トルコ政府、イラク北部への電力供給停止を警告
2007年10月25日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ トルコ政府、イラク北部への電力供給停止を警告
■ トルコ軍部隊が国境を越えてクルド人反乱勢力の基地を攻撃

2007年10月25日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【バグダード:本紙ディヤー・アル=サーマッラーイー記者】

 トルコはイラク北部への電力供給を停止すると警告した。一方、治安当局筋は昨日、「トルコ軍戦闘機および陸上部隊は今週イラク領内のクルド人反乱勢力を攻撃したが、外交努力に機会を与えるため、現時点では大規模な軍事攻撃はひかえている」と述べた。

 トルコは、イラク国境の山岳地帯を拠点とする非合法のクルディスタン労働者党(PKK)に所属する反乱勢力約3000人への対策を講ずるとの約束を尊重するようイラク政府に圧力をかけ続けるため、同地帯へ部隊を増派している。ある治安当局筋は匿名を条件に、トルコ軍戦闘機が日曜日から火曜日夜にかけてイラク領内20㎞の地点まで侵入し、兵員300人からなる地上部隊が10㎞の地点まで前進したことを明らかにした。またある軍幹部はイラク北部で激しい追撃がさらに行われることが予想されると述べた。

 あるトルコ政府高官は、今日木曜日に予定されているイラク政府代表団のアンカラ訪問は外交活動の最後の機会だと述べた。イラク代表団の団長はトルコ側の要請に基づいてアブドゥルカーディル・ジャースィム国防相が務め、シルワン・アル=ワーイリー国家安全保障相も参加する。

 トルコはイラク側が問題解決に向けて具体的な措置を講ずることを求めている。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は一昨日のロンドン訪問中、イラク北部への経済制裁の可能性について協議した。エルドアン首相が率いる公正発展党は、この制裁措置がイラク北部への電力供給停止と、ハーブール国境検問所の通行の停止ないし制限を含むものになる可能性があると述べた。イラク北部は電力や水や食料の獲得にあたってトルコに大きく依存している。トルコのトズマン貿易担当相は昨日、イラク北部におけるクルド人反乱勢力をめぐる現在の危機的状態が激化すれば、トルコ政府としてはイラクの北部に限って交易を停止することもあり得ると述べた。国家安全保障評議会はアブドゥッラー・ギュル大統領を議長として6時間という通常より長時間の協議を行った後、声明を発表した。協議にはエルドアン首相やヤシャル・ビュユクアヌト国軍参謀長らが出席した。

 イラク領クルディスタンの議会は昨日水曜日に特別会合を開き、イラク北部でのPKK武装勢力の問題を解決するために武力を行使する試みに対して非難を表明し、危機解決のために戦争ではなく対話の論理と平和的な手段を用いるよう求めた。

(後略)

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( 翻訳者:森晋太郎 )
( 記事ID:12335 )