【事件部】ファラオのものとされるミイラの偽物をインターネット販売しようと企んでいた偽造団のメンバーらが、ケルマーン警察の捜査官らの機転により逮捕された。

　ケルマーン州捜査警察長官のアリー・ガーズィーザーデ大佐はこの事件に関し、ジャーメ・ジャム紙に次のように語った。「偽造された身分証を使って協同組合基金から金を借り入れ、その後逃亡した人物に関する通報が、ケルマーン州捜査警察に寄せられた。この通報を受け、警察は本件の捜査を開始した」。

　「書類を調査したところ、偽造犯の保証人となって金の借り入れに協力した二人の人物を特定した。その結果、偽造犯はハーディーと名乗る人物で、しばらく前にケルマーンでレンタル・ビデオ店を開業、その後なぜか店舗を閉店していたことが分かった。金の借り入れに協力した二人の人物は偽造犯と近所仲間であったことから、借金の保証人になってほしいとの要請を引き受けていた」。ガーズィーザーデ大佐は、このように詳細を明らかにした。

市民の身分証を詐取

　同長官はさらに、次のように明かした。「本件に関する捜査が続けられる中、偽造犯はしばらく前からレンタル・ビデオ店を経営しながら、ビデオを貸し出す代わりに客からIDカードや免許証などを受け取り、それらを詐取して逃亡したことが判明した」。

　このような事態を受け、警察による捜査は新たな局面に入った。3チームからなる捜査団が偽造犯を突き止め、逮捕し、市民の身分証を取り戻すべく、大規模な捜査活動を開始したのである。

　手がかり

　ガーズィーザーデ大佐はその上で、次のように述べた。「大規模な捜査を展開し、情報を収集した結果、逃亡中の犯人はアリー・レザーという名前で、名前をハーディーと偽り、妻と偽造のプロである友人とともに、市民の身分証を悪用していたことが分かった。このことが判明すると、捜査官らは次の段階として、得られた手がかりをもとに、容疑者夫婦の居場所を突き止め、逮捕した。両容疑者の逮捕により、彼らが前もって立てた計画に基づいて市民の身分証を詐取し、大規模な悪用を企てていたことが分かった」。

　ミイラの謎

　ケルマーン州捜査警察長官は、さらに次のように付け加えた。「両容疑者の自供により、次に偽造のプロの隠れ家をケルマーンの某地区に発見、本件を司法当局に報告した上で、捜査官らは偽造犯の自宅に立ち入り、容疑者を逮捕、3台のパソコンとスキャナー、その他の偽造に関連した機器を発見、押収した」。

　偽造犯の隠れ家を捜索したところ、捜査官らは棺を発見、開けてみるとそこにタールが塗られた人間の死体に似た物体を見つけた。

　偽造犯モハンマド・アリーは取り調べの中で、次のように供述している。「この死体は作り物で、シャフダード市で購入した。紀元前3000年のファラオのミイラ死体であるとする、大学医学部による鑑定書を偽造、死体が腐っていないことの科学的根拠にしようとした。そうすることで、購入希望者を容易に騙し、ファラオのミイラを買わせるよう仕向けることができると考えた」。

　「医学部の鑑定書を偽造した後、インターネット上で売りに出した。数人から購入希望がきた。数日後にもこの偽物のミイラは法外な値段で売却される見通しだった」。容疑者はこのように付け加えた。

　ガーズィーザーデ大佐はまた、「偽物のミイラが発見されたことに加えて、ビデオ・レンタルの保証として預けられ、偽造団の手に渡っていた市民の身分証明書300本以上が発見・押収された」と述べている。

　長官はさらに、「我が国にはミイラは存在しない」と指摘した上で、次のように注意を喚起している。「プロの偽造団に対する警察の捜査は今も続けられている。すでに指摘したように、歴史家や考古学者らによれば、イラン人の文化・信仰上の特徴により、我が国にはミイラが作られた時代は存在しない。もしミイラがあるなどと称する者がいるならば、それは詐欺を働き、人々を騙すためにそのようなことを言っているに過ぎない。この種の犯罪の例は、かつてある別の町でもあった。そこでは数人の人物がマネキン人形にタールを塗って、詐欺を働こうとしていた。しかし彼らも結局、逮捕された」。

　身分証の取り扱いに注意

　ガーズィーザーデ大佐はまた、ビデオやCDを借りるために身分証を提示したり預けたりすることについて、市民に次のように警告している。「身分証は誰のものであれ、法律が市民に提供する、本来極めて重要な証明書類である。それゆえ、身分証を利用する際は十分注意ありたい。また、他人に預けるような行為は絶対に避けていただきたい」。

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（ 翻訳者:斉藤正道 ）
（ 記事ID:12836 )