第51回ベイルートブックフェアでの首相挨拶
2007年12月15日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ 政治に失敗し文化に賭ける、セニョーラ首相、セキュリティのため官邸から、ベイルート国際アラブブックフェア開会の辞
2007年12月15日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP論説面
【ベイルート:ナーズィム・アル=サイイド(本紙)】
一昨日(13日)、セニョーラ首相後援による第51回ベイルート国際アラブ書籍展の開会式が行われ、ターリク・ミトリー文化相をはじめ知識人、ジャーナリスト、出版関係者等の出席を得た。
レバノン出版協会の協賛でアラブ文化クラブが主催する同展だが、今年は政治的緊張と不安定な治安情勢の影響を被る事となった。特に、開会前日に起きたレバノン国軍作戦局長官、フランソワ・アル=ハッジ大将と随員の暗殺事件は否定的な効果を及ぼし、同様の情勢であったにもかかわらず開会式典が盛況を呈した昨年に比して、参加者数は減少した。昨年の人出は約35万と数えられ、開会式その他の行事から日が経ってもなお、同展を訪れる人が多かった事を示している。昨年の書籍展は50周年を迎えたが、約3ヶ月遅れての開会であった。ラフィーク・アル=ハリーリ元首相暗殺に続く一連の要人暗殺事件からレバノンのインフラ破壊に繋がった7月戦争まで、この2年間同国が体験してきた切迫した状況のためである。戦争は出版界にも打撃を与え、多くの書店や出版社が潰れた。戦後は紙の価格が高騰したため、多くの出版社が発行延期原稿を抱えることとなった。
首相が開会を宣言するようになって2年目の今年、フワード・セニョーラは会場から数百メートル離れた官邸からのテレビ中継により開会の辞を述べた。首相及びその他挨拶を述べた人々は、政治的停滞が支配する現状からは努めて距離を置こうとしたようであるが、それでも首相の言葉には政治色が顕著であった。首相は、大統領不在の現状を、国としてもアラブ地域としても耐え難いと評し、改めてそれを拒否した。国軍長官であるミシェル・スレイマーンを選出するための憲法改正については、「行き詰まって、内部の空白と混乱そして外部の干渉に脅威を覚えるようになったため、我々は、軍長官の大統領選出を許可するような憲法改正に同意した」と述べ、スレイマーンの軍指揮における優秀さを多々上げて賞賛した後、「残念ながら、これまでのところ我々の努力に相手が応えてくれない」として野党を批判した。
また首相は、自由な独立主権国家、国と国民を守るべき法治国家としての柱を固め抵抗を維持するために連帯すべきが、これまでそれが出来なかったため現在の危機的状況にあると述べ、合憲機関の機能を混乱させるような扇動により国民の合意に逆らったり、支配の野心自体を目的とする事は止めるべき、と訴えた。首相の見解によれば、過去1ヶ月半の間に7回、見解の相違、利害の不一致、エゴぶつかり合いなどによる論争、憲法や国家機関をないがしろにする等の事態が回避され、その前後にはあからさまな外部の介入があった。
国歌吹奏で幕を開けた開会式典では、文芸フェスティバル専門家によりその意義が述べられた後、アラブ文化クラブ会長並びにレバノン出版協会会長のスピーチが続き、文化相と実行委員長により、最良出版物賞他の授与が行われた。ベイルート国際アラブ書籍展には、作家51名、約150のレバノンの出版社の他にエジプト、ヨルダン、サウジ、シリア、イランから20の出版社が参加し、クウェイト、アラブ首長国連邦、オマーン等も協力している。また、レバノンの文化、観光、大蔵各省の他、ユネスコ、イタリア、フランスの各文化センター、フランクフルト書籍展等の協賛を得ている。
(以下略)
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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:12675 )