テヘランのブックカフェ、撤去される
2007年10月25日付 E'temad-e Melli 紙
写真:ホッジャト・セパフヴァンド(エッテマーデ・メッリー)
写真:ホッジャト・セパフヴァンド(エッテマーデ・メッリー)

【パルヴィーズ・ベラーティー】首都警察公共地域局がブックカフェに与えた72時間の猶予は、昨日ついに切れ、ブックカフェの店員らは営業場所からの撤収を余儀なくされた。

 報告によると、ブックカフェの店員らはここ3日間、継続的に首都テヘラン警察公共地域局に出向き、交渉を続けたが、打開の道筋を見出すことはできず、彼らは昨日朝、ブックカフェに関連した機材の撤収を行った。

 公共地域局の最近の警告を受け、営業の停止に追い込まれたブックカフェは、「サーレス出版」、「バドラゲイェ・ジャーヴィーダーン」、「ダルース」、「ヴィースタール」、「シャフレ・ケターブ・ヴァナク店」、及び「ケターベ・ロウシャン」の6店舗。昨日エッテマーデ・メッリー紙記者が上記ブックカフェ各店舗で目撃したところによると、ブックカフェの店員らは公共地域局から与えられた72時間の猶予が切れたことを受け、店舗機材や書籍、その他関連機材を迅速に撤去していた。

 公共地域局はこれまでのところ、この問題に対してこれといった立場を示していない。他方、〔警察から警告を受けた〕ブックカフェ6店舗の一部を悩ませているのは、〔ブックカフェではなく〕書店本体が公共地域局によって営業停止処分を受ける危険性があることである。ブックカフェを運営するある人物は、このことについて本紙に次のように語っている。「昨日、出版社組合と協議を行った。(ブックカフェを撤去したので)『他業種への干渉行為』の問題は解決済みであり、書店の営業停止を取り消す命令が公共地域局の側から出されるはずだ」。しかしながら、この人物によると、公共地域局はいまだに書店に対する営業停止命令を撤回していない、とのことである。

 また、本紙記者が首都警察公共地域局局長のファシュミー=モガッダム大佐に連絡し、本件の詳細について取材を試みたが、回答は得られていない。また、テヘラン警察広報局長のデラフシャンデ大佐は、この問題については何も知らないとして、本紙に次のように述べている。「ブックカフェ数店舗が営業停止になったことについて、公共地域局からわれわれに、いまだ報告は来ておらず、われわれの側はこのことについて何も知らない」。

 先日の報道にもあったように、ブックカフェに対する営業停止処分を受けて、数名の作家や文化関係者らが懸念の声を上げている。画家で作家のパルヴィーズ・キャラーンタリー氏もその一人だ。

 これまで3冊の小説をサーレス出版から出版している同氏は、同出版社が運営するブックカフェで新聞記者やその他の文化関係者らと面会をしてきた日々を振り返る。同氏は、イランの芸術・文化界は「離散した民族」のようだと指摘した上で、次のように語っている。「われわれ芸術家・著作家は、互いがどうしているのか全然知りません。まるで『離散した民族』に属しているような感じがします。著作家は芸術家について何も知らず、映画関係者は音楽家たちがどうしているのか知りません。文化的な交流がない状態にいるのです」。

 キャラーンタリー氏によれば、ブックカフェはこの「離散民族」が互いに近づく場の一つであったという。このことについて、同氏は次のように付け加えている。「ブックカフェは著作家やその他の文化・芸術関係者らの交流の欠如を埋めるものでした。私の個人的な体験ですが、サーレス出版のブックカフェに行けば、いつもそこに他の詩人や著作家を見つけたものです。こうすることで、私たちは互いがどうしているのか、情報交換をしたものです。このような場が活動をやめてしまうことは、実に残念なことです」。

 キャラーンタリー氏は、今世紀初頭〔1920年頃〕のパリではブックカフェが、シュールレアリスムやダダイスムを標榜する芸術家たちの往来するサロン・中心地であり、その他の画家や詩人、劇作家らとの交流の場であったと指摘する。これらのことすべてが、特定の芸術的・文化的潮流の発現を促したという‥‥。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:12270 )