ビザンツ宮殿にホテル建設の刃 -歴史的遺構になぜ?
2007年12月28日付 Milliyet 紙

記念碑保存委員会のメンバーであるアフンバイ教授は、自身が欠席した委員会でフォーシーズンズ・ホテルに関連する決定が下されたことを明らかにし、「建築許可が出されたことは犯罪です」と述べた。トプカプ宮殿博物館館長のオルタイル教授も、「大規模なビザンツ遺構があそこにあるのに、誰も気にしていない。スルタン・アフメト地区は破壊されている」と強調した。

スルタン・アフメト地区で65室の客室をもつフォーシーズンズ・ホテルは、客室をあと50部屋増やすために、歴史的区画である隣の用地に追加の建物を建設している。この追加の建造物は、オスマン時代およびビザンツ時代の歴史的遺構の上にそびえたっている。記念碑保存委員会のメンバーであるゼイネプ・アフンバイ教授は、追加部分の許可に関する決定が、とりわけ自分が出席していなかった会合で下されたことを明らかにし、「建築許可が出されたことは犯罪です」と述べる一方で、歴史家イルベル・オルタイル教授も「スルタン・アフメト地区は破壊されている」と語った。

■2006年に承認

2006年1月23日、イスタンブル記念碑保存第一委員会は、考古学エリアでの建設を盛り込んだプロジェクトを承認した。その計画では、ビザンツ時代の遺構がある17,000平方メートルのエリアに鉄骨構造体を築き、その上に50部屋が建設される予定だ。ホテル経営者側は、高さ2.5メートルの鉄骨製の台の上に聳え立つ2棟が、歴史的遺構に悪影響を与えることはないと主張している。考古学博物館の指揮下で進められた発掘作業で掘り出された歴史的な出土品も、同じエリア内に建設される「考古学公園」での保存が計画されている。

■4世紀の遺構もある

現在、歴史的建造物であるスルタン・アフメト刑務所跡の建物でホテル業を経営するフォーシーズンズ・ホテルが、新しく建設する建物のために選んだ用地の歴史は4世紀にさかのぼる。コンスタンティヌス帝の時代に建設された大宮殿は、最も重要な遺構のひとつだ。この用地で今回の建設作業の際に、7世紀、10世紀のフレスコ画、床モザイク、ハマムの遺構、地下貯水庫が発見された。
建設される2棟はいずれも三階建てで、客室50室とスパ・センターが入る予定で、建設費用は1500万ドルの予定だ。建設される建物は、「歴史的地区に基礎を打ち込むことを避けるために」、高さ約2.5メートルの鉄骨構造体の上に聳え立つ。
建物以外の部分では、歴史的な出土品の展示エリアが設けられる。このエリアは、「考古学公園」という名称となる予定だ。

■アフンバイ教授「私が出席しなかった会合で決定された」

ジェンギズ・エルズン教授が議長をつとめ、このホテルのプロジェクトを承認した会合に、ゼイネプ・アフンバイ教授は出席していなかった。その会合ではもうひとりのメンバーも反対意見を表明していた。
イスタンブル工科大学建築学部修復学主専攻の代表であるゼイネプ・アフンバイ教授は、委員会の会合に参加しなかったことに関連して次のように述べた。
「会合の日程が私のいない時期に設定されたのです。私は海外に出るところでした。そして私に『重要なことは議題にしません』と約束すると言われたのです。しかしこの問題が議題とされ、どうしてなのか承認されてしまったのです」
アフンバイ教授は、このプロジェクトに絶対に反対だと語り、「あそこは宮殿の用地だったところです。建設用地として許可が出されたことは、実際のところ犯罪となります。なぜか委員会は説得されてしまったようです。歴史的地区がホテルのものとなることは不可能です」と話した。

■プロジェクトを承認したのは、委員会の委員たち

委員会は、議長であるジェンギズ・エルズン教授によって召集された。ゼイネプ・アフンバイ教授は委員会に参加できなかった。イフサン・サル氏もホテル計画に反対意見を述べた。
ジェンギズ・エルズン教授、ジェム・エリシュ氏、スィナン・クルチオール氏、ムラト・トゥンジャイ氏、そしてムスタファ・カラス氏は、プロジェクトを承認した。

■オルタイル館長「スルタン・アフメト地区は破壊されている」

トプカプ宮殿博物館の館長、イルベル・オルタイル教授は、こう話す。
「私は建設がこういったかたちで進むことに絶対反対です。建設用地は、ビザンツ宮殿のあったところで、とても重要なところです。スルタン・アフメト地区は破壊されています。大きなビザンツ遺構があるというのに、誰も気にしていないのです。さらにどうして拡張するのか、拡張にどうやって許可が与えられたのか、なぜ議論されないのでしょうか」
オルタイル教授は、『追加の建物が建設されるエリアには重要遺構はない』と言う人たちがいることを明らかにし、次のように話した。「どうしてそんなことが分かるのでしょうか?どうしてシステマティックな発掘が今日まで行われてこなかったのでしょうか。この場所にこんな建造物が許可されてはなりません。とてもおかしな決定です」

■公共の利益なし

都市計画家協会のペリン・プナル・オズデン会長は、建築許可を出したことは正しいアプローチとは言えないと述べ、次のように続けた。
「歴史的資産が贈与されているのを我々は目の当たりにしているのです。ホテルの拡張に公共的な利益はありません。好意的に見ることは不可能です。委員会の承認があるといっても、反対意見を表明する委員もいるのです。そもそも『考古学公園』というものはこんなものではありません。全ての人に公開される必要がありますが、ここではホテルの利用者だけのものとなることは明らかです」

■フォーシーズンズ・ホテル「建物は地面に直接建っていない」

フォーシーズンズ・ホテルのマネージャー、メスト・トプラク氏は、これまで1000万ドルを考古学公園のために出費したこと、そして国からは1クルシュも補助をしてもらっていないと述べ、次のように語った。
「私達は学術委員会を設立しました。学者たちの科学的な研究作業の結果として、イスタンブルにとても美しい考古学公園が出現するのです。実際、建設される建物は地面に直接建っているわけではありません。建物の基礎がないためです。我々のプロジェクト全てが、数年前から承認されています」

■取材班の感想 「この写真が命取りに」

スルタン・アフメト地区の中心、市壁の裏側で継続している建設作業を初めて撮影するために、取材班は建設現場に足を踏み入れた。建設作業は非常に速いスピードで進んでいる。アヤソフィア博物館のすぐ隣で継続されているが、高い壁に囲まれているため外部から見えない。
最初に目に入ってきたのは、建設労働者たちが建設現場で非常に気楽に作業をしていることだった。一方で円柱、井戸、公衆浴場の遺構、その一方で建設用セメント、土、建設機材など・・・。完全に建設現場と化した歴史的地区の上に、ある労働者が穴を開ける機械で、ビザンツ時代の井戸の横にあった石を破壊したのを我々は目撃した。「この石が古いものであるかどうか確認したのですか?」と我々が聞くと、我々に同行していた担当者が、労働者を叱責し、「この写真が我々の命取りとなる」と口にした。

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( 翻訳者:山下王世 )
( 記事ID:12768 )