繰り返される三種類の犯罪
2007年09月12日付 Jam-e Jam 紙

マジード・アブハリー博士(行動科学・社会病理学)

 新聞各紙の事件面で、私たちは連日のように痛ましく不快なニュースを目にしている。それらはいずれも、社会を揺るがし、人心に影響を及ぼす、一種の病理を表している。

 これらの邪悪な事件の数々は、一般市民の良心や倫理に加える衝撃以前に、どれも国の関係者や子供の親、教師たちにとって深刻な警告となってしかるべきものばかりだ。

 これらの出来事の本質を調査するならば、一部の同じような事件が繰り返されていることに気が付く。このことは、事件の被害者たちが、社会で起きている出来事について無知であるか、あるいは自分が鉄の要塞に守られた安全な場所にいるかのように考えているか、のいずれかであるという苦い現実を物語っている。この二つのいずれであっても、社会に生きる人々は現実に起きているさまざまな問題や出来事を自らへの教訓として学び、それを周囲の人々に伝えるといったことが必要であろう。

 主要な議論に入る前に、社会病理学の見地からある重要な点を指摘することが必要不可欠であろう。すなわち、多くの犯罪において、罪を犯した者には同じ犯罪か、あるいは別種の犯罪で有罪となった前歴がある、ということだ。彼らは、犯した罪に見合わないような軽い刑罰しか科されなかったり、罰を耐えることで、社会に復帰した後も、エネルギーを持続させつつ新たな経験を生かして、犯罪行為を続ける。60人の女性をレイプした占い師が、その良い例である。この男は、最初にレイプ事件を起こした際、禁固1年と99回の鞭打ち刑に処せられ、釈放されると今度は、別の女性59人の人生をめちゃくちゃにしたのだ。

 犯した罪に比例した刑罰を定め、厳罰化させること、それと同時にアイデンティティの再教育と人格の矯正を実施すること、さらにそれと並行して倫理的逸脱傾向や行動上の問題を抱えた犯罪者を監視すること、これらの措置によってかなりな程度、獰猛なオオカミたちから社会を守ることができるだろう。

 例として、ここでいくつかの事件をおさらいし、これらの事件のさまざまな側面について見直してみたいと思う。

 (1)罪のない子供が麻薬中毒の親によって殺害されるという事件が、後を絶たない。これは世界で最も痛ましい種類の事件であると言えよう。親が子供の所有者であるのは事実だ。しかし子供は国の宝でもある。社会の代わりに子供たちに教育を施し、基本的な保護を行うのは政府なのだ。この種の殺人の99%以上で、麻薬中毒が非人間的な行動の主たる要因となっている。向精神薬(クラックや覚醒剤)が、興奮剤としては最も多い。

 適性を欠く親たちから養育権を奪い、子供たちの養育を適性のあるボランティア、あるいは関連するセンターに委託して、子供の教育を行い、人生を継続させることが必要だ。

 (2)占い師とその協力者:関連の機関やメディアから次々と、この種の連中が最も卑劣な形で活動していることを知らされるのは、重ね重ね残念でならない。性的な暴行巨額な金銭の詐取などは、ヒルのように吸い付いては離れない占い師たちのもっとも典型的な行動である。厳罰化に加え、メディアを通じた家庭教育の徹底化が、これらの占い師どもの汚れた姿を白日の下に晒すことに大いに貢献するはずだ。

 (3)携帯電話によって撮影された写真や映像が悪用されるケースが目立つ。家庭に破壊的な作用を及ぼす、これらの心痛む事件は、多くの場合、人々が過度に他人を信頼することで起きている。倫理原則や価値基準を守ることにおいて、女性への教育は否定しがたい重要な役割を有している。倫理や価値といった〔犯すべからざる〕領域に立ち入ろうとする連中を厳しく取り締まるだけでなく、さらに〔反倫理的行為の〕犠牲となった人々を罰することも、この種の非人間的行動の基礎を弱めるための主要な方法であろう。

 何度も警告や注意を受けているにもかかわらず、見知らぬ車に乗り、肉欲に駆られた男どもの悪魔的な欲望や脅迫に屈するような女性は、この種の男たちの住居に自らの意志で進んで入り、不適切な状況の下で悪用可能な写真の撮影に応じるような女どもと、ほとんど変わるところがない。

 さて、これらの3つのケース、すなわち「子殺しの親」、「悪魔のような占い師」、そして「非道徳的な写真・映像を撮影する者たち」に、「向精神薬を製造するための複雑な研究所」を加えた4つの問題をめぐっては、新聞であれ、テレビであれ、メディアには教育上、重要な役割が存在している。またこれらの問題に関連して、抑止的な刑罰を科すこと、人格の再教育を施すこと、そして釈放された受刑者の監視を続けることが、中短期的な犯罪の抑止に効果があるだろう。

 関係するすべての人々・機関が心を一つにし、同じ方向を向くことで、二度とこの種の痛ましい事件が起きぬよう、望むばかりだ。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:11903 )