イラク治安情勢、シスターニー師支援者の暗殺他
2007年09月22日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ マーリキー政府の統治下にあるのはバグダードのわずか8%
■ 南部でシスターニーの代理人2名殺害1名負傷
■ ブラックウォーター、ライセンス停止から4日目に業務再開、コレラがバグダードに及ぶ
2007年09月22日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【バグダード:本紙、ワシントン:AFP】
金曜(21日)米軍将校は、米軍による支援増強から8ヶ月を経た現在、イラク治安軍はバグダードの約8%しか掌握していないと述べた。
バグダードの多国籍軍を指揮するジョゼフ・フィール少将は、同地で行われた参加者を限定した記者会見で、バグダードの約半分にあたる464地区が米イラク合同軍により掌握されているものの暴力は顕著な形で首都に戻っている、米軍監督下のイラク軍による掌握の程度は弱く、秋冬を経て変動が予測されるが現在は約8.2%に過ぎない、現時点でイラク治安軍は実質的に首都を防衛するに至っていない等発言した。
イラク治安筋によれば、バスラ並びにディーワーニーヤの両県で起きた組織的な暗殺未遂事件により、宗教指導者アリー・アル=シスターニー師の代理人2名が殺害され他1名が負傷した。
木曜(20日)夕、バスラ市西部アル=ザビールの交差点で、身元不明の武装グループが、シェイク・アフマド・アル=ジャンナービー、シェイク・アドナーン・アル=ジャンナービー両氏に発砲、シェイク・アフマドが即死、シェイク・アドナーンは重傷で病院へ運ばれた。両氏はバスラでのシスターニー師支援者であり、シェイク・アフマドは、シスターニー師に従うアル=ムルタダー文化協会責任者でもあった。
同事件発生と時を同じくして、ディーワーニーヤのシスターニー師代理人、シェイク・アフマド・アブドゥルカリー・ムバシールが、身元不明の武装グループにより殺害された。ディーワーニーヤ警察によれば、同氏は自家用車で帰宅途、市中心のアル=フラート地区で襲撃され即死、犯人は逃走した。
また、バスラのシスターニー師代理人の1人である、イマード・アブドゥルカリーム氏は、火曜夕、アル=フサイン地区のムーサー・アル=カーズィム・モスク前で暗殺未遂に遭い、同氏は難を逃れたが、ボディガード1名が死亡した。
バスラでは過去2週間で3名のシスターニー師代理任が暗殺未遂にさらされ、市中央のアル=ミシュラーク地区のモスク前でムスリム・アル=バタータ氏、市北部アル=ムアッキル地区のアル=マハッタ・モスク前でフサイン・アル=フサイニー氏が、それぞれ死亡している。
他方、米治安警備会社ブラックウォーターは、先週のイラク市民11名殺害事件以降マーリキー政府により業務を停止させられていたが、4日を経てバグダードで通常業務に復帰した。ライス国務長官は、バグダードでの米外交官警護手続きの詳細な見直しを求めている。
観測筋によれば、数日前マーリキー首相はライス長官と電話会談を行いブラックウォーターの業務停止を決定したが、同社に警備を委託していた米大使館は、それを受けて外交官の地上移動を制限していた。
また、WHOはイラク国内で1500名がコレラに感染しており、疫病はバグダードに及んでいる
と報告した。
現地の新聞はこちら
( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:11987 )