。もし今回アル=カーイダが、ニューヨークのワールドトレードセンター攻撃の6周年にあたり攻撃を実行したとすれば、それは初めての例となろう。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:11859 )