アーガーザーデ原子力庁長官「P1・P2型遠心分離器、及び金属ウラン文書をめぐる問題は終了した」
2007年11月25日付 Iran 紙
【政治部】イラン原子力庁長官は「国際原子力機関(IAEA)はイランに送付した公式文書の中で、P1・P2型遠心分離器をめぐる問題、及び金属ウランに関する15ページの文書をめぐる問題が終了したことを表明した」と語った。
〔訳注:P2型遠心分離器とは、P1遠心分離器に比べてウラン濃縮効率の高い高性能の遠心分離器のこと。また、「金属ウランに関する15ページの文書」とは、核爆弾製造に必要な、金属ウランを半球形に成形する技術が記された文書のことで、イラン核問題をめぐる疑惑の中心に位置づけられていた。〕
レザー・アーガーザーデ長官は昨日、IRNAとのインタビューで「IAEAの公式文書はウィーンにあるイラン代表部に送付された」とも述べた。
アーガーザーデ副大統領はさらに、「これに基づき、イランとIAEAは両者の間で交わされた合意文書に従い、次の段階、すなわち汚染源をめぐる問題について話し合う段階に入ることになろう」と語った。
〔訳注:「汚染源をめぐる問題」とは、遠心分離器に付着した高濃縮ウランの痕跡のことを指すものと思われる。イランは高濃縮ウランが、遠心分離器を闇市場から入手する以前に付着していたものであり、イランでウランを濃縮した結果付着したものではないと主張していた。〕
アーガーザーデ長官はその上で、「IAEAの代表団は汚染源問題について協議するために、12月10日にテヘラン入りする予定だ」と語り、さらに次のように述べた。「プルトニウム問題、キャラジの汚染問題、P1・P2遠心分離器問題、そして金属ウラン文書問題が終了したことで、現在われわれは行動計画(イランとIAEAの間で交わされた合意文書)の最終段階を実施しているところである。残された細々とした諸問題が可及的速やかに解決されることを望む」。
西側諸国はP1・P2問題の解決を過小評価しようとしている
エルバラダイ報告をめぐる評価、及び同報告に関して西側メディアが作り出そうとしている雰囲気について質問を受けたイラン原子力庁長官は、「先のIAEA理事会の前から、西側メディアはこの問題に特に注目していた。つまり、彼らはイラン核問題をめぐる最重要の問題とは、P1・P2遠心分離器をめぐる問題であるとしてきた」と指摘、その上で次のように述べた。「9月に行われたIAEA年次総会の場でも、EUの代表はイランとIAEAとの間で交わされた合意文書を支持しつつ、P1・P2遠心分離器をめぐる問題を11月の理事会ではっきりさせるよう求めていた」。
同副大統領はその上で、次のように続けた。「西側は、われわれがP1・P2遠心分離器をめぐる問題を解決するという約束を果たすことができないものと考えていた。しかし彼らは理事会開催の直前になって、われわれの主張がIAEAの発見したものと一致することに気が付いた。そのため、彼らは非常に困惑した」。
「エルバラダイ報告の結論について前もって知るや、彼らはあわてふためき、〔イランとIAEAの間の協力の〕成果を色褪せたものとするべく、さらに10ページからなる追加質問を提出してきた。もちろん、後になって彼らもこの内容では勝ち目がないということを悟ったようだ」。アーガーザーデ原子力庁長官はこう指摘する。「彼らは今でも、P1・P2遠心分離器問題の解決を色褪せたものにしようと努力している。彼らは政治的な議論を持ち出し、追加議定書をめぐる問題を前面に押し出そうとしている。そうすることで彼らは、P1・P2遠心分離器問題の解決を目立たないようにしているのだ」。
副大統領はさらに、次のように述べる。「エルバラダイ氏の最近の報告により、西側がイランを追い詰めようとするシナリオは崩れ去った。イランが自らの法的義務に則って、核の平和活動を推し進めていることが明らかとなったのである。そもそもの始まりから、イランの全活動は核エネルギーの開発とその燃料の供給という枠組みの中で行われていた、ということだ」。
アーガーザーデ副大統領はその上で、「IAEAがP1・P2遠心分離器に関するイランの過去の主張を正式に認めたことは、この上なく重要である。なぜならそれは、〔イランの核計画に対する〕ネガティヴな非難には正当性がなく、多くの周辺的な問題が消滅したということを意味するからだ」と強調した。
西側はイランに対して謝罪すべき
イラン原子力庁長官はまた、「追加議定書の実施をめぐる議論は尚早だ。西側が政治的な問題を提起し、〔イランを不当に〕非難するのをやめて初めて、われわれは追加議定書の実施について議論することになるだろう」と述べた。
同長官はその一方で、「IAEAが追加議定書の実施を求めているとは言っても、それは現在の核計画に関するイランのIAEAとの協力に、何らかの曖昧な点が存在するということを意味するものではない」と述べ、さらに「今日IAEAは、ナタンズに対する監視を行っており、イランもこれに合意している」と続けた。
同長官はさらに、「西側にはわれわれに対して行ってきた非難について、説明責任がある。われわれそのために、被害を被ってきた。われわれの活動には遅れが生じた。彼らはわれわれに対して、国際的な制裁まで科している」とも述べた。
アーガーザーデ副大統領はその上で、「第二に、イランの問題が何故国連安保理で議論されなければならないのか。イラン核問題が安保理にとどまり続けるいかなる法的根拠もない」と指摘する。
アーガーザーデ長官はインタビューの続きで、さらに「核燃料棒生産複合施設(FMP=燃料生産プラント)は、1387年の前半〔2008年3〜9月〕までにアラークにある40メガワットの研究炉への燃料の注入が可能な状況となるだろう」と明らかにした。
〔後略〕
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:12533 )