フセイン元大統領の死刑めぐってアメリカ当局内部から疑問の声
2007年01月04日付 Al-Nahar 紙

■ サッダーム・フセイン元大統領の録画テープに関してイラクで議論が展開
■ ブッシュ大統領は映像を見なかった 戦略構想に専念

2007年01月04日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 アメリカ政府はイラクのサッダーム・フセイン元大統領の死刑執行とともに起こった困惑や緊張をめぐって相矛盾する姿勢を示している。ホワイトハウスは処刑に対する国際的な批判に加わることを拒んでいるが、アメリカ国務省とアメリカ軍は処刑に関して疑問を示している。イラクではサッダーム・フセイン元大統領の最期の瞬間を収めた非合法的な録画テープに関する議論が展開された。録画テープはスンナ派を怒らせ、イラクのヌーリー・アル=マーリキー首相は微妙な立場に置かれた。マーリキー首相はテープ流出問題について「違反者を処罰する意向である」と強調している。

 ホワイトハウスのスコット・スタンゼル副報道官が発表したところによると「ジョージ・ブッシュ米大統領はイラクの『前進』政策構想に専念しているため、サッダーム・フセイン元大統領の処刑に関する録画ビデオは見ていない」ということだ。なぜブッシュ大統領がビデオを見なかったのかと質問されると副報道官は「それは大統領が専念すべき事柄ではなかったからだ」と答えた。また副報道官は、「既にマーリキー首相の官房がビデオ撮影に対する失望を表明している。だからこの事柄についてはこの辺りで終えることになるだろう」と述べた。また、同盟軍報道官のウィリアム•コールドウェル陸軍少将とイラク駐在米国大使館が処刑の時期に関する懸念を、その後には「処刑とそれに付随して起こったこと」に対する懸念を表明していたことを明らかにした。

 米国務省のショーン・マコーマック報道官が伝えたところによると、米国の高官はイード・アル=アドハー[犠牲祭]の時期に死刑を執行することについて疑問を表明していたという。またマコーマック報道官は、イラク当局は処刑前の最後の数分間に処刑の「部屋にいた者たちが行った発言」に疑問を抱いており、流出した後にテレビの国際放送網で放映された録画ビデオに関して調査を行っていると付け加え、「彼らがそのことに同意していなかったのは明らかだ」と述べた。

 バグダッドではコールドウェル陸軍少将が、イラク当局者ではなくアメリカ当局者であったなら死刑の執行は異なった方法で行われていただろうと語った。

 サッダーム・フセイン元大統領の死刑に関する議論が展開している一方で、ブッシュ大統領はイラクにおける新たな戦略を表明する準備をしている。新たな戦略の発表はおそらく来週の火曜日になるだろう。

 ブッシュ大統領は昨日、2007年最初の閣議を開き、2012年までに国家予算の財政収支の均衡を回復させるための五ヵ年計画について話し合った。



Tweet
シェア


現地の新聞はこちらから

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:岡本亜有子 )
( 記事ID:4297 )