バスラ治安情勢、イラク軍高官の見方
2007年11月20日付 al-Sabah al-Jadid 紙
■ 賄賂を受け取る国境警備兵の協力により密輸
■ 軍筋:バスラ県民は武装グループにこれ以上耐えられない
2007年11月20日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)HP1面
【軍関係筋:本紙】
軍高官によれば、バスラ県で複数の武装グループが危険な動きを見せており、それらの中には、イラン革命防衛隊によりイランで軍事訓練を受けた要員が含まれる。同筋は、本紙に対し以下のように述べた。
これらの武装グループは、各々分隊を持ち、ロケット砲などの重火器からダイナマイト等通常の武器までを所有している。「アル=イスラーミーヤ」と呼ばれるイラン製の爆発物もあり、これは路上に飛び出して爆発する仕掛けである。また、イラン軍人を顧問とするグループもあり、多くの公共資材がこのようなグループ間で分割されるため、市民生活に耐えがたい圧迫を与えている。
イラン側は完璧な隠れ蓑を有しており、アメリカが直接叩こうとすれば、バスラ県がそれをせき止める基地となるだろう。そのような事が起きれば数週間の内に、上述の武装グループとイラク政府軍との間の戦闘になるものと思われる。
また、ギャンググループにより、パイプの穴から盗んだイラク石油の密輸が組織的に行われている。イラン、イラク双方で活動するこれらのグループは、アブ・アル=ハティーブ街道を通じ車両の密輸も行っている。ギャング団は、国境警備隊、沿岸警備隊に多額の賄賂を支払い、通行の便宜を図らせている。
稼動しているバスラの石油プラントには、既存の警備部隊に加えてイラク軍が配備された。また、120名の潜水工作兵からなる部隊が組織され、彼らは石油の密輸対策チームとして派遣される。特にボートを使った密輸が盛んなためである。密輸を組織する武装グループの背後には、政党やバスラの有力派閥がついている事もあり、敵対者を殺害もしくは拉致している。領海から一定の距離を保って行われる石油の密輸に従事するグループの他に、車両や部品の密輸を専門とする数グループがバスラ市内に存在するのは確実である。
これらの勢力を放逐し街に秩序を回復するため、政府側としては、更に多くの部隊を必要としている。表立ってはいないが、政府軍とこれらのグループ間の競合対立により情勢は緊迫している。政府が国家を樹立したいのならば、このようなグループを打倒しなくてはならず、確固たる措置を取るべきである。政府決定をかき乱す国会議員の意見や、政情、勢力分配主義に影響されるべきではない。
バスラは現在、平和でもなければ戦争状態でもない。措置を講じる必要があるが、我々にはあまり見込みがない。武装集団は数にして8千を越え、軍として対抗するには少なくとも5つの旅団が必要であるが、バスラには充分な要員がいないためである。しかし。ゴーサインが出れば我々は戦闘の用意がある。個人的には、来る数週間の内にそうなるのではないかと考えている。(イラク三分割案により)南部が自治区とされる可能性や、武装グループと政府軍との対立について、市民は多大な懸念と不安を抱いており、人々は、政府側、民兵側のどちらも信頼していない。
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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:12502 )