エッテマーデ・メッリー紙社説「カスピ海におけるイラン人の当然の権利」
2007年10月15日付 E'temad-e Melli 紙
ロシアのウラディーミル・プーチン大統領は本日テヘラン入りし、イラン大統領他我が国の当局者らと会談を行う模様だ。ロシアはこれまで約束をしては反故にするを繰り返してきたが、それにもかかわらず今回のロシア大統領の訪問は吉凶と善意の現れとして理解すべきであろう。
核問題をめぐる危機の一方で、最近数ヶ月間のさまざまな出来事の結果、国際社会には肯定的な心理的バランスが生まれている。このような状況が、今回のきわめて重要な訪問の実現に影響を与えたことは、間違いないだろう。
ロシアは強い影響力を誇る大国である。ソ連邦崩壊後、ロシアは政治的にも、経済的にも、国際関係的にも、失意の時代を送ったが、ウラディーミル・プーチンはロシアに新たな命を吹き込んだ。ロシアは失われた自信を取り戻しつつあると同時に、自らの存在感をアピールすることで、国際社会の中でより積極的、かつより影響力のある役割を果たしたいと考えている。ロシアは特に、中東においてより大きな存在感を獲得しようとしている。
アメリカがこのロシアの新たな勃興を、自らの長期戦略の中でどのように捉えているかは別として、忘れてはならないのは、ロシアが最近の数ヶ月、よりアグレッシブで、より強硬な姿勢を示し始めているということだ。このような新たな状況は、歓迎されるべきものだ。このような状況は、覇権主義的な中国政府の立場とともに、アメリカの一国主義的な政策に対して盲目的に追従する気のない独立不羈を旨とする国々にとって、息のしやすい状況を作ってくれるからだ。
しかしここで、イランの国益においてロシアが果たしている役割について、概略的であれ、いくつか指摘することが必要だろう。ロシアはソ連社会主義共和国連邦を法的に引き継いだ国である。国際法における一般的な慣習・伝統によれば、ソ連が行ったあらゆる約束に伴う責任は、ロシア連邦が負うことになっている。にもかかわらず、ロシア政府はカスピ海の法的地位に関する〔ソ連時代の〕協定や条約をことごとく無視してきた。
ロシアはここ数年、アメリカ合衆国や西洋諸国との対立など、イランが置かれている状況が不安定であることをいいことに、最大限の利益を上げてきた。歴史的な合意によれば、カスピ海の海上及び地下の資源に対する〔イランとソ連の〕両国の取り分は50対50であった。にもかかわらずロシアは、イラン・イスラーム共和国に対して圧力をかけ、〔ロシアとアゼルバイジャン、ロシアとカザフスタンなどのように、イランを排除した形で〕二国間の直接協議による合意を形成する動きを見せてイランを脅すなど、カスピ海に関連するイランの権利を抹殺しようとしてきた。〔カスピ海におけるイランの取り分について〕時に8%、時に11%、もっともよい条件で20%などと、主張を変えてきた。
この問題との関連でハータミー政権が手に入れたもっとも重要な成果は、〔ロシアがイラン以外の国と二国間で取り決めてきた〕すべての合意を無効化したことである。しかしここ数ヶ月、核問題が急展開を見せる中、ロシアはいわば漁夫の利を占めようとしている。
アフマディーネジャード政権も分かっているはずだが、核問題におけるイラン国民の当然の権利は正式に認められねばならないのと同様に、カスピ海におけるイラン人の自然で地理に則した、歴史的な権利もまた正式に認められねばならない。アフマディーネジャード政権であれ、その他の政権であれ、カスピ海におけるイラン国民の当然の権利について妥協するようなことは、もちろんないはずだ。
ロシアとの関係でもう一つ問題となっているのは、ブーシェフル原発への核燃料引き渡しと、同原発の稼働時期の明確化をめぐる問題である。これまでのロシアの姿勢からも分かるように、ロシアはこの問題に関して、自らの約束・言質をきちんと守っていない。今回のプーチン大統領のイラン訪問は、これらの問題に関する同国の最終的な決意を同大統領から聞くよいチャンスである。
世界や中東においてより重要な役割を獲得したいと考えているロシアにとっては、独立不羈を旨とする国々の政府・国民に対する約束がどれだけの信頼の置けるものであるかを示すことが必要である。ロシアが自らの約束を果たすべき時が来たのだ。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
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